コラム

気孔の働きによって収量・品質が変わる!?光合成促進に必要なこと

公開日:2021.01.06

1.光合成には気孔が開いていることが大前提

二酸化炭素の取り組み口である気孔(きこう)は光合成と密接に関係し、 気孔の働きを良くすることで高収量・高品質を達成できると言っても過言ではありません。光合成促進のために、気孔からより多くの二酸化炭素を吸収させようと、ハウス内への二酸化炭素施用も一般的になってきました。

しかし、いくら二酸化炭素の濃度を上げても植物が二酸化炭素を吸収できないことには意味がありません。気孔は日中に開き、夜に閉じるということは誰でも知っていることですが、実際には 日中に晴れていても気孔が閉じることがあります。
そのため光合成促進には、二酸化炭素の施用よりもまず 気孔が開く環境を整えることが重要です。そこで今回は、気孔の働きと二酸化炭素の吸収に焦点を当てながら「光合成促進に必要なこと」をお伝えしていきたいと思います。

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2.気孔の働きを良くして光合成を促進しよう!

気孔は葉の裏側に多く存在し、2つの孔辺細胞が唇のように向かいあった構造をしています。この2つの細胞の形が変わることで細胞間の孔が開閉します。気孔開閉のメカニズムは未だ完全には解明されていませんが、 光に応答するため明るい日中に良く開き、夜間は閉じています。

※開いている気孔




動物が口や鼻から空気を出し入れして呼吸するように、植物は気孔を開閉して気体を出し入れしています。気孔からの気体の出し入れの中でも、光合成の促進に特に重要なものは 「二酸化炭素の取り込み」「蒸散」です。

光合成に使われる二酸化炭素は気孔から取り込まれるため、 気孔が大きく開く晴天時には光合成速度も大きくなります。 一方で晴天時には蒸散も盛んに行われます。蒸散は葉の温度を低下させると共に根からの養水分の吸収の原動力となります。
一見良いことばかりに思われますが、 激しい蒸散は植物体の乾燥や萎れの原因になります。そのため植物は 蒸散によって大量の水分が失われると気孔を閉じてしまいます。 気孔を閉じてしまってはいくら天気が良く、二酸化炭素を施用しても十分な光合成は行えません。

気孔が閉じるのを防ぐためには、蒸散量に見合った土壌水分量を維持できるように こまめな潅水に気を配ることが大切です。しかし土壌水分量が十分でも、環境の変化が大きかったりすると蒸散量に対して根からの吸水が追い付かず気孔が閉じることがあります。そのため、「過度の蒸散を抑え気孔の閉鎖を防ぐこと」、そもそも「いち早く気孔の閉鎖に気づくこと」が重要です。

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3.飽差値でわかる気孔の開閉

気孔の開閉程度は、顕微鏡観察やガスの通りやすさを表す気孔コンダクタンスの測定から知ることができますが、 飽差(ほうさ)から推定する方法が簡単で実用的です。飽差とは空気1㎥当たり後何グラムの水蒸気を含むことができるかを示す数値で、数値が大きい程乾燥していることを示します。気温が高い程また湿度が低い程大きな値になります。

植物によって異なりますが一般的に 飽差が6g/㎥以上になったら乾燥に要注意です。気孔を閉じるサインなので、窓を開けたり加湿装置を作動させたりして飽差を低下させましょう。最近では自動で飽差のコントロールと二酸化炭素発生装置の制御を同時に行い、効率的に光合成を促進してくれる便利な機械も市販されています。

光合成を促進するには二酸化炭素の取り組み口である 気孔を開いた状態にしておくことが重要です。気孔の開閉具合は飽差のモニタリングから知ることができます。飽差が高く乾燥による気孔閉鎖が懸念される場合には加湿などで対応し、気孔が閉じないようにしましょう。




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▼参考文献
〇気孔、光合成辞典、日本光合成学会
https://photosyn.jp/pwiki/?%E6%B0%97%E5%AD%94
〇みんなのひろば 解説・エッセイ 気孔の働きと開閉の仕組み、一般社団法人日本植物生理学会
https://jspp.org/hiroba/essay/kinoshita.html
〇飽差コントローラー 飽差+、株式会社ニッポー
https://www.nippo-co.com/products/nogyo/housa/89.html

ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。

        


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