コラム

農地法改正で何が変わった?コンクリート張りの農業用ハウスも農地に!

公開日:2019.01.18

1.農地法改正は新たなビジネスチャンス

農地法は時代の要請を受け、これまでにも何度か改正されています。
個人による農地の取得面積が緩和されたり、株式会社などの一般法人でも農地を所有できるようになったりと大きな改正も行われてきました。改正点をいち早く知り、うまく取り入れることで新たな農業ビジネスの展望が開けます。

2.平成30年 農地法改正でハウス底面のコンクリート張りが可能に

直近の改正としては平成30年11月16日に改正農地法が施行され、条件を満たせば全面コンクリート張りの農業用ハウスも農地として認められることになりました
コンクリート張りにすると、地面の水平が容易に得られるなど栽培管理でのメリットが多々あるので、待ちに待った改正だと喜んでいる人も多いのではないでしょうか。

とはいえ改正内容は宅建の資格試験に出題される程難解なので、詳細までしっかり理解するのは骨が折れそうです。そこで今回は直近の改正農地法について、全体の概要が把握できるようポイントを絞って紹介していきたいと思います。

3.ここだけは押さえたい!改正ポイント

改正以前

今回の改正以前は、ハウスなどの農業用施設の底面を全面コンクリート張りにするために”農地転用許可”を受ける必要がありました。もちろん許可を受ければコンクリート張りにすることは可能ですが、農地でなくなるために固定資産税も増加するという問題がありました。
この要因として


「農地」とは耕作の目的に供する土地

(農地法 第2条第1項)


と定義されており、さらにこの場合の「耕作」について


「耕作」とは土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培することをいい、「耕作の目的に供される土地」には、現に耕作されている土地のほか、現在は耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できる

(農地法関係事務に関わる処理基準 第1の(1)の[1])


とあります。
つまりコンクリート張りにするとすぐに耕作できないので農地と認められないということです。





改正後

今回の改正では農地や耕作に関する内容を改定するのではなく、新たに第43条と第44条が新設され、「農作物栽培高度化施設」という基準が設けられることになりました。
これは


農作物の栽培の用に供する施設であって農作物の栽培の効率化または高度化を図るためのもののうち周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがないものとして農林水産省が定めるもの

(農地法第43条第2項)


であり、「農作物栽培高度化施設」と認定されると施設の底面をコンクリートやそれに類するもので覆っても、農作物を栽培する場合には「耕作」と認められることになります。
ただしコンクリート張りにする前に事前に農業委員会に届け出る必要がある点に注意が必要です。また農作物栽培高度化施設に認定されたにも関わらず長期間に渡って農作物の栽培を行わない場合には、農業委員会から勧告を受けることになります。





農作物栽培高度化施設の基準

改正農地法は施行されましたが、肝心の農作物栽培高度化施設の基準についてはまだ検討段階です。そのため農業委員会への届け出方法も具体的には示されていません。 基準項目としては農業用施設の棟高・軒高・階層、周辺農地の日照を遮らないか、排水設備、騒音、付帯施設などが候補として挙がっていますが、一般的な農業用ハウスの場合にはクリアできる基準となりそうです。気を付けたいのは非太陽光型の完全閉鎖型植物工場です。コンクリート張り解禁の恩恵を強く受ける一方、複層化は高さ基準による制限を受けますし、施設の透過性が無く周辺に農地がある場合には日照条件で基準から外れる可能性もあります。




農地法改正で農業用施設の底面コンクリート張りが可能になり、あとは農作物栽培高度化施設の基準の決定を待つのみです。いつ発表されても良いように最新の情報を得られる態勢をとっておきましょう。





【参考文献】
・第2回農作物栽培高度化施設の基準に係る検討について(第1回の議論の整理)、農林水産省 経営局農地政策課、2018.
http://www.maff.go.jp/j/study/attach/pdf/02_siryo-6.pdf
【引用文献】
・農地法、農林水産省、e-Gov.
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=327AC0000000229_20181118_430AC0000000023&openerCode=1
・農地法関係事務に関わる処理基準について、農林水産省.
http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/nouchi_seido/pdf/sk.pdf



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。