コラム
公開日:2020.03.27
モザイク病はウイルスが原因の病気で、葉にモザイク状の濃淡などが生じ収量が激減します。きゅうりやピーマン、トマト、ナス、ダイコン、にんにく、そら豆など多くの食べられる野菜に加え果樹、花き、雑草など多くの植物に感染します。
糸状菌や細菌が原因で病気になる植物の多くは、化学農薬の使用で効果的に防除できます。しかし、ウイルスが原因の病気は現在のところ治療効果を望める農薬は無く、発生予防に徹するしかありません。
そこで、ここからはモザイク病を防ぐ3つの効果的な対策についてご紹介します。
モザイク病の主な伝染源はアブラムシです。発病株の汁液を吸ったアブラムシが健全株の汁液を吸った際に病気がうつります。そのためモザイク病を防ぐためにはアブラムシの防除が重要です。
育苗期は寒冷紗で苗を被覆します。シルバーマルチでアブラムシの飛来を防ぎ、定期的な農薬の散布でアブラムシの防除に努めます。圃場内の雑草がアブラムシの温床にならないように気を付けましょう。
また、剪定に使うハサミ等についた汁液から感染が一気に広がることもあるため、使う道具類の熱消毒も重要です。
モザイク病ウイルスには複数の種類があり、中には土壌伝染するものもあります。例えばピーマンに甚大な被害を及ぼすピーマンモザイク病の原因である「トウガラシマイルドモットウイルス」などが挙げられます。
罹患株が土壌に残っていると翌年以降の伝染源となり、また施設栽培で養液を循環させている場合などはウイルスが養液の流れに乗って広がり病気が一気に蔓延する危険があります。
罹患株は見つけ次第、できる限り根を残さないように抜き取り、圃場外へ持ち出して処分しましょう。
一見モザイク病が発生していないような場合でも、次作のために収穫後の栽培残さはできる限り取り除き、取り除けなかったものは腐熟させて感染源を減らすようにします。
圃場内の雑草も伝染源となることがあるので除草にも努めましょう。
モザイク病の感受性品種は避け、抵抗性品種を導入するようにします。ただし可能性は低いのですがウイルスの変異により抵抗性品種でも病気が発生することがあるので注意が必要です。
抵抗性打破は実際に各地で起こっているため、そのような可能性がある場合には普及センターなどに相談するようにしましょう。
モザイク病の治療ができる農薬は無いため予防に徹しましょう。特にアブラムシの防除が重要です。発生してしまった場合には罹患株は見つけ次第除去して病気の蔓延を防ぎ、次作の伝染源としないことが重要です。
▼参考サイト
〇ピーマン・ししとう モザイク病(TMV, PMMoV, TMGMV),高知農業ネット,高知県農業振興部
https://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/info/dtl.php?ID=3416
▼参考文献
〇防除の手引き2020 3野菜の病害虫 (5)キュウリ,あいち病害虫情報,愛知県
https://www.pref.aichi.jp/byogaichu/tebiki/2sakumotubetu/3yasai/2-3(5).pdf
ライタープロフィール
【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。