コラム

マルハナバチ導入のすすめ!ミツバチとの違いやメリット・デメリット

公開日:2019.06.11

1.使い分けたいミツバチとマルハナバチ

受粉昆虫としてミツバチやマルハナバチ、クマバチ、マメコバチなど色々な種類が知られています。このうちミツバチとマルハナバチは販売されており農業現場で大活躍しています。

マルハナバチはミツバチに近縁の種で、ミツバチと同じように巣を作り花蜜と花粉を餌としています。かわいい見た目や大人しく毒性の低い点も同じと共通点も多くありますが違う点も沢山あります。受粉に利用する場合には両者の異なる性質に着目するとどちらを使うと良いかが見えてきます。
そこで今回はミツバチと比較しながらマルハナバチ導入のメリット・デメリットについてお伝えしていきたいと思います。

▲クロマルハナバチ




※現在販売されているマルハナバチには在来種のクロマルハナバチと外来種のセイヨウオオマルハナバチという種類があります。しかし、セイヨウオオマルハナバチの利用には許可が必要な上、2019年9月からは新たな利用ができなくなるため、クロマルハナバチに限ってご紹介します。

2.ハウスでマルハナバチを利用する【4つのメリット】





1.蜜の無い花でも受粉できる

ミツバチは花蜜がない花は訪花しませんがマルハナバチは花粉だけの花でもよく訪花します。トマトやナスなどナス科の野菜は蜜の無い花の代表ですがマルハナバチを使うと受粉できます。トマトトーンのようなホルモン処理を行うより低労力なことはもちろん、マルハナバチが受粉したトマトは着果率が良く、ホルモン処理より空洞果が少なく上物収量が増加することが知られています。





2.低い気温でも活動できる

もともとミツバチより寒冷な地域に生息しているハチなのでミツバチが飛べないような厳寒期にも働いてくれます。イチゴのように真冬に受粉が必要な作物の場合に効果を発揮し着果率アップと増収が見込めます。ミツバチと併用することも行われています。





3.攻撃性が低い

温厚なミツバチよりさらに大人しく滅多に刺さないハチとして有名です。イチゴ狩りのように受粉のためにハチが飛びまわっているハウスにお客さんを入れる場合によくマルハナバチが使われています。ただしマルハナバチはミツバチと違い刺しても針が抜けないので何度も刺される危険があることに留意しておきましょう。





4.紫外線カットフィルムに強い

ミツバチは紫外線カットフィルムでハウスが覆われていると飛ばないことが知られています。一方マルハナバチでは紫外線カット率の高い資材などでは影響があるものの、利用できる資材もありますので、メーカーに問い合わせてみましょう。

3.マルハナバチを利用するデメリットとは?





1.暑さに弱い

ミツバチに比べて寒冷な地に生息しているため高温に弱く、ハウス内の温度が30℃を超えると活動が低下します。巣箱を直射日光下においてしまうと蒸し焼き状態になって全滅ということもあります。巣箱は涼しい日蔭に設置し、ハウスの温度が30℃以下になるよう管理しましょう。





2.農薬に弱い

マルハナバチだけでなくミツバチもですが生き物なので農薬にとても弱いです。農薬の散布前には巣箱をハウスの外に移動させるなどして薬剤がハチにかからないように気を付けましょう。ミツバチと併用する場合には農薬の影響日数の違いに注意します。





3.長期間の利用には定期的な餌やりが必要

トマトやナスのような蜜の無い野菜の場合は、花に蜜は無く花粉も少なくマルハナバチは常に餌不足の状態です。蜜は付属の巣箱に蜜タンクがあるので良いですが、花粉はハチと同梱されているものを定期的に与えるようにします。





ミツバチと同様にマルハナバチは受粉を助けてくれる農作業の頼もしいパートナーになり得ます。両者の特性をよく理解してうまく使い分けていきましょう。




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▼参考サイト
●農林水産省、トマト農家向け クロマルハナバチの使い方
<http://www.maff.go.jp/j/chikusan/gijutu/mitubati/attach/pdf/index-10.pdf>
●農研機構、夏秋トマト栽培におけるマルハナバチの利用、農研機構
<https://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/seika/jyouhou/H05/tnaes93123.html>
●環境省、2019年9月よりセイヨウオオマルハナバチの許可基準が変わります
<http://www.env.go.jp/nature/intro//2outline/attention/file/Seiyouoomaruhanabachi_kyokahyojyun.pdf>
●環境省、在来種のマルハナバチを使ってみませんか
<https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/file/5_chirashi.pdf>



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。