コラム

ハウスでマンゴーを育てよう!基本的な栽培方法とおすすめ品種

公開日:2023.06.21

とろりとした果肉に濃厚な甘味がつまったマンゴー。かき氷のトッピングやプリンなどに使われる人気の果物です。日本国内のマンゴー栽培は沖縄や、鹿児島、宮崎などの温暖な地域がメインですが、近年では栽培の北限が広がっていることに注目です。埼玉や群馬など関東地域では「さいたマンゴー」「あまみごえ」「グンマンゴー」など、ちょっと気になる名前がつけられたブランドマンゴーが続々登場しています。また、北の大地、北海道でも温泉を利用したマンゴー栽培が実現し、関東以北でも栽培の可能性が広がっています。この記事では、ハウスを利用したマンゴー栽培についてまとめました。

1.マンゴーってそもそもどんな植物?

マンゴーは、熱帯地域を原産とするウルシ科マンゴー属の果物です。日本では主にメキシコやフィリピン、タイなどから輸入されています。常緑性の高木で、樹勢があり、環境が整えば約20m以上成長します。

栽培適温は24℃から30℃で、耐寒性はありません。そのため、日本のマンゴー生産は亜熱帯気候に属し、無加温ハウス栽培が可能な沖縄県、加温ハウス栽培がメインの鹿児島県、宮崎県がトップを占めています。輸入マンゴーと比べると、国産マンゴーは商品価値が高く、生産が成功すれば、高級感のある果物としてブランド化しやすい農産物と言えます。

2.マンゴーの基本的な栽培方法をご紹介

△ネット栽培のハウス内



マンゴーは定植から3年後に収穫できます。成長スピードが早く、高木になると管理に手数がかかることに注意が必要です。種から育てることもできますが、接木苗を購入し、誘引や剪定をくり返しながら低木に育てるのが一般的です。



定植→潅水

ハウス栽培では、直植えのほか、鉢植えでの栽培や収穫も可能です。鉢植えは日当たりに合わせて移動ができるのがメリットですが、移植後に直根を数メートルまで伸ばす直植えと比べると灌水管理が難しくなります。苗がしっかりと成長するまでは土の乾燥を避け、水やりに気を配りましょう。



開花→受粉→吊り下げ

マンゴーは1月頃に開花が始まります。開花期の温度管理は特に重要です。気温は花穂の成長や開花に大きく影響します。また、ハウス内へミツバチなどを放虫し、受粉を促す訪花活動は、気温が下がると虫がうまく活動しません。23度以上を保つよう心がけるのがポイントです。

開花期はそれぞれの花穂が十分に日光に当たるように紐を使って重なっている部分を吊り上げ、調整します。この花吊りの作業を済ませておくことで、3月から4月に始まる摘果作業が楽に進められるのがメリットです。1枝に1、2個を残して摘果します。成長期に入るため、この時期に肥料を与え、灌水をして乾燥を防ぎます。





袋がけ→収穫

マンゴーの袋がけは欠かせない作業です。マンゴーは完熟すると自然落下する性質があるためです。重さで折れないように枝吊りを済ませたのち、手作業で袋がけを進めます。マンゴーの表面が赤やオレンジ色に変わる、果実から甘い香りが漂い始めるなどの変化が現れたら、いよいよ収穫時期です。



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3.マンゴーをハウスで育てる時のおすすめ品種

マンゴーには多くの品種があります。主にアーウィン、キーツ、金煌(キンコウ)、カラバオなどのマンゴーが流通していますが、日本国内で栽培されているのはほとんどがアーウィン種です。別名「アップルマンゴー」と呼ばれており、宮崎県で栽培されている「太陽のタマゴ」もアーウィン種です。実の大きさは400グラムほどで、完熟すると果皮が赤くなります。初めてマンゴー栽培に挑戦する際は、国内の栽培実績が多いアーウィン種(アップルマンゴー)を育てるのがおすすめです。

△アップルマンゴー




繊維質が少なく、トロッとした食感のマンゴーは、季節を問わず人気の果物となりました。気温や湿度といった条件がそろえば、沖縄や九州地方以外の地域でもマンゴー栽培が可能です。国産マンゴーは希少価値が高く、話題性も十分な果物です。ぜひ国産マンゴー生産に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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▼参考サイト
〇農研機構, 加温ハウス栽培マンゴ-4月出荷作型における花芽分化期の温度管理法
https://www.naro.affrc.go.jp/org/karc/seika/kyushu_seika/2002/2002261.html
〇みんなの趣味の園芸,マンゴー
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-958/target_tab-2
〇国際農研, 日本のマンゴー生産量
https://www.jircas.go.jp/themes/custom/mango/minisynop/synopsis05-002.html
〇みんなの農業広場,農業経営者の横顔
https://www.jeinou.com/manager/2011/08/05/093900.html

ライタープロフィール

高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。 ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。 発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!









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