コラム

地産地消を進めるにはどうしたらいいの?メリットと取り組み事例をご紹介

公開日:2022.11.25

地産地消は、消費者にとって地元の新鮮な野菜を購入できる機会です。同じ地域で生活する生産者の食材を購入することで、食材への安心感が生まれ、農産物への関心が広がります。地産地消は生産者にとってもメリットがある取組みです。地域との関係性を構築しながら農産物を消費することは、生産者を悩ませる農業経営の問題点を解消できる可能性があります。この記事では地産地消のメリット、デメリットを事例も踏まえてわかりやすく解説します。

1.地産地消とは?地域の生産物を食卓へ

地産地消とは、各地域の農林水産物をその地域で消費する取組みです。地域で採れた農産物を、直売所やマルシェ、地元スーパーで販売する、病院や学校、自治体や企業の給食事業で活用するなどの動きが各地で広がっています。 また、地域特産品として加工したり、地場レストランの看板メニューとして提供したりなど、観光促進の観点からも重要です。農林水産省による支援もあり、魅力的な地域生産物の価値を高めて6次産業化につなげる効果も期待されています。

2.地産地消のメリット・デメリットを知ろう




メリット  

地産地消に取り組むと、消費者との距離がぐっと近くなります。購買ニーズをリアルに把握できるため、効率のよい生産販売が可能です。消費者との関係性が深まれば、収穫量が少ない、不ぞろいなどの規格外野菜を販売する機会につながることもあります。地域での販売は、流通にかかるコストが削減できるのも大きな魅力です。販売場所までの移動コストはもちろん、取引先によっては梱包コストを削減できる場合もあります。
地産地消への取組みは、持続可能な地域社会の構築を目指すSDGsの目標とも合致します。輸送距離の短縮は、環境への負荷が軽減されるとともに、地域内の活動が増えることで地域経済の循環が高まります。さらに、規格外商品を工夫して活用すれば、社会問題になっている食品ロスの削減や、食料自給率に貢献できる点も見逃せません。

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デメリット 

地産地消を進めるには、地域で活動する仕組みだからこそ生じるデメリットもあります。商品として購買者へ供給するには、量や品目数の安定確保が課題です。農林水産物は、季節や天候の影響を受けるため、収穫量の増減は避けられません。給食事業者、宿泊事業者など食材の安定的な受給が欠かせない事業者にとっては、地産地消に参加するメリットを活用しきれない場合もあります。また、販路の開拓、宣伝活動や取引の折衝は生産者自らの手腕によるところが大きいのが実情です。
取引先が多様化することで、商品管理や請求業務などが煩雑になるケースもあります。

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3.地域と住民をつなぐ地産地消の取り組み事例




生産者の受け入れ体制が整っている販売先とつながりを持つと、地産地消に取り組みやすくなります。 ここからは、さまざまなデメリットを乗り越えて、地産地消の活性化に取り組む事例を紹介します。

まめでらが~道の駅十文字

秋田県横手市の「まめでらが~道の駅十文字」では、出荷登録農家の数を増やすことで、生産者の高齢化や冬場の供給量の低下による商品不足をのりこえています。出荷価額を一任する、出荷時の負担を減らすなど、出荷登録農家が運営に積極的に参加できる体制を構築しました。
野菜ソムリエを配置する、休憩スペースを各種活動の場として提供するなど、消費者に喜ばれる工夫も順調な運営に貢献しています。 また、地産地消に積極的な施設や食材納入業者と関係性を構築するのも、販路を広げるための第一歩です。




彦根市立病院

滋賀県彦根市の「彦根市立病院」では、 生産者と積極的なやりとりを重ねています。食材の安定的な確保のために、地域との情報共有は欠かせません。職員や給食受託事業者が生産ほ場を見学し、生産課題を理解することで対策を講じて、より効果的な地産地消の活動を盛り上げています。





地産地消の取り組みは、1人の生産者として地域に貢献できる機会を与えてくれます。メリット、デメリットを理解して、農林水産物を地域で効果的に活用しましょう。




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▼参考文献
〇東海農政局「地産地消って何がいいの?」
https://www.maff.go.jp/tokai/keiei/shokuhin/chisan/merit.html/
〇農林水産省「地産地消(地域の農林水産物の利用)の推進」
https://www.maff.go.jp/j/nousin/inobe/chisan_chisyo/index.html
〇東海農政局「地産地消を知ってますか?」
https://www.maff.go.jp/tokai/keiei/shokuhin/chisan/doyouknow.html
〇農林水産省「地産地消の取組事例(令和3年3月)」
https://www.maff.go.jp/j/nousin/inobe/chisan_chisyo/torikumi.html
〇農林水産省「平成16年度農産物地産地消等実態調査結果の概要」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tisan/pdf/tisan_tisyou_04a.pdf”

ライタープロフィール

高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。 ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。 発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!









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