コラム

明るいのに涼しい遮熱シート【明涼】とは?遮熱・遮光資材の正しい選び方と使い方

公開日:2020.06.25

温暖化の加速によってビニールハウス内の温度も年々上昇傾向にあります。
ハウス内の温度を下げて涼しい環境を作ることは、作物の高温障害はもちろんのこと、作業者の熱中症予防のためにも重要な取組みとなっています。ハウス内の温度を下げるために試行錯誤している農家も多いのではないでしょうか?
遮光カーテンや遮光ネットといった遮光資材は、ハウスの暑さ対策には欠かせない定番の農業資材ですが、選び方や使い方によって効果が大きく変わります。

そこで今回は、可視光線透過型高温対策シート「明涼」を販売している日新商事(株)の大谷さん、栗下さんに遮熱・遮光資材を選ぶポイントや作物別おすすめの遮光率を取材しました!

1.遮光資材は白色がおすすめ!明るいハウスで生育アップ



遮光資材を選ぶポイントはなんですか?

<栗下さん>:「ハウス内を暗くすれば温度が下がる」と思っている方が多くいらっしゃいますが、黒やシルバーの遮光資材は作物に必要な光も遮ってしまうため、上手く光合成ができず生育不良につながります。


黒やシルバーの色付きの遮光資材は黒や紺の日傘のように色で影を作り、ハウス内の温度を調整します。 黒色の部分が熱を吸収するため、資材自体が熱を持ちパイプを伝ってハウス内に熱が降りてきてしまいます。 その結果、熱が外に逃げにくい環境となり、ハウス内の温度が下がりにくくなってしまうのです。


反面、白色の遮光資材は熱を吸収するのではなく「反射」するため、資材自体が熱くならない性質があります。(熱線反射型)
私たちが販売している「明涼」も熱線反射型の遮光資材ですが、お使いいただいている農家さんから「明涼は触っても熱くない。むしろ冷たく感じる!」と言われたことがあります。
作物に必要な光を取り込みながらハウス内の温度を下げることができるため、生育不良の心配もありません。


また、一般的な黒色の遮光資材は直線光のため光が散らばらないのですが、明涼には散乱の効果があり、黒色の同じ遮光率の資材と比べてもハウス内が明るくなります。
ハウスの中が明るいため、本当に涼しくなっているの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にイチゴの栽培ハウスで温度が5℃下がった実績もあります。(※明涼の実証試験結果)


<大谷さん>:最近では、従業員の方のために「少しでも働きやすい環境を作りたい」という方が増えています。作物のためだけでなく、熱中症対策としてハウス内の温度を下げたいそうです。
時代に合わせて、ハウスの温度を下げる目的も変わってきたと感じています。熱中症対策や従業員の職場環境の改善にも明涼は有効です。
農業以外の現場でも、保育園や幼稚園でも日除けとして使われている事例もあります。




御社の高温対策シート「明涼」はどのような作物に使われていますか?

<大谷さん>:一番多いのはイチゴとトマトです。他にも果菜類ではマンゴー、きゅうり、ピーマン、ナス等。
葉菜類では夏秋ほうれん草、サンチュ、小松菜、水菜等で使われています。
花き類で一番多いのはトルコギキョウ。他にもカーネーションやりんどう、菊、スイートピー、パンジー等でも使われています。

―どのような産地で使われているのですか?

<大谷さん>:全国各地でお使いいただいています。平地では宮崎や鹿児島などの南国が多いです。南国の多くはマンゴー栽培に使われています。元宮崎県知事・東国原さんのPRで有名になった宮崎県のブランドマンゴー「太陽のタマゴ」や、完熟きんかん「たまたま」にも明涼が使われていますよ。


タイや東南アジアといった海外でも使われています。タイではイチゴやマンゴーが多いですね。タイでイチゴを作るのは難しいと言われているのですが、明涼の散乱光が作物に良いと好評です。聞いた話によると、タイのイチゴは酸味が強く、野菜として食べる方が多いそうです。

2.花きの受賞多数!ハウス内にゆき渡る散乱光がポイント

<大谷さん>グロリオサという花をご存知ですか?アフリカ、熱帯アジア原産の真っ赤に燃え上がる炎のような花びらが特徴のユリ科の花です。もともとは海外で栽培されていたのですが、「日本で栽培するほうが品質が良い」と、現在は日本で栽培されています。とくに高知県での栽培が盛んで、品評会で受賞するほどの品質です。この受賞をした花き栽培ハウスにも明涼が使われています。


宮崎県の高千穂市で有名なラナンキュラスという花の栽培ハウスにも、明涼が使われており、こちらも受賞歴があります。「ハウス内にしっかりと光を取り入れることができて、生育がよくなった!」という声を多くの農家さんからいただいています。


遮光しているのにしっかり光を取り入れるとはどういう事でしょうか?

<栗下さん>明涼にはワリフⓇというネット状のポリエチレン不織布を使っています。
ワリフⓇは加工がしやすい素材で、お菓子の袋に使ったり、不織布加工をして衛生キャップに使ったりしています。このワリフⓇに耐候剤などを添加し、農業用に転用したのが高温対策シート「明涼」です。(※正式名は「ワリフⓇ明涼」)


明涼は、縦と横と斜めの繊維を熱で融着して出来た不織布です。この斜めの繊維によって、ハウスに入ってきた光を散乱させる効果が期待できます。
直射で入ってきた光がまんべんなくハウス内に行き渡り、作物全体にも光が届いてしっかり光合成できるようになります。だから生育も良くなるのです。



直射日光にさらされますが、丈夫な素材なのですか?

<栗下さん>:明涼に使われているワリフⓇには紫外線劣化防止剤が入っており、遮熱には酸化チタンという添加物を煉り込んでいるため、通常の資材よりも長持ちする様に作られています。 使用環境によっても異なりますが、平均して6~7年はお使いいただいています。
今まで黒い遮光資材を使っていた方からは「価格が高い」と言われることもあるのですが、生育への影響や資材の寿命が長いこともトータルで考えていただければ、とてもメリットのある資材だと思います。

<大谷さん>:農家さんがハウスにかける時にほつれにくい点や、扱いやすいところも喜ばれていますね。パイプにひっかけて穴をあけてしまうことがあるのですが、穴が開いてしまっても広がりにくく、伝線しにくいのも特徴です。

ー遮光資材を上手に長く使うために気を付ける事はありますか?

<大谷さん>:そうですね、もちろん扱い方によっても資材の寿命は変わります。使わない期間は取り外して倉庫など日の当たらない場所に保管していただきたいです。
ハウスに設置している間は常に光を反射させているため、暗い場所で休ませて劣化を防止します。
サッとに汚れを落としてから、保管していただくとより長くお使いいただけます。明涼はかなり丈夫な資材なので 汚れを落とす際には高圧洗浄機を使っても大丈夫ですよ。

3.作物・地域別おすすめの遮光率とは?

遮光率の種類がいくつかありますが、農家さんは何を基準に選べば良いでしょうか?

<栗下さん>:今まで導入された明涼の事例を基にご紹介します。
作物別では、トマトは遮光率30%。夏秋トマトは遮光率20%が多いですね。キュウリは遮光率50%。
イチゴの場合は7月下旬頃に育苗で使われていることが多く、苗床は遮光率20~30%。 しかし、イチゴ狩りなどをやっている観光農園の場合は春先に使うため、遮光率30%を使用します。そして定植時に遮光率が高いものに変えるなど、観光時の春用と栽培時の夏用で使い分けている方もいらっしゃいます。
主に冬物野菜として栽培されているホウレンソウなどの葉物野菜は、高遮光が必要なので、遮光率40~50%が多いです。 マンゴーも高遮光で遮光率40~50%が多く、宮崎のブランドマンゴー「太陽のタマゴ」は遮光率50%です。 高知県のグロリオサは、遮光率40%です。

これらは一例ですので、ご相談いただければ栽培作物やハウスにあった遮光率を提案いたします。
また、明涼には遮光資材としては珍しく「遮光率20%」と、低遮光率のものがあります。初めて明涼を使う方や心配だなと思う方は試しに遮光率20%の明涼を使ってみてほしいです。季節によって遮光率の違うものに張り替えている方もいらっしゃいますので、まずは遮光率20%から使ってみていただいて、良さを実感していただけたら高遮光のものを検討していただいても良いと思います。
また、近隣で明涼を導入している農家さんがいらっしゃいましたら見学されることをおすすめします。

今まで黒やシルバーの遮光資材を使っていた方は、「暗くならないと涼しくならないのでは?」と思うかもしれませんが、「あれ!?本当に明るくて涼しい!」というのを、ぜひこの夏に体感してほしいです!

記事内でおすすめされている資材

日新商事様(株)
可視光線透過型高温対策シート「ワリフⓇ明涼」



商品詳細はこちら

今回取材させていただいたのは…

日新商事株式会社
農業資材部 広報担当:大谷さん

入社7年目の明るくはきはきとした女性。笑顔が多く、周囲にも元気を与える存在。現在は四国地方を担当している。
●好きな食べ物:高知で食べるカツオのわら焼き(塩)
●一言:「農業はまだまだ勉強中です!」




農業資材部 主事:栗下さん
資材部のリーダー的存在。明涼を広めるため全国各地の農家さんを回っている。
●趣味:バーベキュー(焼き担当)。最近は「BBQで焼く焼き鳥」の魅力にはまっている。


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ライタープロフィール

【施設園芸.com編集部】