コラム

団粒構造とは?土作りの方法や土壌環境への効果を解説!

公開日:2020.11.18

1.団粒構造の土壌は野菜がよく育つ

よく野菜の栽培には「水持ちが良くて、水はけが良い土」が良いといわれます。一見矛盾するような言葉ですが、これを実現するのが 団粒構造を持った土壌です。一般的に作物の生産性が良く、土づくりに力を入れている篤農家さんの畑では団粒構造が発達していることが多々あります。
そこでここからは、野菜の栽培に適した団粒構造とは何か、メリットやその作り方について詳しくお伝えしてゆきます。

2.団粒構造とは?

土壌粒子がくっついて小粒の粒子になったものを団粒(だんりゅう)と呼びます。「団粒構造」とは 団粒が更にくっついて集合体となったもの指します。そして、土壌粒子をくっつけているのは 土壌中の陽イオンや粘土鉱物、腐植などの有機物、ミミズや微生物、植物根の分泌物、カビの菌糸などです。
発達した団粒構造は雨などで 濡れても壊れない耐水性を獲得しており、これには 生きた植物の根によって団粒が固められることが重要と考えられています。一方で土壌粒子がバラバラの土は「単粒構造」といいます。

下の写真は単粒構造と団粒構造を比較したものです。見た目にも土壌の詰まり具合の違いが良くわかると思います。

引用元:信州大学 治山学研究室ホームページ



団粒構造の発達した土壌は 柔らかくフカフカで野菜の栽培に適しています。単粒構造の詰まった固い土では植物の根は伸びにくく酸素不足になりやすいため農業には不向きです。

下の図は単粒構造と団粒構造の特徴を表したイメージ図です。単粒構造は土壌が詰まっているのがわかります。

単粒構造の土壌は雨が降り、ベタベタに乾燥すると カチカチに固まります。

一方、団粒構造は団粒の外には 大きな隙間があり、団粒の内部には非常に狭い隙間(毛管孔隙)があることがわかります。この 2種類の隙間があることが重要です。雨が降ったり潅水を行ったりすると団粒の外側の隙間は大きいので、水が流れ落ち、空気が蓄えられます。団粒内部の隙間には浸透した水が保持されます。これが作物の栽培に適した保水性、通気性、透水性に優れた 「水持ちが良くて、水はけがよい」土の正体です。

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3.団粒構造の作り方

火山灰土壌の黒ボク土のように元から団粒構造を持った土壌もありますが、多くの土壌はそうではありません。また、団粒構造を持った土壌でも耕うん等によってその構造は壊されてしまいます。

団粒構造を作り維持するには土づくりが欠かせません。  堆肥や有機質肥料などの有機物を投入して土壌改良を行いましょう。土壌の有機物量が増えるだけでなく、土壌微生物の量や活性も増加することで団粒構造の発達が促されます。また 根量や茎葉量の多い作物を緑肥としてすき込むことも団粒構造の発達に効果的です。特におすすめは 根量の多いヘイオーツやソルガム、ライムギなどのイネ科牧草です。



団粒構造の発達した土は保水性、通気性、透水性に優れた作物の栽培に適した素晴らしい土壌です。団粒構造を作るのに特別難しいことはありません。堆肥の投入や緑肥の栽培によって団粒構造に富んだ土壌を手に入れましょう。



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▼参考サイト
〇団粒構造とは? 植物が良く育つ土壌に必要な要素と土の作り方,セイコーエコロジア,㈱セイコーステラ
https://ecologia.100nen-kankyo.jp/column/single018.html
〇団粒,月刊 現代農業「現代農業」用語集 土と肥料_基礎用語,ルーラル電子図書館
http://lib.ruralnet.or.jp/genno/yougo/gy294.html
〇緑肥作物の効果,雪印種苗㈱
https://www.snowseed.co.jp/use/use-10000152/
〇土づくり,アグリシステム㈱
http://www.agrisystem.co.jp/agrisystem/2008/08/earth.html
▼参考文献
〇土壌の組成とはたらき,山根一郎,URBAN KUBOTA No.13(1976) p.42-47、㈱クボタ
https://www.kubota.co.jp/siryou/pr/urban/pdf/13/pdf/13_4.pdf

ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。








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