コラム

【農業Week 2022】老舗からベンチャーまで670社以上が集結!~農業の新たな可能性を取材~

公開日:2022.10.28

こんにちは、施設園芸ドットコム編集部です!10月12日~14日に幕張メッセで開催された「農業Week2022」を取材しました! 日本最大級の農業・畜産の総合展である農業Weekは今回で12回目。スマート農業EXPO、6次産業化EXPO、農業資材EXPOなどを含めた6種類のエリアに分かれ、累計670社以上が多種多様な商品・サービスを展示していました。おなじみの老舗企業から新進気鋭の農業ベンチャー企業まで、見どころ満載の展示会でした!展示会に行けた方も、行けなかった方もぜひ本記事で最新情報をチェックしてみてください。



1.農業の様々なシーンで土台を支える!打込み杭「くい丸」

1.5mほどの杭や注意看板などで注目を集めていたのは株式会社くい丸のブース。 同社の打ち込み杭「くい丸®」はビニールハウスの土台や作物の栽培棚を始め、盗難防止用の看板や監視カメラ設置など、多岐にわたる用途で活躍する。農業以外にも工事現場やイベント会場、山道や神社の柵などの現場で幅広く採用されている、まさに「打ち込み杭のスタンダード」だ。

「農業用途で最近よく聞くのは、ビニールハウスの耐風補強ですね。台風で傾いたハウスをくい丸で修繕・補強したら、それ以降は一切傾かなくなったというお客様の声をちょうど今朝もいただいたところです。」(くい丸:君岡さん)

「くい丸®」を採用するメリットの一つとして、農家自身で簡単に設置できることが挙げられる。従来施工業者に委託していた手間や価格が削減できることは、ユーザーにとっては大きな魅力となる。

「先端が尖っておりハガネが溶接されているため、ある程度の大きさのハンマーさえあればアスファルトにも打つことができます。また、農家さんはもともと杭打ちなどの現場作業をこなされている方が多いので、施工のハードルも低いのではないかと思います。」(君岡さん)

加えて「くい丸®」は機能面にも優れており、長期使用やリユースを前提とした設計で製造されている。杭の頭部は溶接加工で耐久性が補強されており、打ち込みによる変形が起こりにくい。工事用の打ち込み機を使用するようなハードな現場では、専用の頭部キャップ「くい打ち丸」を用いればより安全だ。また、杭の中腹にあたる鋼管部には錆に強い亜鉛めっき加工が施され、施工後に錆びやすい杭の内部は密閉構造により守られている。施工後には打ち込み・引き抜き共に約1000kgの強度を誇るため、気象災害にも耐性がある。

多様な用途で累計販売数1000万本を突破した「くい丸®」。 これからも、施設園芸の様々なシーンでの活躍が期待される。

2.粘着テープのノウハウで誘引作業をラクに!「とめたつ」

セロテープメーカーとして100年以上の歴史を持つニチバン株式会社は、新商品の誘引結束システム「とめたつ」を出展。出荷現場やスーパーではおなじみの「たばねら」に加え、栽培現場での誘引結束にも同社の粘着テープ技術を応用する。「とめたつ」の最大のメリットは何といっても作業性の向上にある。

「『とめたつ』では針を用いることなく、粘着テープのみでの結束を実現させました。従来の現場では作業中に針やテープが切れた際、針とテープの2通りでの交換が必要だったため作業性が低下しておりました。その点を改善したのが『とめたつ』です。」(ニチバン:松村さん)

針を用いないことによって修理作業の簡略化にも成功している。テープが何らかの理由で目詰まりした際、中を開いてテープをひっかけ直すだけでかんたんに復旧ができる。

「テープのみでの結束の実現にあたっては、弊社の培ってきた粘着テープに関するノウハウが役に立ちました。針がなくとも、結束に十分な強度を確保することができます。」(松村さん)

実際に編集部でも結束後のテープを引っ張ってみたところ、完全に接着されており指で引っぱった程度では剥がれなかった。展示会場では誘引お試しコーナーもあり、誘引作業の簡単さと結束強度と高さは来場者からも評判が良かった。

「『とめたつ』はまだまだ歴史の浅い商品です。農家さんへの認知度は現時点では高くありませんが、展示会や動画を通じてぜひ使い勝手の良さを知っていただきたく思っております。」(松村さん)

歴史ある企業が自信をもって出展した新商品。より便利で快適な栽培を実現するアイテムだ。

3.布1枚でお手軽病害対策!「オクトクロス」

三島光産株式会社の開発した「オクトクロス」は、水耕栽培の病害予防ができる国の定めた唯一の防除剤だ。培養液にオクトクロスを浸すと、布状の製品にメッキされた銀イオンが培養液中に溶出し、病原菌を殺菌・除去する。根腐病防除として農薬登録されており、発病率を90%近く低下させたという実験結果が出ている。

「ユーザー様からは『病害が減った』『病害リスクが下がるので安心だ』といったお声をいただいております。野菜類に対して農薬登録されているため、トマト・ホウレンソウ・リーフレタス・小松菜など多岐に渡って使用可能です。また、使用環境にもよりますが、藻の発生を抑制する効果もあります。」(三島光産:鍔本さん)

オクトクロスの魅力は殺菌効果だけではなく、その使いやすさにもある。製品を培養液に浸すだけで、一定量の銀が放出されるため、その間に手間のかかる作業はほぼ無い。 また、銀は人体への安全性が高い物質である上、オクトクロスを使用して育てた野菜類の可食部からは銀イオンがほとんど検出されない。農薬害のリスクを考えずに使用できる点もオクトクロスの強みだ。

「使い方としては、『培養液のタンクに入れていただくだけ』になります。交換時期もわかりやすいです。使用するにつれてオクトクロスの色が使用開始時の黒色から薄い茶色に変化しますので、その段階で交換してください。栽培数量にもよりますが。葉物野菜でしたら2~3ヵ月は効果が持続します。」(鍔本さん)

実際に編集部もオクトクロスのサンプルを触らせていただいたが、その小ささとお手軽さに驚いた。

「目安として、30cm×100cm程度の大きさのオクトクロスで1トン(1000L)の水を殺菌できます。銀による殺菌技術は他の用途にも応用できると考えており、切花の延命剤や加湿器タンクの水の殺菌剤としての商品開発も進めております。詳しくは、ぜひ弊社までお問い合わせください!」(鍔本さん)

農業分野に留まらず、銀メッキ技術を追求している三島光産株式会社。展示場ではオクトクロスの技術を転用した抗菌の布巾や靴のインソールといった製品も紹介されていた。 農業分野では安全性の高い防除剤を求める声は生産者・消費者ともに多いため、同社の銀イオン殺菌技術に今後も注目だ。

4.LEDで減農薬と害虫防除を両立!「アグリインセクト」

会場内に圃場を再現し、展示を行っていたのは日栄インテック株式会社だ。LED技術を得意とし多角的な商品を展開する同社が新商品として持ち込んだのは、防虫用LED「アグリインセクト」。特殊なLED光によって害虫を防除する商品だ。

「害虫に応じた色のアグリインセクトをハウス内に吊り下げることで、アザミウマ類や夜蛾類に対して防除効果があります。アザミウマの場合は、LEDから発する赤い光によりアザミウマにとってLEDライトの周囲が暗闇に見えて寄りつかなくなることで防除できます。対して、夜蛾には緑や黄緑のLEDライトを用いることで、忌避によっての防除が可能です。」(日栄インテック:杉山さん)

対象栽培品目は幅広く、果菜類・葉菜類・花き類・果樹類など、アザミウマや夜蛾の被害を受ける作物はいずれにも効果を発揮する。 現場を考えた設計となっており、設置もしやすく導入のハードルは比較的低い。

「電気工事は不要(分電盤2次側)であり、AC100/200Vのどちらにも対応しております。また、12台まで連結が可能なので1つのコンセントから最大12台が運用できます。この点は使用されている農家さんからも人気の機能ですね。幅広いユーザー様に使っていただける商品だと考えております。」(杉山さん)

「アグリインセクト」の導入によって得られるもう1つのメリットは、「減農薬」での栽培が可能になる点だ。消費者の安心感に繋がる上、農薬価格高騰の影響も受けづらくなり、かつ農薬散布の手間も軽減できる。

「減農薬」と「害虫防除」の両立に向けて、新しい可能性を提示する商品だ。

5.優れた品種と栽培サポートで農業を幸せに!「やみつきトマト」

プラスチック植木鉢・培養土の製造や園芸用施設資材・種苗の販売など、農業分野において多角的な事業を展開する兼弥産業株式会社は、同社の独自品種「やみつきトマト」の生産者を募集していた。 「やみつきトマト」の特徴は薄皮による独自の食感と、甘さと酸味のバランスの良さ。トマトが苦手なお子様にもおすすめできる自信作だ。

栽培にあたっては同社が製造する植木鉢「スリット鉢」が適しており、地面での根張りを鉢の中でも実現することがコンセプトとなっている。 また、同社では専門のスタッフによる生産支援や、年間を通した全量買い取りといった取り組みも行っている。種苗販売から資材販売・栽培・買い取りまでを含めたトータルサポートが同社の強みである。農業に新規参入する事業者にも安心のサポート体制だ。

他にも、フルーツのような種なしパプリカ「PEPPERITO」(ペペリート)の展示も人気。 平均糖度9以上の食味を誇りリンゴのように甘くて美味しいことから、生でも楽しめる品種だ。イスラエルの種苗会社との国内独占契約により種苗販売が実現した。 兼弥産業株式会社のコンセプトは「幸せを作りだす」こと。今後も同社独自のサービスで生産者・消費者の幸せを作り出していくことだろう。




670社以上が出展した農業Week2022は大盛況のうちに会期を終えました。現状の課題解決の糸口を見つけ、農業の新たな可能性を見ることができた実りのある展示会でした!

取材動画

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ライタープロフィール

【施設園芸ドットコム 編集部】
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