コラム

根こぶ病の原因は?効果的な土壌消毒の方法と農薬の使い方

公開日:2020.08.07

1.アブラナ科野菜で注意!蔓延しやすく根絶困難な根こぶ病

根こぶ病はアブラナ科の野菜に発生し、名前の通り根に大小様々なサイズのこぶができる病気です。こぶができるだけでなく、根から養水分を吸収する能力が衰えることで生育が悪化し、酷くなると枯死します。

典型的な土壌伝染性の病気で、1度発生すると10年は発生のリスクがあるといわれています。こぶには膨大な数の病原菌が含まれているため、被害株を畑にすき込んだり、発生株を放置したりすると被害がどんどん広がります。数年で圃場全体に蔓延してしまうこともある恐ろしい病気です。

そこでここからは、根こぶ病についての原因や効果的な対策についてお伝えしていきたいと思います。

2.根こぶ病の原因と効果的な対策

発生原因

根こぶ病は、原生生物が原因の典型的な土壌伝染性の病気です。根こぶ病菌が増殖するのは生きた植物細胞中のみですが、休眠胞子という形で活動することなく土壌中で約10年もの間生存できるといわれています。

発生する植物はアブラナ科に限られます。根にこぶができる病気は、きゅうりやオクラ、薔薇など幅広い植物でみられますが、原因はネコブセンチュウや細菌で根こぶ病とは異なる病気です。


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効果的な対策

1つの方法に頼らず、複数の方法を組み合わせ総合的に防除することが重要です。



【①発病株の処分】

発病株は見つけ次第、圃場外へ持ち出し処分します。ナズナなどのアブラナ科の雑草も抜き取って、同様に処分しましょう。また、収穫後の根を土壌にすき込むことはやめましょう。






【②土壌pHの矯正】

土壌が酸性だと発病しやすいため、石灰などを使って土壌pHを高くしましょう。目安は、発病が抑制されるpH7.2以上です。


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【③抵抗性品種の利用】

根こぶ病に抵抗性のある品種を栽培しましょう。根こぶ病にかからないか、かかっても極軽微なこぶに抑えることができます。ただし、地域によって有効な品種が異なる点に注意しましょう。また、同じ抵抗性品種の連作は避けましょう。






【④おとり作物の栽培】

連作を避けて輪作を行いましょう。輪作ではおとり作物といって、根こぶ病に感染するけれど発病しない植物を栽培することで、土壌中の休眠胞子を減らすことができます。例えば、葉ダイコンやエンバクなどがおとり作物に適しており、栽培後は緑肥として土壌にすき込むこともできます。


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【⑤太陽熱消毒】

栽培前、梅雨明け後の暑い時期に行い、太陽光で土壌温度を上げて病原菌を死滅させます。元肥の施肥や畝立て後に潅水して土壌をしっかり湿らせ、透明マルチなどで土壌をピッタリと覆います。20~30日程そのままにしておき、栽培の直前にマルチなどを除去します。地温が高くなる程効果が大きいため、できるだけ被覆期間を長くとりましょう。






【⑥農薬の使用】

根こぶ病の激発圃場や常発圃場では、農薬による防除が欠かせません。栽培前に土壌くん蒸タイプの殺菌剤で土壌消毒を行います。太陽熱消毒に比べると費用はかかりますが、安定した効果が得られます。播種前や定植前には、静菌といって休眠胞子の発芽を抑制することで感染を防ぐタイプの薬剤を用いることで、さらに発病を抑えることが可能です。

ただし、菌密度は減らないことに注意が必要です。最近では、発芽した菌を殺菌するタイプの薬剤も登場しています。殺菌タイプの薬剤はおとり作物との相性も良く、併用することで効果的に菌密度を下げることができます。


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根こぶ病は一度発生すると根絶が難しく、放置すると数年で圃場全体に蔓延することもある恐ろしい病気です。抵抗性品種やおとり作物、土壌消毒や農薬など複数の対策を組み合わせた総合的な防除で被害を防ぎましょう。




▼参考サイト
〇病害虫図鑑 ハクサイ 根こぶ病,愛知病害虫情報,愛知県
https://www.pref.aichi.jp/site/byogaichu/hakusai-nekobu.html
〇根こぶ病,病害データベース,武蔵野種苗園
http://www.musaseed.co.jp/disease/%e6%a0%b9%e3%81%93%e3%81%b6%e7%97%85/
〇オラクル,日産化学株式会社
https://www.nissan-agro.net/oracle/
▼参考文献
〇田中秀平(2015)アブラナ科植物根こぶ病菌の病原性と病原力の多様性,植物防疫アーカイブ,日本植物防疫協会
http://jppa.or.jp/archive/pdf/69_10_01.pdf

ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。








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