コラム
公開日:2019.07.30
農業を始めようと思った時、まず必要になるのが「土地」=「農地」です。農地の確保なくして農業をすることはできません。しかし、農地は農地法によって保護されているため、農地を売買したり転用したりするためには所定の手続きが必要になります。
そこでこの記事では、“農業を始めるために農地を探している方“向けに農地の探し方から購入方法、農地を転用するための手続きについて解説していきます。
そもそも、自分が使えそうな農地を探すにはどうすればいいのでしょうか?それにはいくつか方法があります。
農地の貸借や購入などの管理をしているのは、各地域の農業委員会です。自治体が農業委員会の窓口となっているので、まずは役場の担当課へ行って問い合わせをするとよいでしょう。
農地を入手したい地域に知り合いの農家がいる場合は、その方に直接聞いてみるといいでしょう。農家同士の横のつながりを駆使して、どこそこの畑が空いているといった情報を提供してくれます。ただし、ある程度の信頼関係がなければ難しいです。
農地の効率的な利用を目的として、各都道府県に農地中間管理機構(農地バンク)が設置されています。こちらに問い合わせてもいいでしょう。
農地中間管理機構(農地バンク)とは
◯農地中間管理機構とは、平成26年度に全都道府県に設置された「信頼できる農地の中間的受け皿」です。
◯農地中間管理機構はこのようなときに活用できます。
・リタイアするので農地を貸したいとき
・利用権を交換して、分散した農地をまとめたいとき
・新規就農するので農地を借りたいとき
引用:農林水産省HP_農地を借りたい方、貸したい方へ
各都道府県の機構は以下より確認できます。
http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kikou/kikou_ichran.html#ichiran
全国農地ナビというウェブサイトから、農地の情報を検索することができます。このサイトを参考に自分なりに見当をつけてから、農業委員会や近隣の農家に相談するのも一つの手です。
全国農地ナビとは、Web上で農地を探すことができる無料検索サイトです。農地中間管理機構が運営しているサイトで、農業委員会が調べた農地の権利関係や利用状況、農地所有者の意向を元に情報を発信しています。
借り手を募集している農地など、色々な条件で農地を探すことができ、各筆毎の農地情報も閲覧することができます。
※農業委員会の許可を得ずに農地のやり取りをすると、農地法に違反する可能性があるため、必ず農地所在地の都道府県窓口へ相談しましょう。
次に、目星をつけた農地をどうやって手に入れるかについて説明します。
農地を取得できるのは農家だけです。よって、非農家が農地を取得する場合は、同時に農家になる必要があります。
そして農家になるにあたっては、取得する農地の面積の下限が定められています。農地面積の下限は基本的に50アール(北海道は200アール)ですが、自治体によっては農地の取得を容易にするために下限を10アールに引き下げているところもあります。
また、農地を購入するためには農業委員会の許可を得る必要があります。許可を得るためには、自分の営農プランを説明し、その農地をきちんと利用できることを認めてもらう必要があります。
まとめると、“非農家が農地を取得する場合には、所定の面積の農地を探し出し、地主と交渉して、農業委員会からの許可を得ることで農地を購入することができ、同時に農家として認められる“ということになります。
農地として登録されている土地を駐車場にしたり、倉庫を建てたりする場合は、農地転用の手続きをしなければいけません。農地転用の場合も、農業委員会の許可が必要になります。
農地を農業以外に利用することは制限されており、書類の作成は素人では難しいものもあります。行政書士などの専門家へ作成を依頼する場合は数万円の費用がかかります。
農地転用する際の費用としては、①書類発行や専門家への書類作成依頼など書類作成にかかる費用、②転用後の工事にかかる費用、③地目変更にかかる費用、以上の3つがあります。
以上、農地の探し方から購入方法、農地転用まで解説しました。
農業者の高齢化、離農に伴って、空き農地は増えていくと予想されますので、これからが“農地を手に入れるチャンス”ともいえます。是非ともお気に入りの農地を取得して、みんなで日本の食糧事情を支えていきましょう。
▼参考文献
●農林水産省、全国農地ナビについて、平成29年2月23日
▼参考サイト
●農地、遊休地活用、農地転用とは-関連法・手続きまとめ
<https://tochikatsu-hatake.com/blog/1#h3_2>
ライタープロフィール
【uen01】
1反のハウスで夏秋ミニトマトの養液栽培(不織布ポットを利用した少量培地栽培)を行なっています。
元営農指導員のベテラン農家指導のもと、様々な実証実験を行いながら生産しております。元金融マンというバックグラウンドを生かして、数字に基づいた栽培及び経営を行なっています。