コラム

【アザミウマ対策グッズ】耐薬性が強い害虫をやっつける防虫ネットや粘着シート

公開日:2024.07.17

※2019.8.9公開分を再編集した記事です



1.耐薬性が厄介!発見しにくい微小害虫「アザミウマ」

毎年厄介な被害を出すアザミウマ。体長1~2mmほどの微小害虫で肉眼では発見がしづらく、卵から孵化して幼虫、蛹、成虫になるまで約20日と生活環が早いため、すぐに成長して繁殖してしまいます。年間を通して発生するため普段から対策が必要です。
アザミウマの害虫対策には農薬や天敵昆虫の利用が一般的ですが、耐薬性が強いため思うように駆除できないケースもあります。そこで、この記事では防虫ネットや粘着シートなど「アザミウマ対策グッズ」を使った駆除・防除方法をご紹介します。

2.アザミウマを防除!農薬以外の対策グッズとは

農薬以外の代表的な害虫対策グッズには捕虫器、粘着シート、防虫ネットがあります。
これらのグッズを使うメリットは一度設置をすれば少ないメンテナンスで長期間効果を得る事ができる点です。そして、粘着シートを観察することで発生状況や飛来時期を知ることができます。また、農薬の使用量を減らすことができます。

防虫ネットは外から入ってくるアザミウマを防除します。害虫は「ハウスの中に入れない・増やさない・出さない」が鉄則、まずは外からの侵入を防ぎます。
他にもハウスの被覆フィルムを近紫外線除去フィルムにしたり、紫外線反射率の高いシルバーマルチなどをハウスの周辺に敷設するとアザミウマ及びその他害虫の侵入を抑制できます。
次に、侵入してしまったアザミウマへの「増やさない」対策グッズは捕虫器と粘着シート。アザミウマも他の害虫と同様に黄色に寄っていく習性があるため、黄色の粘着シートで捕虫します。また、捕虫効果を上げるためアザミウマの好む匂いや光を使って引き寄せてから粘着シートで捕虫できる捕虫器があります。



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3.おすすめのアザミウマ対策グッズ5選

ここからは、数ある捕虫器と防虫ネットの中からアザミウマ対策におすすめの商品を2つご紹介します。




誘引式アザミウマ捕虫器(屋内専用タイプ) アザミウマキャッチャー

繁殖しやすく耐薬性の強いアザミウマ類の害虫を色と匂いでおびき寄せ、粘着シートに付着させます。粘着シートの捕虫数を計算することで、農薬散布のタイミングを判断する調査器具です。





防虫ネット サンサンネット® e-レッドシリーズ

アザミウマをはじめ目に見えない微小サイズの害虫を防除する赤色の防虫ネットです。
0.6mmの目合いで通気性が良く軽量なのがポイント。害虫の侵入をしっかり防止する効果をキープしつつ、散水もできる優れものです。
このネットの大きな特長は、赤色だということ。近年、アザミウマ研究の中で、「アザミウマは赤色を嫌う性質がある」ことが明らかになりました。この色の効果により、0.6mmの防虫ネットで、微小害虫であるアザミウマの侵入を防ぐ効果を高めることに成功しています。

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防虫灯 モスバリアジュニアⅡ®︎レッド

赤色を嫌う性質を持つアザミウマに有効なアイテムとして、LED防虫灯も防虫対策に効果的です。日中に赤色LED光をハウス内に点灯すると、アザミウマの活動が抑制されます。嬉しいのは、吊り下げるだけで防虫効果が期待できること。天井から円形に広がる光の範囲が防除される仕組みです。柱などで影ができると、LED光を効果的にハウス内へ届きません。2連棟の場合は柱と柱の中心に設置します。

LED防蛾灯・防虫灯「モスバリアジュニアⅡ®︎シリーズ」/(株)ユニコ ゼロビーム事業部





天敵誘引定着用ソーラーパネル型紫LED

紫色光LEDを使用してナスやトマトに付着する害虫を別の植物に誘引、定着させて、農作物を保護するライトです。ソーラーパネルで発電するため、電源が必要なく、簡単に設置できます。マリーゴールドやバーベナなどの植物を用意し、害虫を引き寄せておくのがポイントです。



害虫忌避シート 虫フラッとシート

アザミウマは、紫外線が反射する場所ではうまく飛ぶことができないという性質を持っています。その特性を生かし、ハウスの周りや天井に紫外線反射シートを張り巡らせるのもおすすめの方法です。紫外線域まで効果的に反射させ、どこから発生するか、肉眼ではなかなかわからないアザミウマの飛行を妨害し、落下を促します。また、同時に赤外線も反射させるため、イチゴ栽培では葉の光合成促進や色付け、トマト栽培のハウス遮熱などの効果が期待できるのもポイントです。
さらに虫フラッとネットを併用することでより高い防虫効果を発揮します。

近年では、農薬の効かない害虫対策として、「IPM(総合的病害虫管理)」に基づいて考案された「IPM資材」の利用が少しずつ始まっています。IPM資材は、新薬によって対抗するよりも、農薬に頼る以外の多角的な手法で総合的に病害虫による症状の防除を目指します。生態系が持つ特性や機能をうまく活用し、病害虫や雑草を抑制する方法です。アザミウマ類の天敵としては、アザミウマ卵に寄生する体長0.2mmと極小の蜂、「アザミウマタマゴバチ」が知られています。また、栃木県ではスプレー菊栽培時に赤色の防虫シートを活用することで、アザミウマの密集発生に高い効果を発揮することが実証されました。経済的に大きな負担にならず、生産者の健康や環境に負荷をかけないかたちでの防虫、防除が見直されています。

以上、この記事ではアザミウマ対策に効果的な防除グッズをご紹介しました。農薬とはひと味違ったアプローチも取り入れてみてはいかがでしょうか。




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【参考サイト】
〇農業用農薬syngenta、病害虫・雑草防除ガイド、害虫と病気の話、第86話害虫は「入れない」「増やさない」「出さない」-防除法の効果的な組み合わせ-
https://www.syngenta.co.jp/cp/columns/view/?column_id=133
〇(株)ユニコ ゼロビーム事業部, アザミウマ対策防虫灯
https://www.zerobeam.jp/theme37.html
〇(株)シグレイ
https://www.shigray.com/
〇小泉製麻(株), 商品コラム,いちごの害虫アザミウマ対策方法とIPM資材活用のポイント!
https://www.koizumiseima.co.jp/column/2023/05/strawberry_pestcontrol_ipm/
〇農林水産省,総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/g_ipm/pdf/byougai_tyu.pdf
〇農研機構,農業に有用な生物多様性の指標生物 調査・評価マニュアル Ⅱ 資 料
https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/shihyo/shihyo2b.pdf
〇栃木県,スプレーぎくの防虫ネットを利用したIPM技術の現地実証
https://www.pref.tochigi.lg.jp/g04/gizyutu/documents/22h26seikaspmamipm.pdf

ライタープロフィール

【緒方裕理】
健康と環境に配慮した農業を第一としており、ハウス栽培や有機ブドウ栽培を経験しています。また農業に関心のある方を増やすために、身近にできる農業のやり方について研究しています。施設園芸に使える知識と経験をご提供していますので、ぜひご覧ください。
親の介護をしながら、実家の農園作りに勤しんでいます。








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