コラム
公開日:2018.03.07
現代の農業において、肥料は欠かすことのできない資材のひとつです。特に慣行農業では容易に手に入り、肥料の3要素を含む化学肥料の使用はもはや必須とも言えますが、土壌を酸化させやすく、土中の微生物が繁殖しにくいなどのデメリットが存在します。
その一方、有機肥料であれば土にやさしく植物が健康に育つなど多くのメリットが期待できます。
難易度の高いイメージのある有機肥料ですが、その分農業を営むうえで多くのメリットが存在します。
また、土中の微生物が育ちやすくなるため土が団粒構造になり、土の排水性や通気性が良くなるほか、連作障害の原因となる糸状菌の発生を抑制し土づくりを助ける線状菌が繁殖します。
健康的で病害虫に強く育つ有機野菜は、近年健康志向の消費者に好んで選ばれる傾向にあります。
植物油を搾った後の粕。三要素を含み元肥向き
窒素・リン酸を含み緩効性がある。発酵を促す効果があり牛糞堆肥を作る際にも使用される
乾燥させた魚を細かく砕いた肥料。窒素とリン酸を含み即効性がある。
三要素をバランスよく含んだ即効性のある肥料。追肥にも向くが完熟でないとアンモニア臭が強い
草木を燃やした灰。カリを多く含み即効性がある。
油かすや米ぬかなどの有機物を配合し発酵させたぼかし肥料は、あらかじめ発酵・分解されているので即効性があり、液体の肥料と比べ効果が長く続き非常に使い勝手の良い有機肥料です。市販されているぼかし肥料もありますが、材料は簡単に手に入るので自分で作ることもできます。また、自分で材料を変えることで成分量を調節することもできるので、以下の作り方を参考にチャレンジしてみましょう。
【作り方】
1. 米ぬか・油かす・牡蠣殻石灰を3:1:1の割合で配合します。
米ぬかや油かすには発酵を促進する効果がありますが、不安な場合は発酵促進剤を少々加えても良いでしょう。
2. 総重量の10分の1の量の水を徐々に加えながら混ぜていきます。
手で握ると塊になり、指で少し抑えるとボロボロに崩れる程度の水分量が適量なので、様子をみながら少しづつ加えていきます。
水分量が多いと腐敗しやすく、少なすぎると発酵が上手く進みません。分量はあくまでも目安なので、実際に作りながら調整してください。
3. すべてを混ぜ終えたら頑丈な袋に移します。飼料袋やごみ袋などが良いでしょう。
4. 袋の口を紐で縛り空気を抜いて密閉し、風通しの良い日陰で夏場は1か月、冬場は2か月ほど置きます。ことのき、中身を混ぜたり確認の為に開けないようにしましょう。
5. 開けたときに酸っぱいにおいがしていれば発酵は成功です。
6.袋から箱に移し、乾燥させたら完成です。
できあがったぼかし肥料は半年ほどで使い切るようにしましょう。