コラム
公開日:2024.11.01
あざやかなグリーンが料理を一気に引き立てるスナップエンドウ。さやが大きく成長しても固くならずに口あたりが良く、パリッとした食感と甘みが魅力の野菜です。下処理が簡単で、火が通りやすいといった調理のしやすさも魅力。クセがないため、筋取りさえしてしまえばバラエティに富んだ食べ方ができる野菜です。
この記事では、スナップエンドウの育て方を紹介します。
スナップエンドウの旬は3月初めから6月頃。低温にあたると花芽の分化が進むため、品種にもよりますが秋まき春採り栽培が一般的です。
発芽適温は15~20℃で、中間地や暖地では10月中旬から11月頃に種を蒔きます。
寒冷地の露地栽培では春まきが推奨されていますが、施設栽培なら秋まきが可能です。さらに、冬から春にかけて促成栽培ができるほかハウスを利用した2季採りも実施されています。
種まきの約2週間前に苦土石灰や堆肥を畑にすき込みます。
水はけをよくするために高さ10cm以上、幅70cmから120cmほどの畝を作り、30cm間隔でまき穴をあけて播種しましょう。不織布で畝を覆うと、虫や鳥の被害を防ぎ、低温から苗を守るメリットがあります。
3年から5年以上栽培期間を空けた圃場で栽培しましょう。排水対策や収穫後の土壌消毒、有機物を投入したりするなど、土壌改良に力を入れるのも連作障害を防ぐ方法の一つです。
また、苗が成長しすぎると冷害を受けやすくなります。草丈が10センチほどで越冬させるのがおすすめです。
播種から3週間ほど経ち、本葉が3、4枚になったら間引きします。2本仕立てに間引きしてから根元に土をかぶせておきましょう。
スナップエンドウのつるが伸び始めたら、支柱を準備します。1m間隔で支柱を立てて、ネットや紐を張り、伸びてきたツルを絡ませます。少なくとも本葉が4、5枚になるまでに支柱に絡ませるのがおすすめです。
スナップエンドウは実をつけるために多くの光を必要とします。主枝を残し、側枝は取り除く一本仕立てで育てましょう。花より下の脇芽は摘心し、さらに下3段ほど摘花すると草勢が増します。
追肥はツルが伸び始めた時と開花した時の2回、株の周りに施しましょう。
スナップエンドウの収穫は、開花後20日程度が目安です。収穫はさやを手で引っ張ると簡単に採れますが、表面が痛む原因になることも。傷がつかないように気をつけながら、ハサミでガクの下1ミリ程度を切っていきます。
スナップエンドウは晴れの日を選んで収穫します。雨の日は切り口から菌が入りやすくなるためです。さやに光沢があり、あざやかな緑色をしていて、額が変色していないものを収穫しましょう。
収穫後は低温で保存します。
さやが白っぽく変色しているものは、残念ながら収穫時期を逃しています。さやが固くなっているため、スナップエンドウとしては出荷できないのが難点です。旬の時期は収穫タイミングを逃がさないよう、こまめに圃場をチェックしましょう。
絹さや、グリーンピースなどえんどう豆の成長とともに味わいを楽しめるスナップエンドウ。栽培しやすく、収穫時の負担が軽いため、移行栽培に向いている野菜です。スナップエンドウの栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。
▼参考文献
〇日本農業新聞,2024.2.18号, スナップエンドウ 単価堅調で作付け急伸 家庭→調理しやすい 農家→収穫負担軽い
https://www.agrinews.co.jp/news/index/215029
〇全農,出荷規格表,●きぬさやえんどう
https://www.zennoh.or.jp/hr/syukkakikaku/img/kikaku02.pdf
〇農研機構,研究成果情報,平成27年度,無加温ハウスにおけるスナップエンドウの越冬2季どり栽培
https://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/seika/jyouhou/H27/yasaikaki/H27yasaikaki007.html
〇JAとぴあ浜松,エンドウの育て方
https://jatopia.ja-shizuoka.or.jp/archives/garde/10%E6%9C%88-%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A6%E3%81%AE%E8%82%B2%E3%81%A6%E6%96%B9
〇独立行政法人畜産産業振興機構,(野菜情報 2013年4月号)
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/santi/1304_santi1.html
〇鹿児島県,B マメ類・果菜類
https://www.pref.kagoshima.jp/ag04/sangyo-rodo/nogyo/gizyutu/kankyo/yuuki/documents/71177_20190315143824-1.pdf
ライタープロフィール
高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。
ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。
発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!