コラム
公開日:2021.01.13
農作物の栽培をするうえで、欠かせない作業のひとつが「潅水」です。特に施設園芸では、潅水チューブを使った方法が広く浸透しています。ですが、その潅水チューブを“なんとなく”で選んでしまっていませんか?
今回は3つの潅水方法別に、最適な潅水チューブの選び方を解説していきます。数多くあるチューブの中から適切なチューブを選ぶことで、収量・品質のアップやムダな潅水を抑えることができます。ぜひ最後までご覧ください。
地表潅水とは、 作物が植えられた畝の間に潅水チューブを設置して行う方法です。最もポピュラーな潅水方法で、施設園芸ではトマト、きゅうり栽培などの現場で用いられています。他の潅水方法よりも設置が容易なので、設備導入がしやすいのも特徴のひとつです。
地表潅水は畝間の表面に潅水用のチューブやパイプを設置して地表から水を与える潅水方法です。
最も普及している潅水方法なので、多くの選択肢の中から選ぶことができます。栽培する作物や栽培方法に合わせて選ぶようにしましょう。
長いハウスや間口の広いハウスに対応しているものや、マルチの下に設置して使うタイプなど、実に多様な商品が存在します。どのメーカーも主力商品として推し出していますので、購入の際は必ずホームページなどで詳細について確認するようにしましょう。
点滴潅水とはその名の通り、 点滴のようにゆっくりと絶えず水やりを行う潅水方法です。 周囲への水の飛び散りが少ないので、効率的で無駄の少ない水やりができるうえ、葉に直接水滴をかけたくない作物の栽培に向いています。いちごや果樹類の栽培でよく使われる方法です。
点滴潅水では少量の水をしたたるように作物に与えるため、専用のチューブが使用されます。「点滴チューブ」や「ドリップチューブ」と言われています。
他の潅水方法で使われるチューブに比べて若干高価になることが多いので、使用する期間と予算をしっかりイメージして、コスト感を持って選ぶようにしましょう。
頭上潅水とは、 作物の頭上から水を与える潅水方法です。葉菜類や育苗期などに用いられています。 ハウス内全体に水を散布するので、湿度を上げたり、空気を冷却するといった意図で行われることもあります。
頭上潅水は高低差のある位置から水を散布するため、水滴が土壌を叩いてしまうというデメリットがあります。水滴が叩きつけられると、土壌の団粒構造が壊れ、空気の供給が滞ってしまうので注意が必要です。そのため頭上潅水では、できるだけ細かく霧のように散水できるチューブが適しています。
潅水チューブは土壌粒子、藻類や化成肥料など様々な原因によって目詰まりする可能性があります。予防策として、潅水装置にフィルターをつけたり、目詰まりしにくい製品選びがありますが、一番の対策は定期的なメンテナンスです。潅水ポンプで高水圧の水を流すと潅水チューブ内にたまったゴミを洗い流すことができます。潅水チューブを掃除する専用のブラシも販売されていますよ。
以上、潅水チューブの選び方について解説しました。 今回ご紹介した内容はあくまで基本的なものであり、実際にはハウスの長さや幅、栽培する作物や作業動線などの要素も加味する必要があります。ベストな潅水チューブを選ぶために、参考にしてみてください。
▼参考サイト
〇SEN SPROUT
https://sensprout.com/
ライタープロフィール
【オオタニ コウスケ】
北海道出身。
酪農経営について学んだ後、大手農業機械メーカーにて勤務しました。現在は機械メーカーで培った経験と知識を元にライターとして活動しています。得意分野は酪農、トラクタ、作業機、噴霧器やポンプに関することです。