コラム

アクアポニックスで循環型の農業をはじめよう!実際の取り組み事例と始め方

公開日:2022.10.24

世界中が持続可能な開発目標SDGsを目指す中で、化学肥料や農薬に頼らない環境に優しい「アクアポニックス」が注目されています。本記事ではアクアポニックスの仕組みや導入事例などについてご紹介します。

1.アクアポニックスとは

アクアポニックスとは、「水産養殖(Aquaculture)」と「水耕栽培(Hydroponics)」を合わせた造語です。最も地球に優しい循環型の農業として将来性が高いと注目されています。

アクアポニックスの主な仕組みは、以下の通りです。

水耕栽培エリアと淡水魚を養殖する水槽を、水が循環していきます。
水槽の中では淡水魚の排泄物を水中の微生物が栄養素に分解。栄養素が含まれた水をポンプで吸い上げ、配管を通って野菜の水耕栽培エリアへ運びます。野菜はこの栄養素を吸収し、育ちます。水耕栽培エリアの水は浄化されて、再び淡水魚を養殖している水槽へ戻ります。

これまでの農業は化学肥料や農薬を使用することで、土壌汚染や二酸化炭素の排出が課題となっていましたが、アクアポニックスは、化学肥料や農薬を使用しないため地球環境に優しい農業といえます。

2.課題と失敗例

△チョウザメ




アクアポニックスは、通常の土壌栽培と比較すると約1/2の栽培期間で収穫が可能です。施設内で栽培するため、天候や気温の影響を受けにくく、年間を通じて安定した生産ができます。 また、通常の水耕栽培では化学肥料である液肥を使用しますが、アクアポニックスでは養殖している魚の排泄物が微生物に分解されて肥料となるため肥料代がかかりません。(魚の餌代が必要です) 野菜に加えて魚も獲れるアクアポニックスはこれまでの水耕栽培と比べると非常に生産性の高い農業といえます。

一方で課題もあります。
日本では、まだアポアポニックスの認知度は低く、栽培した野菜が市場に並んでも、「消費者にとって聞き慣れない」「普通の野菜と何が違うのかわからない」などの理由で手に取ってもらうのは難しいでしょう。また認知度が低いことから、栽培技術を学ぶ機会が少ないのが現状です。 アクアポニックスの失敗例としては、苗の根をキレイに洗わないことによる根腐れや急激な水質悪化で魚が死んでしまうなどがあげられます。

3.農家や企業の導入事例

実際にアクアポニックスを導入している事例をご紹介します。



エコファーム飯島(茨城県つくば市)

電力は太陽光発電、水も雨水を利用した自作のアクアポニクス施設で、唐辛子の栽培とチョウザメの飼育を行っています。取組は、よろず支援拠点の令和3年度成果事例集として紹介されて評判となっています。



△提供:エコファーム飯島様







ナチュラルリゾート・ハイジア(北海道日高郡)

アクアポニックスジャパンが運営するナチュラルリゾート・ハイジアでは、おしゃれなオーベルジュの敷地内にアクアポニックスの施設を建設。レタス、ハーブ、エディブルフラワーの栽培とチョウザメの養殖を行っています。将来的に自家製キャビアの提供を目指しているそうです。



△提供:アクアポニックスジャパン様








4.アクアポニックスの始め方

今回は、硝酸塩と野菜の関係についてまとめました。人体にそれほど影響がないとはいえ、野菜の味を左右することもある硝酸塩の濃度は低い方がいいですよね。気になる方はぜひ、管理方法や品種選択など、紹介した野菜の栽培ポイントを実践してみてください。

アクアポニックスに必要な設備

アクアポニックスには、魚を育てる設備と野菜を水耕栽培するための設備が必要となります。基本的に必要なもの、魚タンク(水槽)、野菜ベッド、貯水タンク、ろ過装置(フィルター)、水中ポンプ、配管、ハイドロボール(培地)です。
自分でシステムを設計する際には、アクアポニックスについて書かれた書籍が参考になります。



アクアポニックスに向いている野菜と魚

アクアポニックスは、レタスやバジル、ミント、クレソンなどの葉物野菜やハーブの他、イチゴも栽培できます。育てる魚は淡水魚であれば養殖が可能ですが、比較的育ててやすいティラピアやキャビアが取れるチョウザメを導入するケースが多くなっています。

△イチゴ栽培×ティラピア(イメージ図)




最近では、自宅でもアクアポニックスを簡単に始められるキットが市販されています。水槽メーカーの「コトブキ工芸」から販売されている「レグラスポニックス3040」は、水槽と植物を育てるためのプランツバスケット、ポンプなどアクアポニックスに必要なものがセットになった商品です。観葉植物やイチゴの栽培とメダカや淡水エビの飼育を組み合わせて楽しむことができます。

アクアポニックスは、地球環境に優しい循環型の農業として注目されている新しい農法です。小規模でも始められ、補助金の採択実績もあります。この機会に、取組みを検討してみてはいかがでしょうか。




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▼参考サイト
〇Spaceship Earth, SDGsを知る,アクアポニックスとは
https://spaceshipearth.jp/aquaponics/
〇さかな畑,アクアポニックスについて
https://aquaponics.jp/about
〇plantform
https://www.plantform.co.jp/

ライタープロフィール

【都良TORA(田口 忠臣)】
北海道在住のフリーライター。
6次産業化やグリーンツーリズム、農産加工品開発のコンサルティング・ブランディングを行う仕事をしていたことから、その知識を活かして食や観光・農業に関する記事を書いています。
保有資格:北海道観光マスター、食生活アドバイザー、日本酒ナビゲーターなど







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