コラム
公開日:2020.06.24
せっかくはじめた農業、どうせなら他とは一味違う農家として、ブランディングを目指す方もいるのではないでしょうか。ブランド力を高めるには、何かに特化することが重要です。味にこだわる、農法にこだわる、加工にこだわるなど、様々なやり方がありますが、その中でも「珍しいイタリア野菜をつくる」のはどうでしょう?
今回の記事では、イタリア野菜の栽培を始めるにあたって知っておきたい販路の話やブランディングのポイントをご紹介します。
イタリア野菜と一言でいっても、根物や葉物、果菜類など様々な種類がありますが、全体的な特徴は、やはりその見た目でしょう。螺旋の幾何学模様が特徴的なロマネスコ、紫色が美しいトレビス、縞模様が珍しいゼブラナスなど、料理に華やかさをプラスしてくれます。
特にサラダの見栄えを良くしてくれるのは飲食店や女性にとってありがたい存在です。
海外の野菜なので栽培方法に不安があるかもしれませんが、国内の様々な場所でイタリア野菜の研究会が立ち上がっています。そういった場所に視察に行き、栽培方法を学ぶのもいいかもしれません。
若手農家がヨーロッパの野菜を栽培し、レストラン向けに流通して地産地消を目指している研究会です。通称ヨロ研と呼ばれ、研修・講演に関する相談も受け付けています。
山形で年間約60品目ほどのイタリア野菜の生産に取り組んでおり、日本でイタリア野菜の産地と言えば、山形県河北町と言われることを目標に活動をしている研究会です。
流通量が少なく、また見た目も特別なイタリア野菜は、日本では一般家庭向けの野菜とはいえないかもしれません。そのかわり、普段は食べられない特別な食事を提供するレストランや、高級な食材を扱う百貨店などで求める声が多いようです。
そのため、イタリア野菜を栽培している農家の方は、それぞれが独自の販路を築いていることが多いようです。生産だけでなく、売り方もセットで考えるのが重要ということですね。
では、どうやってイタリア野菜を販売していけばいいでしょうか?こちらでは、ブランディングに必要なこと3箇条をご紹介します。
販路開拓のためには、まずはお客様になってくれそうな人との接点を増やすことが大切です。HPの作成、通販での販売、SNSの活用、イベント出店などを行い、反応が大きかったものを継続していくことで、農園のことを知ってもらいましょう。
また、メディアを使ったPR方法もあります。新聞や雑誌、WEBメディアに記事に取り上げてもらえるよう問い合わせてみましょう。
※情報提供を受け付けている媒体も多くありますので、気軽に連絡してみましょう。
直販では、お客様が欲しがるものを理解して商品として落とし込む観察眼がとても重要です。そのため、自分たちの野菜を欲しがってくれるお客様が見つかったら、次はできるだけそのお客さまとコミュニケーションをとるようにしましょう。
何気ない会話から商品をより良くするアイディアのヒントをもらえるかもしれませんし、そうでなくともお客様の喜ぶ声を直接聞くことができるのはモチベーションアップにつながります。
お客さまと交流するなかで気付いたアイディアを、実際の商品に活かしてみましょう。パッケージのデザイン、売り場所、どこに情報をアップするか、セット販売をするか、加工はどうするか…などなど、工夫できるところはいくつもあります。珍しい野菜にはレシピをつけたりするのも親切でしょう。
商品力を高めることによってさらにお客様が増えて、それによって良いフィードバックをまたもらえて、それを経営に活かして…という様に、良い循環をつくっていきましょう。
自分の得意なこととお客様の要望を掛け合わせることで、ブランディングは徐々に確立されていきます。他にはない価値を提供できる農家として、楽しみながらオリジナリティを追求してみましょう。
ライタープロフィール
【内村耕起】
宮崎県の牛農家生まれ。大学院で植物工場での廃棄物利用に関する研究に従事したのち、全国の農家を訪ね歩いてファームステイ。岩手県の自然栽培農家で2年間の農業研修を経て、現在は宮崎県の山間部の村で自給的農業を営む傍ら、ウェブライターなどもしています。