コラム

農業簿記を取得しよう!法人経営に役立つ資格取得のメリット

公開日:2020.01.08

1.農業経営に必要なお金の知識とは?

「新規就農しよう!」「そろそろ我が家も代変わり…」そんな未来の農業経営者のみなさんは、これからたくさんのことを勉強しなくてはと、意気込んでいることでしょう。作物の栽培方法、病気への対策、施設や資材の知識などなど…。
しかし農業経営において必要なのは、そうした栽培技術ばかりではありません。お金にまつわる基礎知識も必要不可欠になってきます。作物を育てるだけではなく、「農作物をお金に変換し、事業を永続的に継続する」のが農業経営の本質です。

では、そのお金の知識とは具体的にどういったことを勉強すれば良いのでしょうか?

2.経営状況の把握=『簿記』

仮に、社長が自分の会社のお金の動きを一切把握していない会社があったとしましょう。この会社が近いうちに倒産してしまうのは想像に難しくありませんね。

経営には会社の財産の状況である「財政状況」と、儲けの状況である「経営成績」をしっかりと把握することが求められます。こうした会社の経営活動を記録し、整理するための技術やシステムが『簿記』です。簿記は業種を問わず、すべての事業についてまわるものと言っても過言ではありません。

3.経営に必ず役立つ『農業簿記』

一口に簿記と言っても様々な種類があり、農業経営における会計の手法が『農業簿記』と言われるものです。農業の経営活動では、他の業種には当てはまらない取引が数多く発生します。

簿記ではお金の動きを項目ごとに記録していき、その項目のことを「勘定科目」と言いますが、農業簿記では「農産物」「生物」「種苗費」など、特殊な勘定科目が多く登場します。また、年度末における確定申告でも、農業専用の様式を使うのも大きな特徴のひとつです。

これらの知識を身に付けるためにおすすめなのが「農業簿記検定」です。日本ビジネス技能検定協会の主催で、3級から1級まで設定されており、財務会計、原価計算、管理会計などの知識が問われます。



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4.農業簿記検定のススメ~受験方法や費用は?~

ここからは農業簿記検定の概要についてご紹介していきます。

農業簿記検定は毎年7月と11月の年2回、全国の主要な都市で実施されています。受験資格は特になく、年齢、学歴、国籍など問わず、誰でも受験することができます。
難易度はそれほど高くなく、70%の正答が合格基準です。2019年度のデータでは3級で6割以上、2級で5~6割、1級でも3割程度の合格率で推移しています。しっかりと学習していれば、十分合格を目指せる試験と言えるでしょう。



受験料は3級で1,650円、2級で2,200円、1級で4,400円です。金融系の資格試験としては、比較的安価な料金設定ではないでしょうか。申し込みもウェブから簡単にすることができますので、忙しい農作業の合間に、わざわざ窓口まで出向く必要がないのも嬉しいポイントですね。




最近では優秀な会計ソフトも登場し、簿記の知識が少なくても最低限の会計処理は行えるようになりました。しかし、会計の基礎である簿記の知識があるのとないのとでは、数字に対する理解度がまるで違います。
経営状況を深く理解することで、農場の未来をよりクリアに見通せるようになります。永続的な農業経営を続けていくために、農業簿記について学んでみるのはいかがでしょうか。



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▼参考サイト
〇一般社団法人 日本ビジネス技能検定協会
http://www.jab-kentei.or.jp/agri-boki/
〇バックオフィスの基礎知識、農業簿記とは?農家さんの会計の基礎知識を徹底解説!
https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/farmer-accounting-basic-knowledge/

ライタープロフィール

【オオタニ コウスケ】
北海道出身。
酪農経営について学んだ後、大手農業機械メーカーにて勤務しました。現在は機械メーカーで培った経験と知識を元にライターとして活動しています。得意分野は酪農、トラクタ、作業機、噴霧器やポンプに関することです。








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