コラム

ホオズキカメムシ駆除と予防法を公開!ナス科作物の被害を防ぐ対策とは?

公開日:2025.11.11

※本記事は2018/8/31に更新した記事をリニューアルした記事です



ホオズキカメムシの対策には、他の害虫と同様に初期防除に努めることが重要です。
特に天敵のいない施設栽培では一度でもカメムシの侵入を許すと大量発生に直結する危険があります。カメムシはアブラムシなど他の吸汁害虫に比べると大きくて見つけ易いとはいえ、広いハウスに侵入してきた数匹をすぐに探し出すことは困難です。

そこでこの記事では、ホオズキカメムシの防除方法について、その生態などにも触れつつ具体的な対策をお伝えしたいと思います。

1.ホオズキカメムシの作物被害と臭いの特徴

ホオズキカメムシは、ナスや ピーマン、トウガラシ、シシトウ、トマト、パプリカなどの ナス科作物や、ヒルガオ科植物を吸汁する 害虫です。
集団で現れて、茎や葉を吸汁します。被害が酷い場合には新芽が萎れ生育が悪化することもあります。 果実を吸汁することはほとんどありません。

ホオズキカメムシは「他のカメムシに比べると臭くない」と言われています。それどころか、「フルーツ系のさわやかな香り」「爽やか青リンゴの香り」といった声もあります。カメムシの種類によって臭いの強さや香りが異なります。

2.ホオズキカメムシとは?特徴と生態

▲ホオズキカメムシの成虫(上)と白さの残る幼虫(下)




ホオズキカメムシは、体長1cm程で灰褐色をした扁平なカメムシで、体には 短い毛が生えています。
6月~10月に多く発生し、体が白い幼虫と茶色の成虫が作物を吸汁して被害を与えます。 集団を形成し、主にサツマイモやナス科の野菜を食害します。

また、雌は葉の裏側に10~30粒ほどの金色をした卵を塊状に産みつけます。

▲ホオズキカメムシの卵

3.これで安心!予防と駆除でさようなら!

ここからはホオズキカメムシの予防方法と駆除方法をご紹介します。

予防方法

侵入対策

害虫対策の基本は、”侵入させない事”です。施設の出入口など開口部に、0.8〜1.0mmほどの目の細かいネットを張り、ホオズキカメムシの侵入を防ぎます。(露地栽培の場合は防虫ネットを掛けトンネル栽培にします)
またハウスや圃場周辺の雑草がカメムシの温床となる場合があるので除草に努めます。

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駆除方法

捕殺

発生数が少ない場合や発生株が限られている場合は手作業で取り除くことが効果的です。
幼虫や成虫は茎を揺らすと簡単に落ちるので、ホオズキカメムシの下にバケツやビニール袋等を用意して落ちてきたものを捕えます。直接手で捕えようとすると強烈な匂いを出して落下するので注意が必要です。
葉裏に卵が見つかった場合は葉ごとちぎり取ります。

農薬の使用

アブラムシ類の対策に農薬を使用している場合は、ホオズキカメムシを含むカメムシ類の発生を抑えられることが知られています。
大量発生した場合は、農薬を使うことで迅速に広範囲のホオズキカメムシを駆除することができます。例えばピーマンではカメムシ類に使える農薬としてアルバリン®顆粒水溶剤やスタークル®顆粒水溶剤、マラソン粉剤3などがあります。
農薬を使う時には注意事項を良く読んで正しく使ってくださいね。

天敵による防除

カマキリやクモなどが成虫を捕食しますが成虫を好んで食べる天敵は知られていません。カメムシタマゴトビコバチなどカメムシ類の卵に卵を産み付ける寄生蜂が土着の天敵として知られています。
寄生蜂を用いた防除方法が盛んに研究されていますが、現段階では生物農薬として販売されているものは無く、実用化に向け更なる研究の進展が期待されます。

ホオズキカメムシが集団で作物の茎に群がっていると早くなんとかしなくてはと焦ることもあると思いますが、病気のように急激に株が弱ってハウス内の作物が全滅するようなことは滅多にありません。まずは落ち着いて被害状況を把握して、被害に応じて補殺したり農薬を使ったり確実に駆除しましょう。

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【参考文献】
○あいち病害虫情報、愛知県農業総合試験場 環境基盤研究部 病害虫防除室、1996.
○病害虫 生理障害台帳、こうち農業ネット、高知県、2012.



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。







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