コラム
公開日:2021.02.17
農業のために使用する軽油については、手続きを行うことで免税により通常より安く購入することができるケースがあります。今回は、「農業用免税軽油制度」について解説します。
農業用機械の動力源として使用する軽油は、一定の手続きを行うことで、本来課税される軽油取引税が免税となります。
免税の対象となる軽油の使用者は、農業を営む人(農作業のうち機械を使用して行われるものの全ての委託を受けて農作業を行う人を含む)です。また、対象となる農業用機械としては、耕うん整地用機械や栽培管理用機械、収穫調整用機械および畜産用機械などです。
軽油取引税の免税については、平成30年度税制改正において、電気供給業のガスタービン発電機の動力源など一部の特例措置が縮小や廃止されましたが、農業用の軽油免税については、令和3年3月31日までの3年延長されました。
農業用免税軽油制度を利用するには、あらかじめ都道府県知事から「免税軽油使用者証」の交付を受けます。この「免税軽油使用者証」は有効期限が3年以内となっているので、定期的に更新する必要があります。
次に、使用する農業用機械や車両・設備の明細や免税軽油の見込み使用数量、引取予定販売事業者名などを記載した申請書を、都道府県知事に提出して「免税証」の交付を受けます。
農業用に使用する軽油を購入する際には、石油販売事業者に「免税証」を提示すると、店頭で課税額分の価格が安くなります。軽油取引税の税率は、1リッターにつき32.1円です。したがって、1,000リッターを使用した場合には、32,100円の免税効果となります。
免税軽油使用者証に記載した機械以外に免税軽油を使用することはできません。たとえ用途が同じであっても機械を新しいものに買い替えたなどの場合には、すぐに変更申請が必要です。
免税軽油は、免税軽油使用者の交付を受けた本人だけが使用できます。購入した免税軽油は都道府県知事の承認がなければ他の人に譲渡することはできません。もし承認を受けずに譲渡した場合には、譲渡した人も譲り受けた人も2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。また、虚偽記載など不正行為によって「免税証」の交付を受けて、免税軽油を購入した際には10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金と非常に厳しい罰則があるので、正しく申請して使用するようにしましょう。
農業用免税軽油制度は、法律上は令和3年3月31日となっていますが、制度が継続された場合に対応するため、すでに受付を行っている自治体もあります。詳しくは、都道府県の税事務所などに確認しましょう。
▼参考文献
〇農業に使用する軽油引取税の免税,農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/aid/zeisei/nou/attach/pdf/index-14.pdf
〇免税軽油を使用されるみなさんへ,大分県
https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2021185.pdf
▼参考サイト
〇令和3年度分「農業用軽油引取税免税証」の集合(仮)受付を実施します, 美の国あきたネット
https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/50571
〇軽油引取税(県税),鹿児島県
http://www.pref.kagoshima.jp/ab07/kurashi-kankyo/zei/aramashi/car/car4.html
ライタープロフィール
【都良TORA(田口 忠臣)】
北海道在住のフリーライター。
6次産業化やグリーンツーリズム、農産加工品開発のコンサルティング・ブランディングを行う仕事をしていたことから、その知識を活かして食や観光・農業に関する記事を書いています。
保有資格:北海道観光マスター、食生活アドバイザー、日本酒ナビゲーターなど