コラム

植物工場の種類とその違いを解説~企業参入のメリット・デメリット~

公開日:2020.12.21

畑を使わず、専用の施設で人工的な環境をつくり、野菜を生産するのが植物工場です。 現在の日本では、主にレタスをはじめとする葉物野菜が生産されています。今回は植物工場の種類とその違い、企業参入におけるメリット・デメリットについて説明しています。

1.植物工場の種類とは?

植物工場は施設の仕組みにより、大きく2つのタイプに分けることができます。



完全閉鎖型

自然環境を遮断し、人工的に整備された環境で生産するシステムです。現在国内で稼働している植物工場の多くが、このシステムを採用しています。特徴は以下の通りです。



● LEDなどの人工光を使用
● 温度、湿度などの環境をコントロールできる




太陽光併用型(半閉鎖型)

太陽光を施設内に取り込み、それ以外の要素は人工的な環境を作るシステムです。太陽光を使う分、温度や湿度のコントロールには限界があります。特徴は以下の通りです。



● 太陽光を使用(人工光を補助で使う場合も)
● 設備費や光熱費を抑えられる

2.企業参入のメリット・デメリット

それでは、植物工場に新規参入する場合、どのようなメリットとデメリットが考えられるでしょうか。

メリット①「安定的な生産が可能」

農業をビジネスとして捉えた場合、収量が自然環境に大きく左右されるのが懸念点です。しかし植物工場型の生産体制であれば、 安定的に収量を確保できます。 さらに、土の付着やの病気が発生する心配もなくなるので、消費者に清潔で安心な野菜を届けることができます。

メリット②「市場規模の拡大が見込める」

現在、農業は多くの業界や企業から注目を集めています。昨今、急激に進化したテクノロジーにより、 イノベーションが可能な未開拓のマーケットとして捉えられているからです。 人工的に栽培環境を制御できる植物工場は、そうした技術と相性が良く、今後の更なる発展が望めるでしょう。



デメリット①「コストの回収」

植物工場は露地栽培に比べ、 大きなコストがかかってしまいます。施設の建築費、維持管理費などを回収するのは容易ではありません。 時期によって変動がありますが、卸値で比較すると植物工場産のレタスは露地栽培より 2倍以上高値になります。

デメリット②「作物が限られる」

現在、国内の植物工場で生産されているのはほとんどがレタスです。 レタス以外の作物は栽培技術が確立されていないのが原因です。イチゴなどでも栽培可能とも言われていますが、商用レベルには至っていないのが現状です。



  • ▼関連記事

3.植物工場の未来と課題

植物工場の種類と、企業参入のメリット・デメリットについて解説しました。 まだまだ多くの課題が残されている分野なので、課題の分だけ新しい価値を創出できる可能性があると言えます。農家戸数の減少は避けられない国内農業において、こうした企業主導型の農業スタイルが求められていくでしょう。

今後どういった発展を遂げていくのか、当メディアでも注目していきたいと思います。




  • ▼関連記事




▼参考サイト
〇三菱ケミカル
https://www.m-chemical.co.jp/index.html
〇SMART AGRI
https://smartagri-jp.com/smartagri/157

ライタープロフィール

【オオタニ コウスケ】
北海道出身。
酪農経営について学んだ後、大手農業機械メーカーにて勤務しました。現在は機械メーカーで培った経験と知識を元にライターとして活動しています。得意分野は酪農、トラクタ、作業機、噴霧器やポンプに関することです。








Facebook