コラム

根こぶ病が減って地力アップ!微生物資材で土壌改良25年【キュウリ生産者:飯嶌さんの取組み】

公開日:2021.03.26

千葉県旭市のキュウリ生産者 飯嶌伊千良さんはビニールハウスでキュウリの促成栽培を中心に、レタス、小松菜、ほうれん草、スティックブロッコリーなど多品種の野菜を栽培しています。直売にも力を入れており、毎朝地元の道の駅へ野菜を出荷。地域に密着した野菜作りに励んでいます。
就農40年以上のベテラン農家である飯嶌さんは、 複合微生物資材「カルスNC-R」を使い“なるべく農薬を使わない栽培”に取り組んでいます。

今回は土づくりへのこだわりと、土壌改良資材や複合微生物資材を上手く組み合わせて使うベテラン農家ならではの取組みを取材しました。

1.複合微生物資材カルスNC-Rを使った土壌改良

飯嶌さんはどのような土壌管理をしているのですか?

根こぶ病に悩まされることが多かったため、根が病気にならないようにカルスNC-Rという微生物資材(土壌改良資材)を使っています。カルスNC-Rは地元の同級生が先に挑戦していたため、その情報をもらいながら使い始めました。土壌改良資材というのは一回使ってみただけで効果がわかるものではなく、私の場合3~4年使い続けたとき「違いが出てきた!」と実感しました。

どのような変化がありましたか?

土壌消毒剤を使わなくても根こぶ病が減っていきました。 連作障害もありません。 今では欠かせない資材となり、越冬キュウリの作では必ず使っています。私は根こぶ病が減ったことで良さを実感しましたが、微生物は目に見えないですから、樹の生育状況で効果を判断することも出来ると思います。

カルスNC-Rを活用した土づくりとは?

カルスNC-Rは菌体なので、まずは 堆肥やヌカを足して菌を増やします。そのほうがコストも抑えられます。このやり方で、カルスNC-Rを100坪に1袋(10kg)程度使います。本当はきちんと計算したほうがよいのだけど、もう長年使っているため、土壌の菌体も増えているし、だいたいの感覚で適量を見極めながら散布しています。カルスNC-Rは土壌改良資材の一種なので、与えすぎということはないのですが、不足するとその分効果が薄くなってしまうため、そこは気を付けています。

       

※カルスNC-Rについて、メーカー推奨使用量は10aあたり30~40kgです。



       

キュウリの残さはフレームモアで粉砕してロータリーですき込みます。その後、期間をあけて緑肥(ギニアグラスやソルゴー)を播種し、腰の高さくらいまで生育したら、フレームモアですき込みます。緑肥を一緒にすき込むことで残さを吸わせ、土の状態をクリーンな状態に戻すのです。

次に微生物相改善資材を入れます。ギニアグラスや残さがきれいに分解されていることが分かったら、保険として土壌消毒剤を入れ、ガス抜きをします。最後に堆肥と一緒にカルスNC-Rを入れて発酵させます。堆肥はカルスNC-Rとの相性が良い豚の乾燥堆肥を使っています。ロータリーをかけて、手で触ったときに残さが残っていないことが確認できたら完成です。

       


カルスNC-Rの使い勝手はいかがですか?

カルスNC-Rは当初、粉状でした。うちのハウスは1200坪あるため、散布機を使っているのですが、粉状だと舞い上がってしまい散布しづらい。「使い勝手のよい商品(粒状)にしてもらったら有難いな」と思い、自分たちの要望を製造元のリサール酵産に出してみました。すると、他からの要望もあり、すぐに改善してくれました。現場で使いやすいように改善してくれるのは有難いですね。それからは粒状のカルスNC-Rを愛用しています。

カルスNC-Rを上手に使うコツはありますか?

初めて使うほ場の場合、菌は急激に増えないと思うので、 ぼかし肥にしてある程度菌を増やしてから使ったほうがよいですね。まずは菌を増やせる環境を作っていくことが大事。長く使えば使うほど蓄積され、土に馴染み、いい土になってくる。良い土を作るためには時間がかかるし大変だけど、悪くなるのはあっという間。 土壌は目に見えないからこそ、管理が大切なのです。

土壌改良資材(複合微生物資材)「カルスNC-R」/リサール酵産(株)

2.長年の経験と知識でたどり着いた土づくりのローテーション

加温のハウスは9月下旬~翌年4月頃まで栽培して1~2ヶ月裏作をやるハウスと、9月下旬~6月頃まで栽培して、2~3ヶ月休むかのどちらかにしています。(休むときに緑肥を撒いています)うちは家族経営のため、我が家の労働力などを考えローテーションしています。

私たちの産地は 越冬キュウリといって冬場に栽培するキュウリが主力品目なのですが、その裏作に大玉トマトを栽培しています。裏作は土壌のバランスを取るために必要な対策です。このサイクルで何十年も維持してきました。

他に、越冬のキュウリを長期的にやる方法もあります。9月末に植えて11月~翌年7月まで半年以上収穫する。しかし、それだけの長期間、収穫を続けることは簡単ではない。技術が必要です。長期に栽培しているとだんだん栄養が足りなくなってくるため、樹のバランスが悪くなったり、雌花が付きづらくなって収量が減っていくのです。もちろん害虫や病気に対しても都度対処していく必要があるため、長期でキュウリを採るのはとても難しいのです。

3.越冬キュウリの裏作に「種なしピーマン栽培」に挑戦

最近新しく取り組んでいることはありますか?

昨年の夏、キュウリの裏作として種なしピーマンの栽培に挑戦しました。
今まではウリ科である越冬キュウリを栽培し、その裏作にナス科のトマトを植えていました。しかし、例年7~9月に東北・北海道のトマトが市場出てくるのですが、暖冬の影響なのか、出荷量が増えており、私たちの産地との出荷時期とも重なり、単価が伸び悩んできたのです。

また、近年の気象変化により病気や害虫の問題も増えてきました。黄化葉巻病というトマトの病気がありますが、夏はどうしても増えやすい。ハウス内の温度を下げるためには設備投資が必要です。抵抗性品種も出てきているのですが、これもコストがかかり、夏場のトマト栽培が難しくなってきたのです。 「今ある設備で栽培するためには、トマトの他にどんな品目があるだろう…」と悩んでいたとき、種なしピーマンはどうか?という声がかかりました。

ここの地域では、私を含めて10数人が種なしピーマンの栽培に挑戦することになりました。2020年7月に開催予定だったオリンピックの外食産業に向けて計画し、5月以降に植え付けをしました。しかし、新型コロナウィルスの影響でオリンピックが延期になってしまいました。さらにコロナの影響で需要が減り、買い付け価格も下がってしまった。結果、思うような収益が上がりませんでした。
また、種なしピーマンを栽培するためには毎年6月まで収穫していたキュウリを3月には終わりにすることになります。 裏作は短期間で収益を上げなければならないため、そこをマイナスしてまで種なしピーマンからプラスの利益を得るのは難しいと感じました。

しかし、道の駅の直売所で種なしピーマンを販売してみたところ、大きな反響がありました。消費者の方にとって種なしピーマンは調理が楽ですよね。肉詰めにするにしてもヘタを切るだけですから。そのため、今年は昨年よりも規模(面積)は減らし、150坪くらいで再挑戦するつもりです。

直売事業は多品目を出荷しなければ利益は上がりません。日々の売上は小さいですが、365日積み重ねたら大きな売上になります。消費者の気持ちを考えながら、みなさんの手に取っていただけるようなものを選び、こだわりをもって栽培しています。

4.息子に引き継ぐまであと数年。産地の活性化にも貢献したい

今後肥料メーカーに期待することは何ですか?

土壌消毒剤をやらなくても根の病気がなくなることが一番理想です。菌体だけで出来るような資材を作ってほしいですね。

今後の目標はありますか?

あと数年でハウスの経営も、すべて息子に引き継ぐ予定です。少しでも息子の経営や作業がうまくいくように、設備も整えてきました。それがおおよそ達成しつつあり、あとは引継ぐだけです。世代交代が難しいという人がいる中で、息子が後を継いでがんばってくれるのは嬉しいです。

ここ旭市は大きな産地ですが、後継者問題もあります。令和30年には自然衰退していってしまうのではないかと、行政でも懸念しています。私は今まで色々な役員をさせていただき、現在は農業委員をやっていますが、今後ますます産地の活性化にも貢献していきたいですね。

       

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リサール酵産(株)
土壌改良資材(複合微生物資材)カルスNC-R



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今回取材させていただいたのは…

千葉県旭市 飯嶌さん
40年以上の長きに渡りキュウリを生産しているベテラン農家。
旭市の農業産出額は県内1位となっており、キュウリの主要生産地。飯嶌さんは数々の役員を務めるなど地元で有名な生産者で、キュウリ以外にも露地栽培で多品目の野菜を栽培している。道の駅での直売事業など、地元に密着した取組みを行っている。 知識や経験が豊富で、栽培に関する様々なお話を伺うことができる。

●趣味:ゴルフ

ライタープロフィール

【施設園芸.com編集部】







ハウスの情報


ハウス:パイプハウス
天窓:自動開閉装置
カーテン:保温(タイマーで自動)
暖房機:重油式暖房機
その他:ガス燃焼式炭酸ガス発生装置、
循環扇


ハウスの様子



キュレータープロフィール

千葉県/キュウリ生産者 
飯嶌さん

千葉県旭市でキュウリを生産している。
旭市の農業産出額は県内1位となっており、きゅうりの主要生産地。飯嶌さんは地元で有名な生産者でもあり、キュウリ以外にも露地栽培なども行っている。知識や経験が豊富で、栽培に関する様々なお話を伺うことができる。取材担当者より

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