コラム

今話題の「あまりん」とは?!栽培方法やこだわりについて埼玉県のイチゴ農家を取材!

公開日:2022.02.28

こんにちは︕施設園芸.com編集部です。今回は最近話題のイチゴ「あまりん」について特集します。 あまりんは2016年登録された埼玉県のオリジナル品種です。糖度は22~23度に達することもあり、その美味しさは銀座の高級フルーツ店で取り扱われるほど。そんなあまりんの魅力について、生産者の久米原さんにお話を伺いました。

1.埼玉県のオリジナル品種!話題沸騰中の甘~いイチゴ「あまりん」

あまりんの特徴を教えてください!

埼玉県の農業技術研究センターで開発されたイチゴです。甘みのある「やよいひめ」と風味豊かな「ふくはる香」の交配で生まれ、埼玉県内でしか栽培できません。甘みが強く酸味もあるバランスのよいイチゴで、私も試験場で食べた瞬間に魅了されました。

とちおとめは1果房に15個~20個の実がつきますが、あまりんの場合は、1つの果房に7~10個ほどしかできないため、1粒1粒に味が凝縮されています。 また、低温伸張性なので電照不要でランニングコストがかかりません。比較的根っこも強く、とても良い品種です。

最初に試験場からもらった苗は5本でしたが、義父がランナーを伸ばして2000本にまで増やしてくれたので、空きハウスを1棟使って栽培を始めました。
試験場では高設栽培でしたが、うちでは土耕栽培で始めました。もともと、とちおとめやメロンの土耕栽培をしていたので、土づくりにはこだわりがあります。

2.ミネラルで味付け!こだわりの土づくりと栽培方法

土づくりのこだわりを教えてください!

イチゴ栽培用に開発された部会オリジナルの肥料を使っています。イチゴ農家が考えた肥料のためイチゴとの相性が抜群です。追加でカキ殻やカニ殻などミネラル豊富な海藻系肥料もふんだんに使っており、これが味付けのような役割を果たしてイチゴがとても美味しくなります。他にも、納豆菌などいい菌をたくさん増やすことで土壌内に悪い菌が増えないようにしています。
また、年に1度土壌の成分を診断してもらい、毎年の土づくりに役立てています。

栽培のこだわりを教えてください!

減農薬を心がけており、天敵資材を使うなど農薬以外の方法で対処するようにしています。 土壌消毒も、夏の暑さを利用する「太陽熱消毒」という方法で雑菌や害虫を駆除しています。たい肥、米ぬか、水などを撒きビニールハウスを締め切り、60℃くらいまで上げる方法です。

イチゴってみなさん水洗いしてから食べますよね? 消費者の方は農薬に対してよいイメージを持っていませんので、私が生産するイチゴは表面を洗わないでも食べられるよう、収穫が始まってからは一切農薬を散布しません。病気が出てしまった場合は諦めて処分します。消費者の方には安心しておいしいイチゴを食べていただきたいのです。




他のイチゴと比べて栽培方法に違いはありますか?

大きな違いはありませんが、温度管理に気を付けています。大型ハウスは暖房機で加温していますが、単棟ハウスは無加温で栽培しています。温度が下がり過ぎると、ガク(へた)の部分が紫になり、最悪の場合は焦げてしまいます。しかし温めすぎると味が乗りません。日中は20~25℃、夜温は8℃以下にならないよう管理しています。

自分なりのやり方ですが温度を抑えてじっくり赤くする方法が一番おいしくなります。ヘタの下が白いものは絶対に収穫せず、種まで赤黒くいい色になるまで追い込み、完熟させます。5年続けてきた経験でこの方法を採るようになりました。
まだ栽培技術が確立されていない新しい品種なので、日々試行錯誤しています。

3.直売所や道の駅は即完売!有名店でも大好評「幸運のイチゴ」

あまりんの栽培を始めて反響はいかがですか?

農園を訪ねてくれるお客様が増え、直売の売り上げも上がりました。あまりんを買いに来たお客様がとちおとめも一緒に買ってくださるなど、相乗効果もあります。

また、出荷先の道の駅では、「久米原さんのところのあまりんが一番おいしい!」と言って買ってくださる方もいます。栽培方法にこだわっている分、そう言っていただけると嬉しいですね。先日も道の駅の従業員さんから「まだ出荷できないの?頑張って!」と激励いただきました。

フルーツパーラーや、有名店へ販売されたこともあるとのことですが?

はい、栽培を始めた頃、あまりん栽培仲間の五十嵐さんと一緒に銀座までアポなしで売り込みに行きました。 たまたまお店に仕入長がいらして、あまりんを試食していただくことができました。その方が一口食べて「うまい!」と言ってくださり、今でもお取引が続いています。

都内の3つ星レストランでもデザートとして使っていただいた実績があります。その時は調理などをせずそのまま使っていただけたそうで、味が認められていることを嬉しく感じました。 他にも県内の有名ケーキ屋さんや有名なお店に扱っていただくことで、少しずつあまりんの生産者も増え、知名度も上がっていると思います。

あまりんは“もっているイチゴ”だと思います。有名店で採用していただけるほど話題のイチゴになり、私たち生産者にたくさんの幸運をもたらしてくれています。あまりんを食べたお客様も「あまりんを食べると幸せな気持ちになれる」と言ってくださり、まさに“みんなが幸運になれるイチゴ”!
今後も皆さんに美味しいあまりんをお届けできるよう全集中でがんばりたいと思います!

☆番外編☆ 「あまりんのおすすめの食べ方を教えてください!」

一口では食べられないほどの大きさのため、私は横から食べるのをオススメしています。 そのあと、一番甘い先端を食べる方法が一番おいしく味わえますよ。



取材動画

▲画像をクリックすると動画が再生します。

今回取材させていただいたのは…

埼玉県 久米原農園 久米原さん
8代目となる久米原さん。前職は居酒屋の経営者でしたが、ご結婚を期に農家になられたそうです。 食材を扱う料理人としての目線を持っているからこそ、味と減農薬にこだわることができたのではないでしょうか。
今晩は冷えるとのニュースを聞けば作物たちが心配で夜も眠れないというほど、大切に育てておられます。気さくで心やさしい久米原さんのこだわりのイチゴは、有名店の仕入長から消費者の方まで、多くの人を魅了し、幸せにしています。

ライタープロフィール

【施設園芸ドットコム 編集部】
農家さんへのお役立ち情報を配信中!
新しいイベントの企画やコラム記事の執筆、農家さんや企業様の取材を行っています。みなさんに喜んでいただけるような企画を日々考案しています♪









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