コラム

病害の発生時期と対策方法を年間スケジュールでチェックしよう!【病気編】

公開日:2026.07.14

施設園芸は天候の影響を受けにくく、年間を通して安定した栽培ができる一方で、病害が発生しやすく、施設内で一気に広がりやすいという特徴があります。
そのため、あらかじめ「いつ・どんな病害に注意すべきか」を把握し、時期に合わせて対策を行うことが重要です。
本記事では、施設園芸で注意したい主な病害について、発生しやすい時期とあわせて年間スケジュール形式で紹介します。

1.うどんこ病

うどんこ病は「糸状菌」というカビが原因となり、葉や茎などの白い粉のような病斑が発生する病気です。
葉や茎に白い粉状の斑点があったり、それが複数できて広がっていたりするならうどんこ病である可能性が高いでしょう。
症状が悪化すると光合成能力が低下し、生育不良や収量低下・葉が黄変・枯死を招くため早々に対処する必要があります。

うどんこ病の発生しやすい作物

キュウリ、メロン、スイカ、イチゴ、トマト、ナスなど
特にキュウリやイチゴは被害が大きくなりやすく、作物が実る前に手遅れとなるケースもあるため事前の対策が必須です。

うどんこ病の発生しやすい時期

うどんこ病は気温が20℃前後となる3~5月頃・9~11月頃に発生しやすい病気です。
また、湿気の少ない乾燥気味の気候でも発生しやすいため注意が必要となります。

うどんこ病の防除のポイント

うどんこ病の防除をする場合、3月ごろから対策をする事が大切です。

具体的には、以下のような対策を行っておくと良いでしょう。
•うどんこ病に侵された葉を早めに除去する
•ビニールハウス・ガラス施設内の風通しを良くする
•発生を確認したら迅速に登録農薬を散布する

うどんこ病は放置をすると回復が困難になりますので、見つけ次第対策をしていきましょう。

2.灰色かび病

灰色かび病は「糸状菌」によって起こる病気で、葉や花びら・果実などの一部が斑点上に茶色く枯れたような状態になります。
進行すると灰色の綿状・粉状のカビが大量に発生してしまい、感染箇所の組織が壊死し胞子が飛散して他の葉や茎・果実について同じ症状が起こっていくのです。
放置するとビニールハウスやガラス施設の全体に胞子が蔓延し、他の植物にも感染が広がる恐れがあるため早々に対策・防除が必要となります。

灰色かび病の発生しやすい作物

トマト、イチゴ、ナス、キュウリ、ピーマン、レタスなど
トマトやナス・イチゴなどは主要病害の1つとされているため、特に注意が必要です。

灰色かび病の発生しやすい時期

灰色かび病は10月~4月の、気温15~20℃前後で湿度が90%を超える環境で発生しやすい病気です。その性質から施設園芸では特に起きやすい病気となっています。

灰色かび病の防除のポイント

灰色かび病は、10月ごろから対策を行うことが大切です。こまめに換気を行い施設園芸の結露を防ぎます。
花がらや発病してしまった葉は早めに取り除き、胞子が蔓延しないようにすることが重要です。対応しきれないと判断した場合は、発生初期の時点で登録農薬を使用し対策をしておきましょう。

3.青枯病

青枯病は土壌中に生息する「細菌」が原因で起こる病気で、葉が青いまましおれて枯れてしまう病気です。
発病初期は日中のみ葉がしおれるだけですが、放置すると回復することができなくなりそのまま枯れてしまいます。
見分ける方法としては地面付近の茎を切ってみることが挙げられ、維管束が褐色であったり乳白色で粘り気のある汁が出てきたら青枯病の可能性が高いでしょう。

青枯病の発生しやすい作物

トマト、ナス、ピーマン、パプリカ、ジャガイモなど
ナス科の作物に多く見られる病気なため、特にトマトやナス・キュウリには青枯病の注意が必要です。

青枯病の発生しやすい時期

青枯病は、5月~9月の地温が20℃を超える時期に発生しやすい病気です。
特にビニールハウスやガラス施設は温度が高くなるため、発生のリスクも高い病気と言えます。

青枯病の防除のポイント

青枯病は、作物植え付け前の2月~4月・8月~9月頃に対策を始めることが大切です。
発病した株はすぐに抜き取りハウス外で処分する点や連作を避ける点が挙げられます。
青枯病は土壌の菌が原因となるため、土壌の消毒や排水対策を行うことも重要です。

4.モザイク病

モザイク病は「植物ウイルス」が原因で起こる病気で、葉に緑色や黄色・濃い緑に薄い黄色などの斑点が入り混じったモザイク模様ができるのが特徴です。
放置すると生育に支障が起き、株全体が委縮したり果実が奇形になったりと収量や品質が低下してしまいます。
また一番の特徴として一度モザイク病に感染すると治療方法がないため、速やかに対処を行いましょう。

モザイク病の発生しやすい作物

トマト、キュウリ、ピーマン、パプリカ、ナス、メロン、スイカなど
特にトマトとキュウリは被害が大きくなりがちなので、普段からモザイク病の痕跡がないか確認をしておくことが大切です。

モザイク病の発生しやすい時期

モザイク病は4月~10月ごろの、アブラムシが多く発生するタイミングで特に起こりやすい病気となります。
モザイク病はアブラムシを媒介として完成することもあるため、見かけたら駆除しておくといいでしょう。

モザイク病の防除のポイント

モザイク病は定植直後の3月~4月・9月頃に対策を行うことが大切です。一度感染すると治療方法がないため、感染した株は他の株に感染する前に抜いてしまいましょう。
他にも、感染源となるアブラムシを除去したり、手指や植物を切ったハサミの消毒をしたりすることで防除へとつながります。
モザイク病は植物の細胞内で増殖する性質から対処ができないため、感染しないよう徹底的に対策を行っていきましょう。

5.ベト病

ベト病は「卵菌類」が原因でおこる病気で、葉の表面には淡黄色~黄緑色の病斑が現れ裏側には灰色のカビが発生します。
うどんこ病と似ていますが、うどんこ病は葉の裏に白い粉状のカビができるのに対しベト病は綿のようなふわっとしたカビが付くことで見分けができます。
放置するとベト病に感染した葉が枯れてしまい、光合成能力が低下し収量減少や生育不良が起こるため防除が重要です。

ベト病の発生しやすい作物

キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、ブドウ、タマネギ、ホウレンソウなど
施設園芸では特に「キュウリ」がベト病に侵されやすいため、特に注意が必要です。

ベト病の発生しやすい時期

ベト病は施設園芸の場合、3月~5月・9月~11月に発生しやすい病気になります。
特に気温が15~25℃で、湿度85~90%以上・葉が常に濡れた状態の場合ベト病の胞子が形成されやすくなるので注意しましょう。

ベト病の防除のポイント

ベト病は、2月~3月・9月ごろに対策を行うことが大切です。発生する前に登録農薬を散布しておくことが有効となります。
また、ベト病が発病してしまった葉は早めに除去し、換気を徹底することがベト病防除のポイントとなるため温度や湿度管理も徹底して行うようにしましょう。

6.斑点細菌病

斑点細菌病は「細菌」が原因となって起こる病気で、放置すると葉が枯れて穴が空く症状が出てしまいます。発病初期は葉が水に沈んだような斑点が現れ、その後褐色~黒褐色に変化し周りが黄色になっていきます。
灰色かび病やベト病・黒星病と初期症状は似ていますが、カビが生えないのが斑点細菌病の特徴です。
黒星病はカビは生えるものの目には見えないため、黒色病の特徴である黒い病斑を見て見分けるようにしましょう。

斑点細菌病の発生しやすい作物

トマト、ピーマン、パプリカ、キュウリ、キャベツ、レタスなど
トマトとキュウリに関しては「重要病害」として扱われているため、特に注意するようにしましょう。

斑点細菌病の発生しやすい時期

斑点細菌病は4月~10月に発生し、特に気温が20~30℃で湿度が80~90%程の環境で蔓延しやすくなります。
施設園芸の場合は湿度が高くなりがちなため、定期的に換気を行うなどして対策を行いましょう。

斑点細菌病の防除のポイント

斑点細菌病は、3~4月頃に対策を行うことが大切です。
防除のポイントとして、斑点細菌病が発病した株や葉はそこから他の株に感染する恐れがあるため抜いたり切ったりしてハウス外で除去しましょう。換気などで温度や湿度管理も行い、葉の結露を防ぐことも重要です。
また、防除に使用したハサミやナイフなどは、使用後必ず消毒して感染源にならないようにしましょう。

7.半身萎凋病

半身萎凋病は「土壌中細菌」が原因で起こる病気で、名前の通り株の半分が下から褐変して枯れていく病気です。青枯病と似ていますが、青枯病は株全体がしおれるのに対し半身萎凋病は株の半分に症状が起こることで見分けがつきます。
また茎を切ると維管束が褐色に変色する特徴もあるため、枯れてしまった茎を切ってみて確認するといいでしょう。

半身萎凋病の発生しやすい作物

トマト、ナス、イチゴ、ピーマン、キュウリ、メロンなど
特にトマト・ナス・イチゴについては「重要病害」とされているため、より厳重な管理が必要です。

半身萎凋病の発生しやすい時期

半身萎縮病は、3月~5月と9月~11月に発生しやすい病気です。
20~25℃と涼しい環境を好み、また原因となる病原菌は土の中で数年間生き続けるため連作のリスクが特に高い点に注意となります。

半身萎凋病の防除のポイント

半身萎凋病は、定植前の2~4月・8~9月ごろに対策を行うことが大切です。病原菌が数年間土の中で生き続ける点から「連作を避ける」事が重要となります。
したがって土壌消毒をすることや、抵抗性台木・抵抗性品種など半身萎凋病に耐性のある品種を導入することも有効です。

8.すすかび病

すすかび病は「糸状菌」が原因で起こる病気で、葉の裏側に黒っぽいすす状のカビが発生します。発病初期には葉の表面にも淡黄色~黄緑色の病斑が現れるため、裏返しにしなくてもすすかび病に感染していることの確認は可能です。
症状が進行すると葉が枯れてしまい、光合成能力が低下して生育不良や収量の低下につながるため対処しなくてはいけない病気です。

すすかび病の発生しやすい作物

トマト、キュウリ、ナス、メロンなど
施設園芸の場合、特に「トマト」の被害が大きいためしっかりと対策をしていく必要があります。

すすかび病の発生しやすい時期

すすかび病は「9月~5月」ごろに発生しやすい病気です。
特に気温20~25℃で、湿度が85%を超えるような環境の場合に発生しやすくなります。
また、結露などで葉が濡れたままの状態だとさらに感染が早く進行してしまうため、環境には注意が必要です。

すすかび病の防除のポイント

すすかび病は、9~10月頃に対策を行うことが大切です。
防除のポイントとして、定期的に換気を行い湿度を下げたり結露するのを防いだりすることが有効となります。
また、発病してしまった葉は早めに除去を行うことで、感染を防ぐことが可能です。
気づいたのが発生初期である場合には、登録農薬を使用して対策を行うようにしましょう。

施設園芸を行う場合はどのような病害がいつ起こるかを知っておき、それに対して事前に対策を打つことが大切です。感染に気付かず手遅れにならないよう、事前の対策や感染した後の対処などを徹底して作物を守っていきましょう。

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▼参考サイト
〇農研機構
https://www.naro.go.jp/
〇北海道立総合研究機構
https://www.hro.or.jp/agricultural/
〇高知県病害虫防除所
https://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/
〇JAグループ
https://life.ja-group.jp/
〇タキイ種苗
https://www.takii.co.jp/
〇全国農村教育協会「病害虫・雑草の情報基地(青枯病)」
https://boujo.net/handbook/saien/saie-3.html
〇全国農村教育協会「トマト・ナス・ピーマンの病害虫(ナス青枯病)」
https://boujo.net/handbook/tomato/toma-412.html
〇KAKUICHI「植物の病害あれこれ 青枯病」
https://www.kaku-ichi.co.jp/media/crop/disease/wilt-disease-2
〇農林水産省 植物防疫情報
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/index.html
〇東京都病害虫防除所
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/nourin/shoku/boujyo
〇大阪府病害虫防除所
https://www.pref.osaka.lg.jp/o120090/nosei/byogaicyu/index.html
〇日本植物防疫協会(JPPA)
https://www.jppa.or.jp/
〇各都道府県病害虫防除所一覧
https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/yosatu/index.html

ライタープロフィール

【施設園芸ドットコム 編集部】
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