コラム
公開日:2019.02.12
農業を始めるのに特別な資格は必要ありません。しかし、資格や検定を取ることによって、農業に関する体系的な知識を身につけることができたり、できる作業や仕事が増えたり、さまざまな可能性が広がります。農業をしている人もこれから始めてみたいと思っている人も、ぜひチェックしてみてください。
種類 | 国家資格(農業改良助長法に基づく) |
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実施元 | 農林水産省 |
種類 | なし |
難易度 | 合格率69.8%(平成29年度試験結果) |
試験 | 書類審査、筆記試験及び口述試験(実務経験が必要) |
受験資格 | 下記の実務経験及び実務経験年数 【実務経験】 国、都道府県、農協等において、以下に掲げる実務経験を有する者である必要があります。 ・農業又は家政に関する試験研究業務に従事 ・農業又は家政に関する教育に従事 ・農業又は家政に関する技術についての普及指導に従事 【実務経験年数】 実務経験に該当する業務について、最終学歴等の種類ごとに、以下に掲げる年数が必要です。 ・大学院修了者:2年以上 ・大学等卒業者:4年以上(注) ・短大等卒業者:6年以上(注) ・高等学校卒業者:10年以上(注) ・改良普及員資格試験合格者:学歴にかかわらず、2年以上 (注)普及指導員(都道府県において普及指導員として任用されている者)の監督の下に農業又は家政に関する技術についての普及指導に従事した者であって、その従事した期間が通算して2年以上に達する者については、実務経験の期間は2年短縮されます。 |
費用 | 無料 |
<資格の内容>
普及指導員の事務範囲は下記の通りです。各都道府県の普及指導センターを主な職場とし、農業を支援する立場になります。
一 試験研究機関、市町村、農業に関する団体、教育機関等と密接な連絡を保ち、専門の事項又は普及指導活動の技術及び方法について調査研究を行うこと。
二 巡回指導、相談、農場展示、講習会の開催その他の手段により、直接農業者に接して、農業生産方式の合理化その他農業経営の改善又は農村生活の改善に関する科学的技術及び知識の普及指導を行うこと。
※普及指導員のさらに上には「農業専門技術員」があります。
普及指導員として支援をしていく中で、農家さんからいろいろな相談を受けるでしょう。例えば、ハウス内の環境を見直して効率を良くしたい、コストを削減したい、といった相談も多くあります。
ハウス内を温めるには暖房機が必要ですが、寒冷地や生育温度の高い作物にはランニングコストの低いヒートポンプがぴったりです。
しかし、ヒートポンプには導入コストの問題もあります。メリット・デメリットをしっかりと伝え、農家さんにとってより良い方法を選択してもらえるよう支援していくことが大切です。
そして、経営や生活の改善を望む農業者の悩みを解決していくためには、相談者の視点に立った分かりやすい説明と、共に歩んでいく姿勢が必要です。
また、現在農業にはドローンやIoT技術が活用され始めていますが、新しい知識を絶えず吸収し続けることも大切だと言えますね。
種類 | 民間資格 |
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実施元 | 一般社団法人全国農協観光協会 |
種類 | 1級、2級、3級 |
難易度 | 2級、3級は正答率原則60%以上で合格です。1級は正答率原則70%以上で合格です。※ただし、問題の難易度により、若干の得点調整を行う場合があります。 |
試験 | 学科試験 |
受験資格 | なし |
費用 | 1級:5,000円、2級:4,100円、3級:3,600円 |
<資格の内容>
栽培・農業全般・環境・食の重点4分野の基礎知識の習得を目的としています。学校での勉強や進学に、趣味や生活に活かすために、職場でのスキルアップや自己啓発に、幅広く活用することができます。
基礎を習得し知識をつけるには実際に農作業をしてみることも必要です。最近はインターネットを通じて農業体験を探す環境が整ってきており、農家民宿サイトや農業体験サイトなどに農家がホストとして登録し、農業体験希望者を受け入れています。
気軽に日帰りで出来るものから、宿泊施設が完備されていてしっかりと学べる長期のものまであります。趣味で楽しみたい、将来的には就農を考えているため勉強をしたいなど、目的に合わせて体験するのがおすすめです。
種類 | 民間資格 |
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実施元 | 一般社団法人全国農業会議所 |
種類 | 1級、2級、3級 |
学科試験の 合格基準 |
1級:120点満点の概ね70%以上、2級:100点満点の概ね70%以上、3級:100点満点の概ね60%以上 ※合格基準は、選択科目別に難易度を考慮して決定するため科目間で基準点は異なることがある。 |
実務試験の 合格基準 |
1級:7割を基準として合否を判定する、2級:基本操作7割、安全操作8割を基準として合否を判定する。 1級:合格率5.8%、2級:合格率18.1%、3級:合格率56%(いずれも平成29年度試験結果) |
試験 | 1級:学科試験+実務試験、2級:学科試験+実務試験、3級:学科試験のみ |
受験資格 | 1級実務試験:1級の学科試験合格者で2年間以上の就農経験を有する者又は、検定協会が定める事項に適合する者(JA 営農指導員、普及指導員、大学等付属農場の技術職員、農学系大学生で農場実習単位を取得している場合も就農経験と同等と見なします) 2級実務試験:2級の学科試験合格者 |
費用 | 1級:5,140円、2級:4,110円、3級:3,080円 |
<資格の内容>
農業を学ぶ学生や農業を仕事にしたい人のための検定です。農業高校、農業大学校、農学系の大学などで学ぶ学生・生徒や、就農準備校で学ぶ人たち、農業法人で新規就農や独立就農を目指す研修生、農業後継者などに対して農業についての知識・技能の水準を客観的に評価し、教育研修の効果を高める事を目的としています。
試験内容は、栽培管理や実務試験、経営、農業政策など幅広く、専門的な知識と技術の習得が求められます。1級試験では実際に自分が栽培を経験した作物についての記述問題があるなど、実務経験が大きく試されます。
また、試験項目の一つである「経営」は、日々変化していく世の中で農業を続けていくために学んでおきたい項目と言えるでしょう。近年では便利な経営ツールや会計ソフトなどが増え、自動化が進んでいますが、それらを上手く使いこなして農業経営を安定させていくためにも、絶えず知見を得る必要があります。
将来的に農家になることを目指す人、独立就農を目指す人は注目しておきたい検定ですね。
種類 | 民間資格 |
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実施元 | 一般社団法人日本施設園芸協会 |
種類 | 施設園芸技術指導士、施設園芸技術指導士補 |
難易度 | N/A |
試験 | 施設園芸技術指導士:筆記試験及び面接試験、施設園芸技術指導士補:施設園芸技術中級講座の一環として事前提出レポート及び筆記試験 |
受験資格 | 施設園芸技術指導士:施設園芸に関する6年以上の実務経験があり、施設園芸技術指導士補の資格を有すること、施設園芸技術指導士補:施設園芸技術中級講座の受講者(一般社団法人日本施設園芸協会会員企業の社員、農材店の社員、農業生産法人の社員、JA職員等で次の条件を満たす者。 ①施設園芸に関する5年以上の実務経験を有すること ②ただし、施設園芸技術初級講座を受講した方は実務経験3年以上で可。) |
費用 | 施設園芸技術指導士:40,000円、施設園芸技術指導士補:100,000円(施設園芸技術中級講座受講料80,000円+資格登録料20,000円) |
<資格の内容>
施設園芸に精通し、施設園芸に関する技術的な助言や指導等を行うことのできる者を、施設園芸技術の技術者として認定しています。
農業に携わるなら必須です。収穫物や農業資材を運ぶために軽トラックを用いることが一般的であるため、免許を取るときにはMT(マニュアル)で取得することをおすすめします。トラクターやコンバインなどの農機は、田んぼや畑などの圃場で運転する場合には免許は不要ですが、道路を走行する場合には農機の大きさや最高速によって小型特殊自動車か大型特殊自動車の免許が必要です。
◆農業機械整備技能士:
トラクターやコンバインなどの農業機械の整備能力を認定する国家資格です。
◆農業協同組合監査士:
農業協同組合の監査を行う国家資格です。
◆危険物取扱者:
消防法に基づく危険物を取り扱う他その取扱いに立ち会うために必要となる国家資格です。
◆農業機械士:
農業大学校が実施する農業機械士養成研修を受け技能検定に合格し都道府県知事から認定された者を指す資格です。
◆農薬管理指導士:
『農薬管理指導士養成研修』を受けて認定試験に合格し都道府県知事から認定された者を指す資格です。
◆フォークリフト運転者:
フォークリフト運転技能講習またはフォークリフト運転特別教育を修了した者を指す資格です。
◆毒劇物取扱責任者:
下記3つのいずれかに該当する者のうち、欠格事項に該当しない者を指す資格です。
①薬剤師(薬剤師免許証で証明する)、②厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者(卒業証書、成績証明書、単位取得証明書などで証明する)③毒物劇物取扱者試験に合格した者(合格証書、合格証明書などで証明する)
※欠格事項①18歳未満の者、②心身の障害により毒物劇物取扱者の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの、③麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者、④毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
◆土壌医検定:
土づくりについてアドバイスや指導をできる人材を育成するための民間検定です。
◆農業簿記検定:
農業特有の勘定科目や慣習を考慮した会計処理を体系的に学ぶことができる民間検定です。
◆野菜ソムリエ:
野菜・果物の知識を身につけ、その魅力や価値を社会に広めることができるスペシャリストを育成する民間資格です。
とくに◆農薬管理指導士、◆土壌医検定、◆農業簿記検定はかなり実践的な資格のため、とても役に立ちます。他にも、かなり高度で専門的な「農業技術士」の資格がおすすめです。
以上、農業の資格に関する特集いかがでしたか。農業への関わり方として、こういった資格の勉強から始めてみるという手もあります。ぜひ自分にあったスタートの切り方を探してみてくださいね。
▼参考サイト(2019/2/1アクセス)
〇日本農業検定公式サイト<http://nou-ken.jp/>
〇一般社団法人全国農業会議所「日本農業技術検定のご案内」<https://www.nca.or.jp/support/general/kentei/>
〇一般社団法人日本施設園芸協会「施設園芸技術講座 概要」<http://www.jgha.com/kouza.html>
〇農林水産省「普及指導員資格試験とは」<http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/hukyu/h_siken/01_siken.html>
ライタープロフィール
【施設園芸ドットコム 編集部】
農家さんへのお役立ち情報を配信中!
新しいイベントの企画やコラム記事の執筆、農家さんや企業様の取材を行っています。みなさんに喜んでいただけるような企画を日々考案しています♪