コラム
公開日:2023.12.24
冬を代表する花のひとつとして知られる「ポインセチア」。赤色が印象的な花ですが、色づかせるには栽培時の管理が重要になってきます。今回は、ポインセチアの基本的な育て方や、きれいに色づかせるためのポイントを紹介します。新しい栽培品目としてポインセチアを栽培してみたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ポインセチアは、トウダイグサ科ユーフォルビア属の常緑性低木です。クリスマスシーズンに開花期を迎えることから、寒さに強い植物と思われるかもしれませんが、メキシコ原産のため日本の冬は寒く厳しい環境とされています。
赤色と緑色のコントラストが印象的なポインセチアですが、実は赤く色づいている部分は花ではなく、苞(ほう)と呼ばれる萼(がく)が進化したものです。苞の色は赤色以外に、ピンク色・白色・黄色などがあります。また、ポインセチアの特徴として、短日植物であることが挙げられます。これは、日照時間が12時間以下になると花芽を付けるという性質の植物を指し、秋頃に短日処理という管理を行うことでしっかりと着色させることが可能です。
ここからは、ポインセチアの基本的な栽培方法(鉢植え)を紹介します。
ポインセチアはメキシコなどに自生している植物のため、栽培適温は20~30℃とされています。基本的に寒さに弱く、とくに霜には注意が必要です。
挿し木は6月中旬~7月中旬頃を目安に、ミストかん水ができるハウスで行います。挿し穂の本葉を3~4枚ほど残し、下葉を取り除きましょう。切り口から出る白い液は発根を抑制する働きがあるため、さし木を行う前に水で洗い流し、切り口に発根剤をつけておきます。
挿し木用の土は、赤土4・ピートモス3・腐葉土2・パーライト1の割合で混ぜたものを使用してください。また、消毒を行うことも忘れないようにしましょう。市販されているメトロミックスなどの培養土を使用してもかまいません。
土を4号~5号の鉢に入れ、苗を挿したら、遮光して乾燥を防ぎましょう。およそ2~3週間後に発根してきます。最近では、発根済みの苗が入手可能です。その場合は、そのまま鉢に植え付けても問題ありません。
苗の品質がその後の生育に影響するため、木質化していない若くて充実した挿し穂を用意しましょう。
苗が発根したら鉢上げを行います。土はメトロミックスを使用するか、さし木で使用したものに元肥としてマグアンプKなどの緩効性肥料を施しておきましょう。施肥量は、1リットルあたり2~3gが目安です。 鉢上げが完了したら、活着するまでは遮光したままで生育していきます。活着後も、夏などの日差しが強いときは、日中は遮光しておくとよいでしょう。また、生育を見ながら500~1,000倍の液肥を施します。
鉢上げから3週間ほど経過したら、生育を見ながらピンチを行います。4号鉢の場合は本葉が4~5枚、5号鉢の場合は6~7枚残してください。ピンチを行う際は、地上部の節数が必要な枝数よりもやや多くなるようにし、指先で摘んでいきます。
あまり早い段階で行うと、側枝数が少なくなり揃いも悪くなるため、順調に生育していることを確認してから行うことが重要です。
節間の伸長を抑制してコンパクトにするため、摘芯後にわい化剤を使用して処理を行います。
ポインセチア栽培で気を付けたい病害虫は、以下のとおりです。
〇病気:苞枯病・灰色かび病・苗立枯病・褐斑病・斑点病など
〇害虫:コナジラミ類・カイガラムシ類など
小さな花苞までしっかりと着色させてから出荷します。雌花から蜜がでるようになったときが最も適したタイミングです。出荷時にビニール製のスリーブを使用すると、蒸れによる傷みが起こる場合があります。また、品種によっては枝が折れやすいものもあるので、注意して作業を行いましょう。
ポインセチアは、短日処理を行うことできれいに色づきます。ポインセチアは短日植物のため、日照時間が12時間以下にならないといつまでたっても着色しません。
短日処理は、出荷予定日の70~75日前からはじめるのが一般的です。日照時間が9時間になるように、17時から翌朝8時までシルバーマルチなどをかぶせ、日が当たらないようにします。これを開花まで毎日行いましょう。
確実に着色させるには、短日処理中は一切日が当たらないようにすることが大切です。
栽培品目にポインセチアを追加しようと検討中の方は、本記事を参考に栽培の流れを理解しておきましょう。
▼参考サイト
〇末澤園芸,ポインセチア
http://www.suezawa-engei.com/flower/poin.html
〇茨城県農業総合センター「花き栽培基準」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/iba02-21.pdf
ライタープロフィール
かくやさゆり
種苗会社で培った経験と知識を活かしライターとして活動。
家庭菜園とアウトドア遊びが趣味の半農半ライターです。農業を中心にアウトドアをテーマにしたメディアでも執筆中。