コラム
公開日:2022.11.21
こんにちは、施設園芸ドットコム編集部です!10月26日~28日に東京ビックサイトで開催された「アグロ・イノベーション2022」を取材しました!今回のアグロ・イノベーションのテーマは~次世代環境調和型農業を目指して~。鳥獣対策・ジビエ活用展2022、草刈・除草ワールド2022、フローラル・イノベーション2022など、様々な農業に関する資材、システム、機械が一堂に会し、全国各地から6900人以上が来場しました。展示会に行けた方も、行けなかった方もぜひ本記事で最新情報をチェックしてみてください!
目次
株式会社アイデックが展示していたのは、2022年6月 に発売されたエンジン刈払機アタッチメント「うね草取りまーPRO」。メーカーや動力源(電動タイプ・エンジンタイプ)を問わず、既存の草刈り機のアタッチメントを付け替えて使用できます。
※バッテリー刈払機セットの「うね草取りまーPRO elex(エレックス)」も販売しています。
「うね草取りまーPRO」は地上の草だけを刈り取る草刈機とは異なり、“土中の根っこから削り取る”ため、再び雑草が生えてこないようになります。また、削り幅が最小で120mmのため、マルチとマルチの間の狭い隙間の雑草も削り取ることができます。刃の部分には二層構造のカバーを搭載しており、根から削った雑草はカバー内部で細かく粉砕します。粉砕した雑草はそのまま土中にすき込み、肥料として活用できるため、集草や廃棄処分にかかっていた労力が削減されます。
他にも株式会社アイデックでは、コンパクトで持ち運びもできる耕転ローター「クイック ティラー」を展示。 大型の耕運機では作業がしにくい隅の土や、いちご栽培の高設ベンチ内をピンポイントに耕運するための機械で、石灰や肥料の攪拌にも使用することができます。
ブース内が沢山の花で彩られたインパック株式会社は、北海道大学との共同研究により作られた、花きの鮮度を可視化することが出来るパウチ「Freshness meter(フレッシュネスメーター)」を展示。
花きの運送時に鮮度を計測する場合、データロガーを用いるため装置の回収やデータを取得するなどの手間がかかります。しかし、「フレッシュネスメーター」は4.5cm×5cmサイズの小さなパウチを出荷箱に貼るだけで鮮度を把握することができます。
「フレッシュネスメーター」の構造はシンプルで、タンパク質などが糖と結合する際に起こるメイラード反応と、経過した時間と温度(温度時間値)で色が変化する技術であるTTI(Time Temperature Indicator)を用いて鮮度を表しています。
使い方も簡単です。
①分割されている袋の片側を強く押し、2種類の液体を混ぜる
②出荷箱に添付する
出荷時には透明だった液体が、温度と時間の経過により濃茶色に変化します。色が濃く変化することにより花きの鮮度を把握することができるのです。
現在、日本では花きを出荷してから花束の加工場に到着するまで、2~3日ほどかかります。20℃の環境の中で3日間かけて輸送した場合の温度時間値は1440、10℃の環境の中で3日間かけて輸送した場合の温度時間値は720です。「フレッシュネスメーター」は温度時間値が2000まで計測できるタイプと1000まで計測できるタイプの2種類あるため、運送時間やコンテナ内の温度など状況に合わせて使い分けることができます。
「フレッシュネスメーター」を使用することで、花束の加工メーカーや生花店などへ適切な温度管理を行っているというアピールをすることができます。今後、さらに鮮度の良い花きが流通することで、消費者が長く花を楽しむことができるようになり、より鮮やかな日常が過ごせそうです。
数々の海外メーカー製品を販売しているメイワフォーシス株式会社が展示していたのは、アメリカのLI-COR社が開発した新商品のポロメーター・クロロフィル蛍光測定メーター「LI-600」。気孔コンダクタンスとクロロフィル蛍光の2つの数値を同時に測定することができる画期的な装置です。
「LI-600」は葉っぱが蒸散を行う際にどれだけ気孔が開いているのか(気孔コンダクタンス)、光をどれだけ吸収し効率よく運用しているのか(クロロフィル蛍光)、それぞれ数値化して視ることで葉っぱの生理学的状態を知ることができます。
測定は、センサーの下に葉っぱを挟むだけなので簡単です。1枚当たり、最大15秒ほどで測定が完了するため、生長点付近の葉っぱや地面に近い葉っぱなど多点のデータを手軽に取得することができます。また、同じくアメリカのLI-COR社が開発した植物光合成総合解析システム「LI-6800」と併用することで、CO₂濃度、温度、湿度、光を測定・制御しながらさらに詳しく分析することも可能です。
他にもさまざまな測定装置を販売しているメイワフォーシス株式会社では、本展示会で初公開のアメリカのスティーブンズ社が開発した土壌センサー「HydraGO」なども展示。よりよい農業に向け、最新の技術が光ったブースでした。
欧米をはじめ世界各国の機械を取り扱う専門商社である株式会社マツボーが展示していたのは、施設園芸の本場、オランダのトップメーカーであるアマラーン社が作るガラス温室「ダッチライト型グリーンハウス」。
「ダッチライト型グリーンハウス」の大きな特徴は、密閉性が高く、熱を逃しにくいため、作物を植物工場のような環境で栽培できることです。また、天窓のガラス部分に雪などを熱で溶かすシステムを搭載しているため、雪が多く降る北海道や東北などの地域におすすめです。
アマラーン社はグリーンハウスだけではなく、温度や湿度、日射量や潅水、CO₂濃度、電気などの環境制御システム一式も販売しています。他にも栽培に関する技術を持つ従業員の育成やコンサルタントの手配も行っているため、ハウスの購入から栽培に関することまでトータルコーディネートしてもらうことができます。
熱を逃さず効率よくハウスの環境を整えることは、SDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成するためのターゲット7.3「2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。」の一助になりえます。
サスティナブルな花生産に関するトークセッションやスマート農業に関するセミナーは、満席が続出し大盛況でした。同時開催されたアグリビジネス創出フェアも、農林水産や食品分野などの最新の研究成果や技術の発表などで賑わっていました。展示会は一気に最新情報を得ることが出来る絶好の場です。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
ライタープロフィール
【施設園芸ドットコム 編集部】
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