コラム
公開日:2021.03.10
農業を始めた際、まず最初に悩むポイントが土づくりではないでしょうか。育てたい植物に合わせ、圃場の状況を最適な環境に作り上げることが求められます。ここで失敗をし、収穫量が大幅に減ってしまうなどの問題は絶対に避けなければなりません。
この土づくりで必須となってくるのが土壌改良資材の存在です。石灰やパーライトなど、その種類は多岐にわたるため、それぞれの特徴、効果や使い方を知ることが大切です。
そこで今回は、土づくりの中でも悩みの多い土壌のpH(酸性度)調整や、通気性・保水性の確保におすすめの資材をご紹介していきます。
多くの植物は弱酸性~中性の環境を好みますが、ブルーベリーなど強い酸性を好む植物も存在します。また、日本では雨の影響で土壌が酸性に傾きやすいため、pHの調整は都度必要になってきます。
効き目が早く、少量で効果を発揮するコスパの良さから多くの農家さんが使用しています。ただし、強アルカリ性で皮膚につくと炎症を引き起こすため注意が必要です。
効き目は穏やかでマグネシウム(苦土)も同時に補給できるため、ガーデニングや家庭菜園におすすめの資材です。ホームセンターなどで購入し、分量通りに使用すれば害もほとんど起こりません。
牡蠣の殻を細かく砕いたもので、有機石灰とも呼ばれています。じわじわと効果が出始め、撒き過ぎても大きな問題にはなりません。特に初心者の方におすすめの資材です。
酸度調整済みのものと、無調整のものがありますが無調整のものを使用します。
土壌混入後、効果が出るまで20日以上かかります。アルカリ性土壌を酸性に傾けることは難易度が高いため石灰の撒き過ぎには注意が必要です。
△バーミキュライト
通気性や保水性の改善には、鉱物を利用した土壌改良資材や腐葉土などの植物質堆肥が使われます。花卉類やイチゴなどに代表される施設園芸では、パーライトなどの鉱物系が良く利用されています。
黒曜石を高温で熱し加工したもので、気泡を多く含んでいます。通気性・透水性に優れているため、水はけの悪い土地の土壌改良におすすめの資材です。
黒曜石パーライト同様に、真珠岩を加工したものです。内部まで水が染み込む特性から、保水性を高める効果が期待できます。
苦土蛭石を高温で加工したものです。加工の過程で発生する、アコーディオン上の隙間に水を蓄えられるため保水性に優れています。
土壌改良で最も大切なことは、 適切な資材を選択することです。植物が好む土壌環境は、酸性で水はけのよい土壌を好むブルーベリーから、中性土壌を好むホウレンソウまで様々です。 育てている植物や圃場の土壌環境に合った資材を選択し、生育に適切な環境を作っていきましょう。
腐植酸資材「太古の力」
▼参考文献
〇土壌改良資材,農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/kana_20.pdf
〇Ⅲ土壌の改良方法,静岡県
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-325/hiryou/documents/sehi12-dai3bu3.pdf
▼参考サイト
〇LOVEGREEN 植物と暮らしを豊かに。
https://lovegreen.net/
ライタープロフィール
【畠中駿輔(ハタナカシュンスケ)】
慶應義塾大学卒。28才。
学生時代に東アフリカ6000kmを自転車で縦断。田舎の農村で見た人々の笑顔が忘れられず、銀行員を経て農業の世界へ。2019年日本の農業技術で世界の人々を豊かにするべくタイ北部に移住。
25aの圃場を立ち上げ、現地の方と共にイチゴの高設栽培をしている。