コラム
公開日:2020.05.15
土耕栽培での土の管理は課題が多く、栽培歴何十年といったベテラン農家さんも頭を悩ませています。試行錯誤を繰り返している方も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのがロックウール栽培です。植物がしっかりと養分・水分を吸収することができるため、土耕栽培よりも生育がよいと評判で、土耕栽培からロックウール栽培へ変える農家さんも増えています。とくにトマト栽培での事例が多く、注目を集めています。
今回は、ロックウール栽培に必要なマットやシステムなどのおすすめの資材についてご紹介します。
ロックウールとは、鉱石などを原料として作る人工繊維のことです。建築用の断熱材や防音材として使われる一方で、これを栽培用の培地として使うのがロックウール栽培です。ロックウール栽培のメリットやデメリットについては、こちらの記事もご覧ください。
基本的な施設園芸の設備に加えて、ロックウール栽培では次のような資材が必要となります。
セルトレイのように小さな培地が連結しており、ここに種をまいて育苗します。苗がある程度の大きさになったら、次のポットに移植します。
ロックウールプラグで育てた小さな苗を移植するための、キューブ状の培地です。はじめから穴があいていてプラグを差し込みだけで済むものもあり、使い方は非常に簡単です。
栽培ベッドの上にロックウールマットを敷き、このマットの上にロックウールポットを設置することで定植します。
ロックウール栽培は保水性、排水性が他の栽培方法とは異なるので、栽培システムもロックウール栽培用にする必要があります。
この他、作物によって誘引用のワイヤー、クリップ、葉面散布システムなどがあります。
日本でロックウールの資材を購入する場合、主なメーカーはオランダのGrodan(グロダン)、カルチレン、そして日本ロックウール社、誠和。の4社です。
ロックウール培地で世界一のシェアを誇るオランダのグロダン社が提供する育苗用プラグです。移植の際は、ポットに空いた穴にプラグの培地を詰め込むだけで移植することができます。
カルチレンもオランダのメーカーであり、世界的なシェアを持っています。
ふつうのロックウールは繊維方向が縦と横のみであり、発根はキューブの下の部分に偏りがちです。それに対し、この製品はキューブ中の繊維があらゆる方向を向いているため、より均一な発根が促進され、根量が通常よりも多くなります。
日本のメーカーが提供する野菜や花き類用のベッドです。日本製ということで、サポート体制に強みがあります。たとえば、ロックウールは1~2年で更新するため廃棄処理が必要なのですが、こちらのメーカーでは使用済みのロックウールを回収・リサイクルするサービスがあります。
誠和は施設園芸分野の研究開発をしているメーカーで、栃木県にトマトパークという研究施設を持っています。誠和が提供するこのロックウール栽培システムでは、最大4系統までの給液、循環システムを持っています。
以上、ロックウール栽培におすすめの資材について紹介しました。導入実績のある取り扱い業者に相談して、どんな資材が良いか検討してみましょう。
ライタープロフィール
【内村耕起】
宮崎県の牛農家生まれ。大学院で植物工場での廃棄物利用に関する研究に従事したのち、全国の農家を訪ね歩いてファームステイ。岩手県の自然栽培農家で2年間の農業研修を経て、現在は宮崎県の山間部の村で自給的農業を営む傍ら、ウェブライターなどもしています。