コラム

F1種ってどんな種?固定種との違いや見分け方とは

公開日:2021.09.24

野菜や花など、作物の種には大きく分けるとF1種と固定種の2種類が存在しています。どちらも農業には欠かせない存在ですが、消費者の中にはF1種を危険視する声も挙がっているというのが現状です。そこで今回はF1種と固定種それぞれの違いや、F1種が危険だと誤解されている点についても解説します。

1.F1種の特徴

F1種は「雑種第一代」や「ハイブリッド」とも呼ばれ、優良な形質を持った異なる親を交配して作られた品種のことを指します。スーパーなどで売られている野菜のほとんどがこのF1種です。
発芽や生育が揃いやすいため一度に収穫することが可能で、耐病性を持った品種の栽培や野菜のクセをなくして一般受けしやすい野菜を栽培することができるなど、メリットが多いため多くの生産者がF1種を利用しています。
しかし、F1種からできた種を採種しても同じ形質の野菜を栽培することができないという特徴があるため、自家採種をしたい方には向きません。

2.固定種の特徴

固定種は自家採種によって植物が持つ形質が受け継がれた品種のことを指します。固定種は遺伝的多様性を有しているため、形や収穫時期にバラつきがあったり、F1種と比べると味や形などが不揃いで個性的なものが多いのが特徴です。日本各地で栽培されている伝統野菜と呼ばれるものは、固定種であることが多いです。

固定種は、その土地で生きていくために必要な遺伝情報を保有するという特徴を持っています。自家採種を続けることでその土地に適応するため、環境適応能力が高い種であると言えます。また、親と同じ形質を持った種ができるので自家採種をしたい方に向いています。

前述したとおり形質にバラつきがでることがあるので大量生産には向きませんが、育てている国や風土に適した固定種は種子の自給や保存といった面で大きな役割を果たしていると言えます。

3.F1種が危険という誤解

F1種が危険視される理由の一つが「雄性不稔(ゆうせいふねん)」です。
雄性不稔とは、自分で花粉を作らず種子を付けない性質を持った植物のことで、海岸に自生する浜大根など自然界でも起こり得る現象です。雄性とはおしべ、つまり花粉のことで、花粉が出ない雄性不稔の植物はF1種を育種する際に都合がよいことから、よく利用されている特性でもあります。種子を作ることができない植物であることから“不妊に繋がる”といった誤解がありますが、その根拠は薄く、F1種を摂取することと生殖能力低下の関連性を紐づけるのは無理があると言えます。

また、遺伝子組み換えと混同されることもありますが、異なる形質を持った親同士を交配してできたのがF1種です。遺伝子に直接働きかけて遺伝情報を変化させる遺伝子組み換えとは育種方法が全く異なります。

今回はF1種と固定種の違いについて解説しました。F1種も固定種もそれぞれにメリット・デメリットがあるということがおわかりいただけたかと思います。さまざまな意見があるF1種ですが、現在安定した食糧供給が行えているのはF1種のおかげとも言えます。

どちらを栽培するかについては栽培する作物や経営方針に合った種子を選ぶことが重要です。

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▼参考サイト

○「固定種」は安全、「F1種」は危険、はホント? 種子の多様性を知ろう, SMARTAGRI
https://smartagri-jp.com/management/1301
○ダイコンのタネ, 株式会社トーホク
https://tohokuseed.co.jp/farm/daikon-tane.html
○F1の種は本当に危険なのか?背景から読み解く, 農ledge
http://nou-ledge.com/2017/08/23/170823_f1/#5

ライタープロフィール

かくやさゆり
種苗会社で培った経験と知識を活かしライターとして活動。 家庭菜園とアウトドア遊びが趣味の半農半ライターです。農業を中心にアウトドアをテーマにしたメディアでも執筆中。


    
    


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