コラム
公開日:2020.10.07
農業は土づくりが肝心!作物に適した土づくりによって、作物の質を高めたり病害虫を減らしたりすることができます。今回は、客土による土壌改良についてご紹介します。
土壌改良の方法といえば、堆肥を入れたり暗渠を掘ったりと色々ありますが、その中でも
他の場所から持ってきた新たな土を投入する「客土(きゃくど)」 は即効性の高い方法です。
早急に土壌改良をしたい時 や、塩類集積で使えなくなった土を運び出して
土が足りなくなった時 などに客土が行われます。
客土を含めた土壌改良の方法については下の記事でも紹介しているので、ご参考ください。
面積と厚みにもよりますが、客土する土は大量に必要 です。園芸屋さんなどに注文してトラックで運んでもらいましょう。土の種類については、目的に応じて
赤土、黒土、砂土 などから選びます。
土を投入してユンボなどの重機を使って整地をします。ここまでが客土に必要なプロセスです。
一般的には、 粘土質の赤土、有機物を多く含んだ関東ローム層の黒土、川の砂土 など色々な種類があります。元々の地質と目指したい土づくりを考慮して客土する土を選びましょう。
水はけが良すぎる砂地の場合、粘土質の赤土を客土すると水もちをよくすることができる。
黒土(くろつち)地力の必要な作物を作る場合、有機物を多く含んだ関東ローム層の黒土を客土すると肥料もちを良くすることができる。
砂土(さど)山間で水はけの悪い粘土質の土地の場合、川の砂土を客土して水はけを良くすることができる。
※砂が多く、含まれている粘土が12.5%以下のもの
客土に使う土壌の選定は注意が必要です。
たとえば、海岸近くの硫化物を含む土壌は黒色なので、腐植含量が多い土壌と思われがちですが、硫化物は畑地状態で空気に触れると酸化します。すると硫酸が作られ土壌のphを低下させてしまいます。生育不良の原因となるため、客土する土壌のphとECは必ず測定 し、適正ではない土壌やECの高い土壌は避けるようにしましょう。
●養分を補給したり、土性の改良を目的とする場合
養分や粘土含量の高い土を10aあたり5~10トン客土します。
土壌の種類:砂土
●土性の改良が目的の場合
砂質土や山土を10aあたり10~20トン客土します。
土壌の種類:重粘土
●鉄分の補給が目的の場合
山土を10aあたり15~20トン客土します。赤土を使うことで硫化水素の被害の対策になります。
土壌の種類:老朽化水田
●優良土壌を確保したい場合
鉱質土壌を5~15センチの厚さになるように置き土します。
土壌の種類:泥炭地
●根群域土壌を改善したい場合
水田土壌や山土を投入します。
土壌の種類:生育不良土壌
土の単価自体はそこまで高くないのですが、10アールあたり何十トンという量の土を入れることになるため、高額になる場合があります。客土用の大量の土は、造園会社などで販売しています。近場では直接受け取ったほうが安く済む可能性がありますので、引き取りが可能かどうかも含め確認してみましょう。
【A社】
黒土:1立米(約1トン)あたり約8,000円
赤土:1立米(約1トン)あたり約3,000円
【B社】
赤土、黒土:1平米(約1000キロ)あたり約2,000円
10トンのダンプ1台で6立方メートル分の土を配達してもらう場合
10~20キロ¥2,000
20~30キロ¥3,000
30~50キロ¥4,000
50~80キロ¥5,000
※ダンプの大きさや台数によって変わります。
※上記は参考事例です。配達先の住所や距離によって異なるため、正式な価格については購入会社に見積もりをもらいましょう。
運搬と同様に、 整地をするのにも重機や人手が必要 なことも計算に入れておきましょう。でないと、山積みの土を前に途方に暮れることになってしまいます。重機のリース代およびオペレーターの作業賃が必要です。
以上、客土について解説しました。土そのものを持ち込む大胆な方法なので気軽に試せる方法ではありませんが、ここぞというときには検討してみましょう。
▼参考サイト
〇寺坂農園ブログ
>https://furano-melon.jp/official-blog/2017-09-13-6192/
〇こうち農業ネット
>https://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/info/dtl.php?ID=2846
〇砂利どっとこむ
>http://www.otakenzai.com/index.html
〇土の専門店 本多採土
>https://hondasaido.com/gq-soil/
〇鶴よし建設株式会社
>http://tsuruyoshi1989.co.jp/soil.html
ライタープロフィール
【内村耕起】
宮崎県の牛農家生まれ。大学院で植物工場での廃棄物利用に関する研究に従事したのち、全国の農家を訪ね歩いてファームステイ。岩手県の自然栽培農家で2年間の農業研修を経て、現在は宮崎県の山間部の村で自給的農業を営む傍ら、ウェブライターなどもしています。