コラム

残留農薬を落として皮ごと食べる! 野菜・果物の正しい洗い方

公開日:2018.03.07

みなさんは野菜や果物をどのように洗っていますか?
水で洗う、野菜洗い専用の洗剤を使って洗う・・・など色々な方法があります。

農薬はどのように落としたほうがよいのか?そもそも、なぜ野菜や果物を洗ったほうがよいのか?残留農薬の危険性と野菜・果物の洗い方、農薬の落とし方について紹介していきたいと思います。

1.健康・美容にいい!皮に含まれている様々な栄養素

「野菜や果物は皮ごと食べたほうが栄養があってよい」と聞きます。以前に知人から「リンゴの皮をむくの!?うちは皮ごと食べるよ!」と驚かれたことがありました。
実際に野菜や果物の皮は栄養が豊富で、中には病気の予防や美肌効果のある栄養も含まれています。野菜によっては中身よりも皮のほうが栄養価が高いものもあります。

  • ●リンゴの皮
  • エピカテキン(抗酸化作用と免疫力を高める効果)、プロシアニジン(アレルギー改善と美白効果)、アントシアニン(高血圧予防と視力の改善効果)の3つのポリフェノールが含まれています。

    ※参照:FoodBox



  • ●カボチャの皮
  • β(ベータ)カロテンを多く含んでおり、免疫力を高め、ガンの予防や制御の効果が期待できます。

    ※参照:ちょっと便利メモ

    また、βカロテンは体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあるため、肌荒れ防止や美肌効果もあります。人参の皮にもβカロテンが含まれています。

    ※参照:元保育士からの発信



  • ●ブドウの皮
  • アントシアニンが含まれており、眼精疲労やかすみ目を改善したり、悪玉コレストロールの発生を防ぎ動脈硬化を予防してくれます。

    ※参照:Nnaturopathy


    最近ではサプリメントとしても売られており、多くの人が知っていますね。※大量に摂取するとお腹を壊しやすいので注意が必要です。
    他にもジャガイモの皮には食物繊維が多く含まれており、ナスの皮にはナスニンという抗酸化作用に優れ、肌の老化やガン予防に効果的です。

    最近では美容やダイエットのためにグリーンスムージーやプレスジュースなど野菜や果物を皮ごと摂取する人も増えています。

しかし、野菜や果物の皮には目に見えない「残留農薬」がついている可能性が高いのです。健康によいからと気づかないで食べ続けてしまうと、身体に悪影響を及ぼす危険性が高いのです。

次に野菜や果物に残った残留農薬の危険性について見てみましょう!

2. 野菜・果物に残った残留農薬の危険性

残留農薬とは、収穫前の一定期間に使用した農薬が作物に残ってしまったものです。
病害虫や雑草の防除など農作物に散布した農薬はすぐには消えません。このため作物に農薬が付いたまま作物が収穫され、私たちの体内へ入ってしまいます。

実際に、米国の環境保護団体である環境ワーキンググループ(EWC)が発表した残留農薬の調査結果によると、ワースト1位はダントツでイチゴ。最大20種類の農薬が検出されたそうです。第2位はほうれん草でした。

これはアメリカで行われた調査結果とのことですが、いま日本はアメリカよりも多くの農薬を使用しており、単位面積当たりの農薬使用量は韓国に次いで「世界第2位」です。


もし農薬を口にしてしまったら?妊婦さんやお子さんのいる家庭ではとくに気になりますよね。現に子供の脳の発達に害がある可能性が指摘されています。

大人でも継続的に残留農薬を摂取していると、ガンになったり神経系や免疫系へ悪影響を及ぼしたり、ホルモン異常への関連性が指摘されています。また遺伝毒性という遺伝子そのものが損傷を受ける危険性も指摘されています。また、日常生活にも喉の渇き、めまいや目の充血・痛み、皮膚のかぶれ、吐き気、嘔吐、発熱、だるさなどの症状が現れます。また、DNAに及ぼすリスクも報告されており、大量の残留農薬が体内に入ると遺伝子そのものが損傷する危険性もあるといわれています。【マクロビ大学】


様々な試験成績に基づき、効果・安全性を確認した農薬だけが登録されているため、きちんと使用方法を守り、安全の範囲で使えば問題ないとされています。
農薬の登録申請時は人がその農薬を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、現在の科学知見からみて健康への悪影響がないと推定される1日の摂取許容量(ADI)。及びその農薬を24時間、又はそれより短い時間経口摂取した場合に健康に悪影響を及ぼさない1日当たりの摂取量(急性参照容量:ARfD)が設定されます。
【農林水産省】残留基準(人が摂取しても安全とされている範囲のこと)は、国によって食生活(摂取する量)や栽培環境が違うため、定められている基準値が変わってきます。


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3. 農薬に対する各国の対応


現在主流となっている農薬は「有機リン系の農薬」と「ネオニコチノイド系の農薬」です。アメリカのハーバード大学などの研究チームは、「有機リン系の農薬」を低濃度でも摂取した子供はADHD(注意欠陥・多動性障害)になりやすいと発表しました。低い濃度の摂取でも発達障害になる可能性があるということです。

また、EFSA(欧州食品安全機関)は有機リン系農薬と同じく「ネオニコチノイド系の農薬」も神経系に悪影響を及ぼすと発表しています。
「ネオニコチノイド系農薬のうち2種類が学習や記憶のような機能に関係する神経と脳の構造の発達に有害影響を与えるかもしれない」【EFSA(欧州食品安全機関)】
これは「ネオニコチノイド系の農薬の影響で神経系が狂ったミツバチが巣に戻ることができなくなり、数の減少や大量死などの影響が出ている」とされたため、人体への影響も懸念されているのです。
2013年5月にヨーロッパでは使用が禁止され、現在では欧州各国も使用を禁止しています。

一方日本では、ネオニコチノイド系の農薬であるイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフタンの4種は稲、果樹、野菜などに幅広く使用されています。これらは農家による害虫の防除に欠かせません。他にも3種類のネオニコチノイド系農薬が登録されています。【農林水産省】

このように国によっての対応は様々です。
農家は生産量を保つためにも、病気を防ぎ害虫の発生を防ぎたい。さらに人手不足の現状やコストを考えると農薬を減らすことはとても難しい。
しかし「登録されている農薬だから大丈夫」「摂取し続けても人体には影響が出ない量だ」と言われても、出来るだけ残留農薬が少なく安全なものを食べたいですよね。


では、どうしたら残留農薬の摂取を減らすことができるのでしょうか?

4. 野菜・果物についた農薬の正しい洗い方

農薬は目に見えないですし、臭いもないのでもし残っていてもわかりません。
リンゴやじゃがいもなど、皮に栄養があっても「心配なら皮をむけば良い!」かもしれません。しかし、キュウリやトマト、ピーマンなどなかなか皮がむけない野菜もあります。そのまま食べる葉物野菜(レタス、ほうれん草、小松菜、セロリ)、イチゴなどはさらに難しいですね。
無農薬野菜やオーガニック野菜だけを食べる方法もあります。ただ、値段が高く、近隣のスーパーでは気軽に買うことができません。
そこで「普段食べている野菜・果物で農薬をしっかり落として、栄養満点の皮ごと野菜も果物も食べたい!」「でも残留農薬がついていたら…と考えると不安だ…」という方でも安心して食べることができる野菜・果物の洗い方をご紹介します!

  • ●流水で洗う
  • 手間 ★☆☆☆☆ コスト★☆☆☆☆ 安全性★★★★☆ 水でしっかり30秒洗います。野菜洗いの基本といってもいいですね。
    多くの農薬が水溶性なので水と一緒に溶けて流れてくれます。しかし、水溶性ではない場合もあるため、つけ置く際は水を流し続けましょう。
    先ほどワースト2だったほうれん草など葉物野菜は、葉を一枚ずつ流水で洗い、ボウルに水を流しながら5分ほどつけおき、その後振り洗いをします。
    レタスやキャベツなど結球野菜は一番外側の葉に農薬がたくさんついているので1枚捨ててから流水で洗いましょう。

  • ●専用洗剤
  • 手間 ★★☆☆☆ コスト★★★★☆ 安全性?????
    様々なメーカーから野菜を洗うための専用洗剤が出ています。水で洗うより農薬がよく落ちてもし洗剤が残ったとしても人体には無害で安全だそうです。(各メーカーの主張)
    洗い方も各メーカーにより異なります。人体に無害とあるが長期間に渡り使用していったらどうなるのか?農薬を洗剤で洗い落すのはいかがなものか?といった声も上がっています。

  • ●50℃洗い(※野菜のみ対応)
  • 手間 ★★★★☆ コスト★☆☆☆☆ 安全性★★★☆☆
    50℃前後のお湯で野菜を洗います。葉物野菜なら2~3分洗うことで雑菌を死滅させる効果もあります。また、ヒートショック現象(急激な温度変化)により、野菜の気孔が開いて水分を吸収します。すると萎れていた野菜も復活し、鮮度が蘇ります。(時間の経った野菜に効果的です)野菜の苦味やアクを消すこともできるので味もおいしくなります。【スチーミング料理技術研究会 平山氏考案】
    しかし、43℃以下になると菌は増殖するのでしっかり温度管理をしなければなりません。忙しい方にはなかなか難しいですね。また、お湯を通すので調理方法の選択肢も狭くなります。

  • ●食用の重曹で洗う
  • 手間 ★★☆☆☆ コスト★★☆☆☆ 安全性★★★☆☆
    小さじ1杯ほどの重曹を溶かした水に30秒ほど野菜を浸けます。
    浸ける時間には注意が必要です。とくに葉物野菜は長く浸けすぎるとビタミンが溶け出す可能性があるので1分以上は浸けないようにしましょう。その後は必ず水で洗い流します。
    浸け終わった重曹水は食器洗いやお掃除に再利用することもできます。また、100円ショップなどで手軽に購入ができるので安くて便利です。
    重曹はパンケーキを膨らませるなどお菓子作りにもよく使われており、少量(1日に5g以内)の摂取ならば身体に害はないとされています。しかし、重曹の正式名称は「炭酸水素ナトリウム」です。塩分が多く含まれているので血圧の高い方は注意が必要かもしれません。

  • ●酢水で洗う(※野菜と一部の果物のみ効果的)
  • 手間 ★★☆☆☆ コスト★☆☆☆☆ 安全性★★★★☆
    酢:水を1:3で薄め洗い、流水ですすぎます。
    酢の殺菌・防腐効果は昔から知られており、魚をお酢でしめたり、お寿司や酢の物、保存食品など様々な調理に使われてきました。酢を希釈した洗浄液をお掃除に使うこともあります。病原性大腸菌O-157、腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、ボツリヌス菌などに対する抗菌効果も確認されており、食中毒の予防にも有効です。【ヘルスケア大学】
    ※酢水で果物を洗うと物によっては黄ばんだりする可能性があります。

    市場の野菜や果物の残留農薬は、食べ続けても人体に影響がないとされています。しかし摂らないに越したことはないですよね。
    また、オーガニック野菜や無農薬野菜には農薬が使われていない代わりに虫が寄ってきます。なので、こちらも食べる前にはしっかりと洗うことをおすすめします。
    わたしたちは色も形もきれいな野菜や果物を選びがちです。しかし、虫食いや変色した作物も、味は悪くなく害もありません。
    虫も残留農薬も正しく洗い落せば、おいしく健康的に野菜や果物を食べることができます。

    ぜひご紹介した方法を試してみてください。


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