コラム
公開日:2020.04.28
スイカは夏に食べたい野菜の代表格です。大玉、小玉、種無し、赤肉、黄肉など様々な品種があります。育て方も露地、雨除け、促成、抑制など色々あり年中出荷されている愛され野菜です。
そんなスイカですが整枝や摘心、交配に肥大管理と管理作業が多く栽培は難しいことで知られています。栽培のポイントをしっかり押さえないと収穫がこれっぽっちなんてことになりかねません。
そこでここからはスイカ栽培で収量を伸ばすポイントや摘心のコツについてご紹介します。
施肥は全窒素の半量を土作りも兼ねて完熟堆肥などで基肥として与え、残りを窒素肥料で追肥するようにします。
着果初期や雌花開花期に窒素肥料が効きすぎるとつるぼけして着果不良になるため窒素肥料の与えすぎは厳禁です。
追肥はつるが15〜20cm程のとき、50〜60cmのとき、一番果が鶏卵大になったときに行います。
整枝方法は沢山ありますがここでは「子づる4本整枝2果どり」といって子づる2本につき1つの果実を収穫する方法を紹介します。
本葉が5〜6枚頃になったときに、親づるの先端の芽を清潔な手でかハサミで除去します。この作業を摘心といいます。
親づるを摘心すると子づるの成長が促進されるので勢いのよい4本を残し他は除去します。
交配期は最も温度管理に気をつける時期で、施設栽培ではカーテンやトンネル、暖房などを使って地温15℃以上を確保するようにします。
交配は午前中に行い、雄花の花粉が出ていることを確認してから雌花の柱頭にしっかりと受粉させるようにします。
悪天候で雄花の開花が期待できない時には前日の早い時間に開花している雄花を採取して乾燥材と一緒に密閉袋に入れて冷蔵保存しておきます。
人工受粉が基本ですが3月以降はミツバチも利用できます。
着果目標は18〜20節で、交配に適する16〜22節の雌花は全て受粉させます。16節より前の雌花は取り除きましょう。
果実が鶏卵大の頃に縦長で形の良い果実を2つるにつき1果残して摘果します。温度の確保より光を優先しトンネルなどは除去します。水やりは着果20日頃までは1日1〜2回行うことで果実の肥大を促進させるようにします。その後は品質向上のために乾燥気味にしましょう。
長期どりは2番果や3番果の重量や品質の低下が起きやすいので常に1番果を収穫できる植え替え栽培がおすすめです。
1番果の収穫2週間前くらいに前作の反対側か株元に苗を植え付けます。定植時の水やりは株元だけに行います。全面に行うと収穫間近の1番果が裂果しやすいので避けましょう。1番果を収穫した株はその後、根元から切断します。
改植栽培かつ立体栽培という方法もあります。立体栽培ではハウス上方にワイヤーなどで空中栽培棚を作り、つるを上方に誘引し果実を紐やネットで吊るす方法です。
地這い栽培より収量は落ちますが作業が楽で光がよく当たるので糖度の高い果実を収穫しやすいという利点があります。
追肥に整枝・摘心、水やり、人工授粉、肥大管理とスイカ栽培は作業が盛りだくさんです。ポイントを押さえてずっしりと重たいスイカを沢山収穫してくださいね。
▼参考文献
〇小玉スイカの改植・立体栽培の技術,茨城県 農業総合センター園芸研究所
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/enken/seika/yasai/kasai/documents/s1815.pdf
〇環境にやさしい農業技術集の素案,長野県
https://www.google.com/search?client=firefox-b-d&q=表 スイカ 目標収量と養分吸収量
〇熊本のやさい耕種基準 スイカ促成,一般社団法人熊本県野菜振興協会
http://www.k-engei.net/contents/koushu_standard/21添削後 スイカ(促成)提出.pdf
ライタープロフィール
【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。