コラム
公開日:2018.08.08
近年食べ物を選ぶ際に健康志向を意識する人が増えました。しかし、今は消費者だけではなく生産者からも有機野菜をはじめとした「オーガニック」への関心が高まっています。
有機栽培を始めるにあたり、最初に試しやすいのが有機肥料です。
特に「油粕」はホームセンターや資材店などで安い価格で手に入りやすい有機肥料のひとつです。油粕は、油を搾り取った後のアブラナ科(ナタネや大豆)の種の搾りかすのことをいいます。ゆっくりと徐々に肥料成分が効いてくるのが特徴で、一般的な使用用途は元肥です。主な成分は窒素で、単体で使われるだけではなく、ぼかし肥料の材料としても使われることもあります。
よく「有機肥料が良い」という話だけを聞いて油粕を試してみようとする人がいますが、化学肥料と同じように使ってしまい失敗したというケースが目立ちます。
例えば化学肥料は速効性があるものが多いので、有機肥料を使ったことがない人が勘違いして油粕を追肥に使ってしまうことがあります。しかし、油粕の肥料成分は土中で発酵を伴いながら染み出すので、即効性は期待できません。
また、油粕はそのまま使うと生ごみのような悪臭を伴います。さらにそこで大量のハエが発生して思わぬトラブルが起ることがあります。
それでは油粕の上手な使い方を確認していきましょう。
先ほども触れたように、油粕は発酵してから肥料成分が効き始めます。発酵までに通常3週間程度かかるので油粕は元肥としての使用に適しています。
土の中で発酵させる際は、悪臭を伴うため土の表面に撒くのではなく土に混ぜ込むようにします。多少臭いがするもののハエの大発生するのを防げます。また、臭いがするのを避けたい環境下ではマルチやビニールシートをかぶせて発酵を待ちましょう。悪臭とハエの発生を防ぐことができます。
どうしても油粕を追肥として使用したい場合や早く効果を出したい、発酵させる環境が整えられないという人には、少し価格が上がりますが発酵済みの油粕も市販されていますのでおすすめです。すでに発酵しているので肥料成分がすぐに水に溶けだし速効性があります。また悪臭の原因となる発酵が済んでいるので臭いもほとんど気になりません。
油粕は化学肥料と比べると使うまでに手間がかかってしまいますが、良い土を作るためには是非使いこなしたいものです。はじめての有機肥料はまず特性と使い方をよく確認し、目的に合ったものを選ぶようにしましょう。
ライタープロフィール
【Sandersonia(サンダーソニア)】
花とスケートボードを愛するフリーライター。サンダーソニアとは好きな花の名前。
IoT技術による農業生産の革新と農協改革の今後に関心を寄せる。花屋、JA営農指導員を経て独立。生産から流通、花束やフラワーアレンジメントまで花の知識ならお任せを。