コラム
公開日:2021.03.08
近年、耳にすることが増えたGAP。Good(良い)Agriculture(農業の)Practice(取り組み)の頭文字を取ったもので、農林水産省では「農業生産工程管理」と表しています。
GAPをすること自体が良い営農につながるため、必ずしも資格取得は目的ではありません。
ですが、認証を受けた作物は食品安全・環境保全・労働安全・人権保護・農場経営管理の5つの要素を満たしている証拠になり、信用につながります。
とはいえ、実際にGAP認証を取得するメリットはあるのか、デメリットはないのか、どのように実践すべきかなど気になる方も多いと思いますので、今回はGAPについて、わかりやすく解説します。
GAP認証取得のメリットは、生産管理の見える化、従業員の自主性や職場環境の安全性向上、販路拡大につながることなどが挙げられます。
実際にGAP認証取得農業者・団体へのアンケート調査では、過半数以上の方が「効果があった」と回答しました。なぜこのようなメリットがあるかは、目次3「GAPの実践方法」で詳しくご紹介します。
GAP認証取得のデメリットは費用がかかることです。
個々の経営体で認証を得る「個別認証」の場合、GAPの種類によって約10万円~44万円の審査料に加え、審査員の旅費が発生します。複数の経営体(法人・個人)が集まって共同で認証を取得する団体認証では個々の負担は減りますが、取得後に更新料がかかるという点も考慮すべきところでしょう。
補助金を活用することである程度、経費を抑えることが出来るので、農林水産省のホームページを確認してみましょう。
具体的なGAPの実践例をご紹介します。
GAPには正解がありません。リスクをどう評価し、管理していくかは法人ごとに異なるからです。 例えば、農薬の液漏れリスクに対して、保管方法や液漏れが起こったときの対処法を決めておくといったように、起こり得るリスクを洗い出していきます。
GAPは経営者だけではなく、従業員とともに実践することに意味があります。そうすることで、従業員の意識向上や作業効率改善につながります。
リスク管理の基本は5Sです。使ったものを同じ場所に戻す習慣がつくことで安全が確保されたり、清潔が保たれることで異物混入を防ぐことができます。
リスク管理を、PDCAサイクルに当てはめて行います。圃場や作業場全体の環境改善により、食品安全・環境保全・労働安全・人権保護・農場経営管理の5つの要素を満たすことができます。
その結果、品質向上や顧客からの信用につながるのです。
GAP認証は顧客の安心・信用に繋がるだけではなく、事故を未然に防ぐ、従業員の自主性の向上、効率向上など経営面でのメリットがたくさんあります。費用面で二の足を踏んでいる方はまず実践してみることをおすすめします。
GAPを有効活用し、経営者・従業員・顧客、三方良しの営農を目指しましょう。
▼参考文献
〇GAP(農業生産工程管理)をめぐる情勢,農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/g_summary/attach/pdf/jyosei.pdf
▼参考サイト
○これから始めるGAP,農林水産省
https://gap.maff.go.jp/
○TRY-GAP!!,農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/try-gap.html
ライタープロフィール
【施設園芸ドットコム 編集部】
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