コラム

ハウスの台風対策!すぐに出来る対策とおすすめグッズを紹介

公開日:2020.10.22

日本は世界的に見ても台風による被害が多い地域です。台風がやって来ない年はないと言っても過言ではなく、特に夏から秋にかけては台風が接近しやすく、施設園芸農業への被害も起こりやすい季節です。

今回は有効な台風対策と、おすすめグッズについてまとめています。事前にしっかり備えておきましょう。

1.台風によるハウスでの被害とその対策

施設園芸農業への台風による被害の種類は、大きく分けて2つあります。
1つはパイプハウスの倒壊など「風による被害」。もう1つは雨水がハウス内へ大量に流れ込むことで起きる「雨による被害」です。
それぞれ対策方法とポイントが異なってくるので、ひとつずつ確認していきましょう。

風による被害と対策

一般的なパイプハウスの場合、風速30mを超えると全壊などの大きな被害が起こると言われています。
台風の暴風域と呼ばれる範囲は平均風速が25m前後なので、台風が接近する可能性のある時は、特に注意が必要です。

風による被害を抑えるには、ハウス内への風の侵入をいかに少なくするかがポイントです。
窓をすべて閉め、フィルムにたるみが見られる場合はパッカーなどでしっかり固定し、僅かな隙間や穴もテープなどで補強しましょう。 また、風によるハウスの浮き上がりを抑えるため、アンカーを打ち込むなどの対策も有効です。

JA全農より台風対策のガイドラインが示されているので、詳しくはそちらをチェックしてみてください。




雨による被害と対策

雨による被害で最も深刻なのが、雨水がハウス内へ流れ込むことで起きる作物の水没です。
ハウス周辺の排水溝に落葉などのゴミが溜まっていると排水が十分に出来ず、溢れた雨水がハウス内へ侵入してしまいます。 台風の接近が予想される場合は、排水溝に落葉やゴミなどがつまっていないか十分に確認しておきましょう。

もし排水溝などの整備をしていない場合は、雨水の流れ込みが予想される箇所だけでも掘り下げて、簡易の排水溝を作るのがおすすめです。完全ではありませんが、雨水の侵入をある程度防止することができます。

2.パイプハウスの台風対策に【おすすめグッズ3選】

今回はこの記事の作成にあたり、パイプハウス資材などを取り扱う渡辺パイプさんにより台風対策におすすめのグッズを3つ紹介いただきました。

1.「新発売」ハウス浸水防止シート

ハウスの出入り口に取り付け、雨水の侵入を防止するアイテムです。
軽量かつコンパクトなつくりになっており、取り付け所要時間が約5分という手軽さが魅力です。 慌ただしくなる台風の接近時、このスピーディさは大きなメリットと言えるでしょう。





2.ハウスアンカー

風によるハウスの浮き上がりを防止するのに、とても有効なアイテムです。
アンカーを打ち込みワイヤーを通すだけで、引き抜き強度がおよそ60%もアップします。1組ワイヤー10本分のセット内容になっていて、6mピッチでの打ち込みが推奨です。





3.カンヌキ

ハウスのドアを強風から守るための部材です。
台風による被害で多いのが、出入り口の扉が風によって壊れることで起こる、ハウス内への風の吹き込みです。被害が大きくなりやすいため、出入り口をしっかり保護しておくのはとても有効な対策と言えます。



●商品の詳細情報はこちら

3.台風に伴う停電対策も忘れずに!

施設園芸の設備は、暖房機のエアコン、室外機をはじめ、電気で稼働するものが多い事が特徴です。そのため停電によって電力がストップしてしまうと、作物に大きな被害がでることがあります。事前に停電の備えをしておくことは、リスク回避のために重要であると言えます。
そこで今回おすすめしたい対策は、「発電機」の常備です。発電機があることで、停電になっても復旧するまでの電力を賄うことができます。また、台風以外の災害時にも、発電機の利用価値は非常に高いため、備えておくことで損はないでしょう。

発電機は、その種類によって適切な使用方法が変わってきます。施設の規模や、求める条件によって適切な発電機を選択するようにしましょう。

インバーター発電機

農業施設の精密機械やコンピューターへの電力として使用する場合は、インバーター発電機を選ぶようにしましょう。
インバーター発電機とは、電圧や周波数を一定に保ち「質の高い電気を生み出す発電機」です。 電力には波形というものが存在し、その波形が綺麗な波を打っている状態だと質が高く、私たちが普段使用している電力に近い質となります。
インバーター発電機は、「パルス幅変調」という技術を使い、質の高い安定した電気を出力することができるため、農業施設の様々な電力として使用する事が可能です。
一方で、インバーターが搭載していない発電機だと、周波数や電圧のバランスが不安定なことから、電気の質が低く、精密機械などに使用してしまうと故障の原因となります。

農業施設で普段使っている電力の代わりとして発電機を使用するためには、インバーター発電機は必須であると言えます。

スタンダード発電機

インバーター機能の付いていない発電機になります。価格もインバーター発電機と比べると手頃で、シンプルな構造なため発電の効率が良く、経済的な点がメリットです。
精密機器に繋がない使用の場合、スタンダート発電機を選択して問題ありません。

ハイブリッド非常用発電機「ENESIS」/江藤産業(株)





今回は台風接近時における対策とおすすめグッズを紹介しました。
他にも防風ネットの設置や、補強材の施工なども有効な対策です。また、法人経営などで複数人が作業にあたる場合は、事前に台風接近時におけるマニュアルを作り、一覧にまとめておくと、スピーディに対策をすることができます。
毎年必ず台風はやって来ます。緊急時の対策と、日頃の備えの両方をしっかり行い、被害を最小限で食い止めましょう!

いざという時の安心発電機!「トラクタージェネ」/長田通商(株)



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▼参照文献

〇選べる!「強いハウス」読本,渡辺パイプ(株)

▼参考サイト

〇アピネス / アグリインフォ
http://www.agri.zennoh.or.jp/N_index.aspx#1
〇気象庁
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/haichi2.html
〇工具男子
https://electrictoolboy.com/media/14226/
〇マイナビ農業
https://agri.mynavi.jp/2020_07_07_123217/

ライタープロフィール

【オオタニ コウスケ】
北海道出身。
酪農経営について学んだ後、大手農業機械メーカーにて勤務しました。現在は機械メーカーで培った経験と知識を元にライターとして活動しています。得意分野は酪農、トラクタ、作業機、噴霧器やポンプに関することです。








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