コラム

6次産業化で販路開拓!独自の販売ルートを作るには?~イチゴ農家の声~

公開日:2020.09.17

農家の収入を増やすために“収穫量を増やす”方法もありますが、販売方法を変えたりブランド化するなど、ちょっとの工夫で1千万以上儲かったという成功例があります。
「規格外品の廃棄野菜を減らしたい」「安定した収入を確保したい」「新しい販売方法に挑戦したい」 という農家は、6次産業化 を検討してみてはいかがでしょうか?

この記事では6次産業化の中でも重要な「販売ルートを確保する」ことに注目していきます。

1.規格外品の有効活用とブランド化ができる「農家の6次産業化」

生産から販売まですべての工程を農家が主体となって取組み、新たな付加価値を生み出す ことを 6次産業 といいます。例えば、形が悪くて出荷に向かないトマトを、パスタソースに調理し、瓶詰め加工をして、道の駅や直売所で販売します。そうすることで、規格外で廃棄される野菜を減らすことができます。 ソースやジャムの瓶詰品や冷凍保存ができるもの、真空パックにできるものなど賞味期限の長いものに加工し、販路ができれば、所得の向上や収入の安定 にもつながります。

また、他の農園とは違う オリジナルの商品を作ってブランド化したい!付加価値をつけたい! というときにも6次産業化は有効です。調理やパッケージに一工夫加えることで世界にたった1つのオリジナル商品を作ることができます。変わったネーミングやイメージキャラクターを作ることも、商品の認知度をアップさせる方法の一つです。運よくネットやメディアで取り上げられれば、知名度は一気に上がります。

その他、自分の農場で採れたおいしい野菜を提供するレストラン経営や、農業体験ができる民泊の運営なども6次産業に含まれます。こうした取り組みは 地域の活性化にもつながります。 もちろん、多額の資金が必要になる場合もありますし、食品を販売する場合には衛生管理を行う必要があります。専門的な知識も必要になるため、事前にしっかり準備をしましょう。

6次産業のメリット・デメリットについてはこちらの記事で紹介しているので、参考にしてみてください。

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2.6次産業化で「独自の販売ルート」を作るには?

6次産業化の成功の鍵は、販売ルートの確保 です。
どんなに美味しいこだわりの商品を作ったとしても、それを知って、買ってもらえなければ売上につなげることができません。
販売方法は大きくわけて2つあります。



店頭での販売

道の駅や観光地など人が多く集まる場所に置いてもらう ためには交渉が必要です。または自分の敷地内や店頭での販売が可能であれば、注目が集まりそうな場所にポスターを張らせてもらったり、SNSでPRをするなど、立ち寄ってもらうための工夫 も必要になります。


※飲食物を販売する場合には保険所の許可が必要です。
※敷地内で販売する際には公道に出ないように注意しましょう。




インターネットを使った通信販売

掲載無料のサイトもあり、気軽に出店できます。この商品は需要があるのか? テスト販売の場として活用してみる のも良いですね。
ただし、ネット通販出店=見られる、売れるというわけではありません。買ってみたい!と思ってもらえるような写真選びや、注目を集めるためのキャッチフレーズ、商品説明のわかりやすさなどの工夫が必要です。
売れるページを作るためにはネット販売ならではの知識も必要なため、フォロー体制の整っているサイトを選びましょう。

各都道府県に 「6次産業化サポートセンター」 という相談窓口があり、商品の開発から、加工販売、衛生管理、経営支援など6次産業に関わる様々な相談に乗ってくれます。プランナーの派遣も行っているため、一度相談してみるのも良いですね。




◆PRのポイント◆

通販、店頭販売問わず、同じような商品が多くあるかもしれません。他の商品に埋もれてしまわないよう、自分の農園独自のオリジナルポイントやこだわりをPRすることが重要 です。栽培でこだわっていること、加工時に工夫したポイントなどを伝えていきましょう。




ここからは、実際に自分の農園で栽培したイチゴのブランド化に成功し、独自の販路を作った「イチゴ農家:森作さんの取組み」をご紹介します。

3.オリジナルブランドを立ち上げたイチゴ農家森作さんの取組み

茨城県行方市でイチゴ農園を営む森作さんは、栽培する“やよいひめ”を「森作イチゴ」というオリジナルブランドで販売 しています。甘くて大きい森作イチゴは、一度食べたらやみつき!と好評です。
「森作イチゴ」の販売経緯と成功の秘訣をお聞きしました。



なぜ個人販売を始めたのですか?

私の周りの農家はみんな農協や組合のイチゴ部会に入っているのですが、部会では栽培する品種や、出荷の時間が決まっており、色々な制約があります。私は自由にやりたかったので部会をやめて個人での販売を始めました。しかし、量が勝負の市場へ農協と同じように出荷しても、圧倒的な出荷量の差があり、上手くいきませんでした。そこで、 “売り方で差別化しよう” と思い、自分で新たな販路を探しました。

販売ルートを作るために苦労したことはなんですか?

スーパーに直接卸してもらえないか交渉したり、ケーキ屋さんを回ったり、最初の頃は売り先を探すのに相当苦労しましたね。 一番の問題は物流です。 専門の運送業者を雇うとコストがかかる。 そこで、組合ではないけど「あかね研究会」という独自のグループを作り、メンバーと協力し合って、市場へ出荷するようにしました。千疋屋さんに卸している卸問屋に直接買ってもらったり、次第に業務用としての出荷も増えていきました。
直接レストランや洋菓子店に販売すると、“最高に良く出来たイチゴ”しか買い取ってもらえません。その点、卸問屋を通すと値段は下がるものの、多くのイチゴを買い取ってもらうことができます。トータルするとそれほど売上に変わりはありません。

現在はどのような販売先がありますか?

ゴルフ場のお土産や景品 に使ってもらったり、横浜の和菓子屋さんではイチゴ大福 に使ってもらっています。イチゴ大福用のイチゴは1年の内の6ヶ月間、毎日宅急便で送っています。もうかれこれ10年以上になりますね。軌道に乗るまでは、毎日同じ味のイチゴを、同じ量出荷できるようにとても気を遣いました。

あとは、 農園の事務所で直接販売 をしたり、 インターネットを使った販売 も行っています。年々口コミが増えており、注文も増え、嬉しい限りです。最近では、行方市のふるさと納税の返礼品 としても使っていただいています。

4.お客さんの立場に立って「受けとる幸せ」と「安定のおいしさ」を追求

成功の秘訣はありますか?

お客さんの希望はとにかく“大きくて甘いイチゴ“なんです。個人でやっている場合、味だけは落とせないので、品質にはとても気を遣っています

また、いくら大きくて甘いイチゴでも届いたときに傷んでいたら喜んでもらえませんから、梱包にもこだわっています。オリジナルの箱をデザインし、すべて自分たちの作業場で箱詰めして出荷しています。贈呈用の高級感ある箱や、返礼品用の箱など、用途に合わせて数種類の箱があります。

そして、お客様の手元まで無事においしいイチゴが届くように 「ゆりかーご」という特殊な梱包資材 を使っています。 一粒ひとつぶ、ゆりかごのようにイチゴを包んで大切に出荷 します。万が一運送中に落とされたりしても、沖縄から北海道まで無事に届けることができます。ブログやホームページの口コミには、「ぜんぜん傷ついていなかった!」「傷みがないきれいなイチゴが届いた!」といった嬉しいコメントをいただきました。遠くまで送るにはこの「ゆりかーご」が最適です。


梱包資材「ゆりかーご」



これからも森作イチゴを買ってくださるお客さんの笑顔を思い浮かべながら、大きくて甘いイチゴを作り続けていきたいと思っています!

  • ▼森作さんの取材特集記事はこちら!

6次産業化に挑戦することで、農園の魅力を再発見ができたり、販売方法が増えたり等、新しい未来が見えてくるかもしれません。その中で、収穫量だけでなく、加工食品にしたり販売方法を工夫してみるのも選択肢の一つですね。






▼参考文献
日本農業新聞 2020年6月2日号(10)~のえる~6次化に挑戦したい

ライタープロフィール

【施設園芸.com編集部】






    


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