コラム

トマト栽培者必見!葉っぱから分かる病気の種類と対策【写真付き】

公開日:2018.08.24

1.肥料不足かな?病気かな?悩んでいる間に手遅れに

育て方には細心の注意を払い、愛情たっぷりに栽培していたトマトの様子がなんだかおかしい。肥料の過不足か病気かはたまた虫害か、原因は何だろうと考え、迷い、調べているうちに見る見る元気が無くなってきた。病気だと気づいた頃には被害は目を覆いたくなる程に。こんな経験をされたことのある方も多いのではないでしょうか。

2.聞き慣れない言葉ばかりの症状表記

原因の特定を難しくしている一因として言葉の分かりにくさが挙げられます。例えば病気についてトマトの葉っぱの記述を調べてみると、水浸状、輪紋状、萎凋にわい化など聞き慣れない言葉が並びます。色も暗緑色、暗褐色、黒褐色、紫褐色など微妙です。症状を正確に表現するためとはいえ、多くの人にとって字面だけでの判断には厳しいものがあります。

3.写真と照らし合わせ、いざ、病名診断!

そんな時に頼りになるのが写真です。そこで今回は写真を交えながら、代表的なトマトの病気6種類についてその対策も含めて紹介したいと思います。





1. うどんこ病

カビの仲間である糸状菌による病気で、主に空気伝染性です。
病名の通り葉の表面にうどんの粉を振りかけたような白いカビが発生します。そのままにすると葉全体が真っ白になり葉の裏にもカビが生えます。カビがヘタなどに発生すると商品価値の低下を招きます。株全体が枯れることは少ないですが酷くなると生育が悪化します。高温で乾燥した条件で発生し、施設栽培では周年発生することもあります。
薬剤散布が効果的なので初期防除に努め、発病部は除去しましょう。


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2. 灰色かび病(はいいろかびびょう)

糸状菌による病気で、主に空気伝染性です。
葉に暗褐色で楕円形をした大きな模様が病斑として現れます。病斑は水にぬれたような水浸状をしており、灰色のカビが生えています。症状が酷いと果実が灰色のカビに覆われたり、病斑から上の部分が枯れたりします。多湿条件で発生するので施設栽培で多発する病気です。
薬剤散布が効果的なので初期防除に努め、発病部は除去しましょう。発生予防には十分な換気が効果的です。


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3. 青枯病(あおがれびょう)

細菌による病気で、主に土壌伝染性です。
気温が高い晴れた日中によく発生し葉が青いまましおれることが特徴です。植物体全体がしおれ夜間になると元に戻る状態を繰り返します。数日後にはしおれが回復しなくなり枯れます。切った茎を水に漬けると病原菌の塊りの白っぽい液が出るので、単なる水不足と区別できます。

発病株はすぐに引き抜き処分します。土壌伝染するので施設栽培で養液を循環させている場合は被害が急増することがあります。発生予防には土壌消毒が有効です。


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4. 萎凋病(いちょうびょう)

※写真提供:タキイ種苗株式会社

糸状菌による病気で、主に土壌伝染性です。種子伝染もします。
高温期によく発生し、下の葉からしおれ黄化します。はじめは片側の葉にだけ症状が出ることもあります。生育は悪化し実付きも悪くなります。酷くなるにつれ症状は上の葉に及びやがて枯れます。
発病株はすぐに引き抜き処分します。土壌伝染するので施設栽培で養液を循環させている場合は被害が急増することがあります。発生予防には土壌消毒や種子消毒が有効です。






5. トマト黄化葉巻病(とまとおうかはまきびょう)

ウィルスによる病気で、主に罹患植物(らかんしょくぶつ)を吸汁したタバココナジラミが媒介します。
新葉から退色し葉が巻き、やがて葉脈間が黄化します。酷くなると葉は小型化しちりめん状になり、株全体が委縮します。生育が著しく悪化し、開花することがほとんどなくなるので収量は望めません。
発病株を見つけたらすぐに引き抜き処分します。予防のためタバココナジラミの防除に努めましょう。


以上、トマトの代表的な病気5種類についてご紹介しましたが、写真による分かりやすさを実感できましたでしょうか。試しに写真を隠して文章だけを読まれてみると、その差は歴然だと思います。今回紹介しきれなかった他の病気や生理障害、虫害については他の機会に紹介していけたらと思います。



■参照ウェブサイト
野菜病害虫・生理障害情報(タキイ種苗株式会社)
あいち病害虫情報(愛知県農業総合試験場 環境基盤研究部 病害虫防除室)



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。








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