コラム
公開日:2021.02.19
土壌改良材として農業のさまざまな場面で使われているピートモス。聞いたことはあっても実際どんなときに使うかわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回はピートモスの特徴や得られる効果についてご紹介します。
※ピートモスの掘削現場
ピートモスは、高山や冷涼な気候の地域にある沼地や湿地などで、植物が積み重なり何年もの月日をかけて泥炭化したものを乾燥させ細かく砕いたもので、ふわふわとしていて軽量なため作業性がいいのが特徴です。ピートモスに含まれる主な植物はミズゴケ、水草が主流ですがヨシやスゲ、ヤシガラなどが主体になっているものもあります。
ピートモスは大きく分けて「無調整ピートモス」と「酸性度調整ピートモス」の2種類となっていて、用途や目的などによって使い分けることができます。主な産地は北海道、カナダ、バルト三国、ロシアなどですが、産地によって含まれている植物が違ってくるのも特徴のひとつです。また、一般的に海外産のピートモスは酸性度が高いと言われています。
ここからは、ピートモスの効果について解説していきます。
ph4程度と強酸性にあたるピートモスは、ブルーベリーなどの酸性土壌を好む植物を育てる際に使われています。土壌を酸性に傾けたい場合には無調整タイプのピートモスがおすすめです。
ピートモスは細胞壁に水分を保持する性質があるため、土壌の保水力の向上にも役立ちます。しかし、乾燥しているピートモスは水分を弾いてしまうので、使用前に十分に水を吸わせておくことが重要です。また、栽培途中に水を切らせて完全乾燥してしまうと水分をはじいてしまうので注意しましょう。
ピートモスには肥料を保持する効果があるため、土に混ぜることで植物の根が肥料を吸収しやすくなります。
ピートモスには腐植酸が含まれているため、土壌の団粒化を促進することができます。これにより植物にとって最適な土を作ることができます。
ピートモスは有機質の土壌改良材であるため、土壌の微生物を活性化させる働きもあります。
ピートモスは生産される地域によって違った植物を利用しているため、産地や植物の組成によっても特性が変わってきます。また、無調整か調整済みかでも使用用途が変わってきます。使用する際は必ずピートモスのpHをチェックし、自分の目的に合ったものを選ぶことも重要なポイントです。
アルカリ性に傾いている土壌の酸性度を調節したい場合には無調整ピートモスを、保水力や保肥力などの土壌改良が目的の場合には酸性度調整ピートモスを利用することをおすすめします。
ピートモスは、土壌改良したいときに価格が安く作業性がいいためとても便利な農業資材です。しかし、用量や使い方を間違ってしまうと逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です。圃場に使用する際は特徴やメリット・デメリットを理解し正しく使うことを心がけましょう。
▼参考サイト
〇ピートモスとは,王子木材緑化株式会社
http://www.oji-fp.jp/continuity/c/c01_canadapeat_about.html
〇ピートモスとはどんな土?使い方と注意点・phの調整方法まとめ,田舎センセイによる田舎暮らしでの悩み解決情報サイト
https://inakasensei.com/peatmoss#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC(%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93)%E3%80%81%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%80%81,%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
〇ピートモスの使い方をブルーベリー博士が徹底解説!効果や用途、おすすめ製品も紹介,AGRI PICK
https://agripick.com/1482#content_50600_0_2
ライタープロフィール
かくやさゆり
種苗会社で培った経験と知識を活かしライターとして活動。
家庭菜園とアウトドア遊びが趣味の半農半ライターです。農業を中心にアウトドアをテーマにしたメディアでも執筆中。