コラム
公開日:2018.07.27
農業で儲かるにはどのようにすれば良いでしょうか。
今回は、新規就農を検討している方及び業界外から新規参入を検討している方に向けて、個人事業主としての「農家の売上高」について考え方を整理した上で、「儲かる仕組み」を解説します。そして最後に、儲かる作物・果物についてもご紹介します。
農家の売上高は「収穫量×平均単価」で算出されます。
収穫量は環境制御を行うなど、自分の努力や投資で上げることができます。しかし、平均単価は出荷形態によって大きく変わってきます。
農協に出荷することを系統出荷と呼びます。
系統出荷の場合、平均単価は農家でコントロールすることができません。
出荷は市場経由が一般的ですが、その市場内で行われる「セリ」で単価が決定されます。系統出荷の場合は、収穫量(特に単位面積当たりの収穫量)を経営指標の中心に置くことになります。
収穫量をいかに伸ばすか、が唯一かつ最も重要なポイントになります。
一方で、農協外に出荷することを系統外出荷と呼びます。
系統外出荷の場合は、契約する条件により平均単価を農家がコントロールすることができます。
他業種と同じように販路開拓、営業が必要となりますが、商品力があれば単価を上げることが可能です。また系統出荷と異なり販売に係るコストも努力次第で削減可能です。
儲かる仕組みを作る第一歩として系統外出荷にチャレンジすることをおすすめします。
系統外出荷を想定することで、儲けるための工夫を凝らすポイントが増えます。
スーパーや百貨店など、条件の良い取引先と契約出来ると、出荷に掛ける経費を抑え、高単価で販売することができ、売上と利益を伸ばすことができます。
販路開拓には営業スキルも必要となるので、勉強をする必要があります。
また、取引先からは常に安定した品質、量の出荷が求められるため、栽培スキルも重要になります。
次に、パッケージデザインなどをブランド化し、付加価値を高めることができます。
儲からないと言われいるお米でも、合鴨農法などの特殊な栽培方法を行い、ブランド化して付加価値を高めて販売することで儲けている農家の方もいます。
系統外出荷にチャレンジが難しい方でも、市場価格の高い野菜を栽培することで十分な売上高を確保することができます。
例えば、施設園芸は市場の価格が高い時期を狙って、季節外れの作物を栽培することができます。これは、人が作らない時期に自分だけ(或いは自分たちの地域だけ)が栽培することで付加価値を高めていると言えます。
系統出荷、系統外出荷いずれにせよ、施設園芸で作られる園芸作物は環境制御によって市場価格の高い時期に栽培したり、トマトを高糖度化したりと、平均単価を上げるための栽培に係る工夫をたくさんこなせる可能性があり、露地作物と比較して儲かりやすいと言えるでしょう。
系統外出荷にチャレンジすること
Point2ブランド化、付加価値を高めること
Point3栽培時期をずらす等、施設園芸のメリットを活かすこと
農林水産省の統計から、施設園芸で作られる野菜で1000㎡(1反)当たりの所得が最も高いのはピーマンで、2,690千円/反。2番目はナスで2,414千円/反。1位のピーマンも2位のナスも夏に出荷量のピークがある”夏野菜”なので、ピークを外して出荷することで、高値で取り引きしてもらえます。
そして3番目はイチゴで、1,797千円/反。ケーキなどの生食、ジャムなどの加工食材としてもニーズの高い作物です。
農業をされる地域、季節によっても単価は異なります。新規就農、新規参入をする際は戦略をもって作物の選定を行いましょう。
ライタープロフィール
【uen01】
1反のハウスで夏秋ミニトマトの養液栽培(不織布ポットを利用した少量培地栽培)を行なっています。
元営農指導員のベテラン農家指導のもと、様々な実証実験を行いながら生産しております。元金融マンというバックグラウンドを生かして、数字に基づいた栽培及び経営を行なっています。