コラム
公開日:2020.09.24
新型コロナウイルスの影響はわたしたちの暮らしの至るところに及んでいますが、それは農業分野も例外ではありません。今回は、新型コロナウイルスにより難しくなってしまった農業分野での人材確保をサポートする『農業労働力確保緊急支援事業』について解説します。
一般企業のように社員を正規雇用するということが少ない農業では、収穫期などのピーク時にのみ人を雇ったり、期間限定の研修生として海外からの人材を受け入れたりといった流動的な人材確保がよく行われます。この人材確保が新型コロナウイルス感染拡大の影響で難しくなった農業経営体に対して、代替人材の確保や育成に係る費用を助成するためにつくられたのが 『農業労働力確保緊急支援事業』 です。
令和2年度の補正予算で施行されたばかりで、 令和2年4月1日から12月31日までの事業が対象 となります。なお、農業系の全国組織である 全国農業会議所 が運営しています。
事業内容は 農家向け、JA向け、研修機関向け などに分かれています。そのうち農家にとっては、次のような場面でこの事業を活用できます。
例えば、来日する予定だった外国人技能実習生が新型コロナウイルスの影響で来日できなくなってしまい、代わりに都市部の若者を雇用した場合、雇用するための人件費や交通費、宿泊費などが予定よりも膨らんでしまう可能性があります。そんなとき、予定していた金額と実際にかかってしまった金額の差額(掛かり増し分) に対して助成を受けることができます。
具体的な金額については、 交通費なら1ヶ月に3万円以内、賃金なら1時間につき500円以内、宿泊費なら1泊6千円以内 などの規定があります。また、人材派遣サービスを利用する場合は、パートナー登録された団体 を選ぶことで助成金の交付申請が可能になります。
▼パートナー団体一覧(for farmerサイト)
https://for-farmer.jp/partner_list/#top_contact2
●求人媒体に情報を掲載
●人材紹介サービスを利用
●求人チラシを作成して掲示など
これらの広告費にかかる 経費の1/2 に対して助成を受けることができます。
『for farmer(フォーファーマ―)プラットフォーム』というウェブサイトから、申請および問い合わせが可能です。
▼for farmer プラットフォーム
また、各都道府県にも窓口が設置されていますので、ウェブ上の手続きだけでは不安がある方はそちらに問い合わせてみてください。
▼相談窓口一覧(for farmerサイト)
https://for-farmer.jp/soudan_list/
以下のパンフレットからもご覧いただけます。
▲クリックで拡大
他にも、農水省のウェブサイトでは各項目ごとの解説動画、詳しい実施要綱などがあるので参考にしてみてください。
【農業経営体向け事業】
▲クリックで拡大
【人材呼び込み支援事業】
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▲クリックすると動画が再生されます
▼農業労働力確保緊急支援事業(農林水産省HP)
https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/roudouryokukinkyukakuho/roudouryokukinkyukakuho.html
新型コロナウイルスの影響が今後どう変わっていくかは誰にも予測できませんが、自然と向き合って働く農業こそ三密を回避する新しい働き方かもしれませんね。補助事業もうまく使いつつ、この変化を乗り越えていきましょう。
▼参考サイト
〇農業労働力確保緊急支援事業, 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/roudouryokukinkyukakuho/roudouryokukinkyukakuho.html
ライタープロフィール
【内村耕起】
宮崎県の牛農家生まれ。大学院で植物工場での廃棄物利用に関する研究に従事したのち、全国の農家を訪ね歩いてファームステイ。岩手県の自然栽培農家で2年間の農業研修を経て、現在は宮崎県の山間部の村で自給的農業を営む傍ら、ウェブライターなどもしています。