コラム

【古民家×農業IoT】農家と作る「新しい農業の形」を全国へ発信!

公開日:2020.01.31

栃木県鹿沼市にある株式会社ぶらんこは農業IoTに取り組んでいるベンチャー企業です。
主力商品はクラウド型のハウス環境モニタリングシステム「farmo(ふぁーも)」。ビニールハウス内の温度、湿度、CO₂などを測定し、スマホやパソコン上のアプリでデータを確認できます。電源が不要なため設置がとても簡単で、アプリ上のデータ画面も見やすいと好評です。
企業としては珍しく古民家を研究拠点に利用し、その独特でインパクトのある屋根は遠くからでも目を引きます。山や田畑に囲まれた地に拠点を構え、地元農家の方から「現場の声」を取り入れた研究開発を行っています。

今回は、株式会社ぶらんこが開発したデータ収集装置「farmo」の開発経緯や、同社の取組み、その魅力について、永井社長と広報担当の小平さんにインタビューしました!

1.(株)ぶらんこが作る農業IoTシステム「farmo」の開発経緯

「farmo(ファーモ)」はどんな現場に導入されていますか?

(社長)ハウス内の環境測定と水田の水管理ができる2種類のモニタリングシステムを作っています。
ハウス用のfarmoは色々な作物に使っていただけますが、1番多く使われているのはイチゴトマトです。この辺だと鹿沼市の名産品であるニラも多いですね。他にもキュウリ、ナス、メロン、ほうれん草、マンゴーの他、ゆり胡蝶蘭など花きへの導入実績もあります。

-販売地域はどこですか?

(永井社長)栃木県を中心に、代理店を通して全国各地で販売しています。
まだ販売を始めたばかりの商品なので、もっとみなさんに知ってもらうために展示会への出展も増やしています。 昨年は次世代農業EXPOや北海道のイベントにも参加しました。東北地方では水田用farmoの人気も高く、水田の市場はこれから盛り上がりそうです。

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農業IoTに取り組むきっかけは何でしたか?

(永井社長)私たちは元々アプリ開発を行う会社でした。



3年前、宇都宮市で地下水を汲み上げ、冷熱エネルギーで夏秋イチゴを作るという事業を紹介されて行ってみたら、「水温を測りたい」「気温を見たい」との要望がありました。アプリ開発会社の得意なことを活かそうと思い“スマホで見られるもの”を作って提供しました。すると、「これは便利だ!CO₂は見れないの?」と意外にも好評で、新たな要望をいただきました。当時は農業の知識をあまり持っていなかったため、そんな項目もほしいんだ?と思いながら、どんどん項目を増やした結果、今の形になりました。

開発を進める中で私たちも実際に現場に入ってみると、色々な問題点や課題が見つかりました。
始めはハウス内に電気配線を引き回していましたが、毎回工事も大変だし、コストも上がる。なんとか出来ないかと試行錯誤した結果、太陽光発電を利用した無線化に成功しました。無線化したことで電源のないところでも使えるようになり、「便利になった!」と農家さんにも喜んでいただけました。
ただその時は通信できる距離が短く、これではハウスが通信機だらけになってしまう…。そこで今度は通信距離を2キロまで伸ばすと、使いやすさがグンと上がりました。

そんな風に改良を重ねながら2018年の11月頃に今のfarmoの形になりました。

私はweb開発のエンジニアでしたが、農業IoTのおもしろさは、バーチャルだけではなくて、”実際に物がある”こと。水田にしてもハウスにしても、そこに自然があります。その自然の中で自分たちが作った製品が役立っているというのは、深みがありますね。楽しさが全然違います。

2.収量が2割アップ!栽培環境の見える化で外出も安心

farmoを使っている農家さんからの反響はいかがですか?

(永井社長)今まではハウスに行かないとわからなかった環境が外出先でも見られるため、「安心して外出できるようになった」という声が多いですね。
お父さんと息子さんで農業をやっているケースでは、「お父さんから息子へ栽培技術を伝承するのに通常だと5年くらいかかるところが、数字が見えることで2年くらいになる!」との声や、息子さんが「数字をもとにお父さんへ自分の意見を言えるようになった!」とか。
最近では収量が上がったという声が増えています。 なぜなのか?農家さんに聞いてみたら、「今まではハウスに入って暑いなとか寒いなとか、天気を見ながらとか、自分の感覚で栽培管理をしていた。それが数字で管理できるようになった。すると、病害虫が減り、収量が1~2割上がった」 と。
また、数字を見ながら必要な時だけCO₂を施用するようになったらコストが削減できたという声も聞いています。

家族経営の方々からの、「大きな設備はないけど、しっかり栽培をやりたい!」、単棟ハウスが多いイチゴ農家さんたちからの「1棟にそこまで投資ができない。でも環境は知りたい!」といった要望に応えたいと思っています。

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3.田畑広がる栃木の古民家でものづくりをする魅力

古民家を事業所にした経緯について教えてください。

(永井社長)ここは実験などをするための研究所として使っています。本社事務所は宇都宮の駅近くにあるのですが、4階まで階段で上がるため、機器を運ぶのも一苦労。
そこで、実験ができて、家賃も安くて、駐車場もたくさんあるところ!出来ればお米を保管する蔵もほしい!と思いネットで調べていたら、たまたま見つけたのがこの古民家でした。 実際に見に来てみたら、意外としっかりした建物だなと思って、その日のうちに決めました。
庭にはイチョウの木が1本あって、秋になると遠くから黄色が目立ってとてもきれいです。落ち葉や銀杏拾いが大変ですけど、それもこの地に会社を構えているからこその味わいだと思っています。


(小平さん)私も最初は本当にここ会社なのかな?って思いました。今はとても気に入っています。


この地で仕事をする魅力はなんですか?

(永井社長)町の中にいるとあれやこれやと色々な雑音があって心が振り回されますが、ここではニュートラルになれます。例えば近くの自動販売機まで歩いて5分くらいかかるので、そこに歩いていくまでがちょっとした散歩になって、気分転換ができる。この土地だからこそ、周りの声に流されず、自分に自信を持って農業と向き合うことが出来ています。

(小平さん)私も、ストレスが溜まったときや、ふとしたときに目線をそらせば緑があるので、心がやすらぎます。

▲冬の栃木県鹿沼市周辺


4.【農業IoTのベンチャー企業】成長の鍵はBBQ!?

小平さんの入社経緯を教えてください。

(小平さん)私は現在入社して半年になります。最初は製造のアルバイトで来ていました。本当は次の就職までの間に合わせのつもりで始めたアルバイトだったのですが、仕事の内容がとても魅力的だったのでそのまま入社させてもらいました。

-どんなところに魅力を感じましたか?

(小平さん)最初は「これが農業機械?」ってビックリしました。農業用の機械がこんなにも先進的なものだと思っていなかったので、スタイリッシュでかっこいい見た目に興味をもちました。今まで農業に関わったことが無い人も興味を引くようなデザインだと思います。

(小平さん)あと、20代の若い社員が多く、みんな対等に話ができるため、活気もあって仕事がやりやすい点も魅力です。ここ(古民家)では会社みんなでよくBBQをやったりしています。

(永井社長)つい最近2日間にわたってBBQをしました。本当は1日だけの予定が、食材が余ってしまったので2日目もやりました。気づいたら誰かがサンマを焼いていましたね。私もイベントが好きなので、みんな気楽にやってもらっていいし、なんならもっとやってもらっていいと思っています!
その分仕事もしっかりやりますよ!私は、仕事もBBQなどのイベントも、流れの1つだと思っています。お客さんに価値を提供するためにみんなで取り組んでいるチームなので、やりがいのある楽しい仕事にしていきたいのです。

▲BBQの様子


5.仲間を募集中!「一緒に泥にまみれて作ろう!」

今後の展望を教えてください。

(永井社長)今年は農家さんの声をもとに商品をさらに進化させます。いただいた声に応えながら、私たちの力でもっと新しい農業を見せていくことができたらいいなって思っています。
これからもっと農家さんが豊になれる、省力化して儲かることが出来る、そんな次のステージの農業を作れる会社になりたいなって思いますね。


今後、社員も増やしていきたいと思っています。人に対して貢献しようと思っている人、自分の力を発揮したい人が仲間に加わってくれたらうれしいですね!
私たちのキャッチコピーは「泥にまみれてつくろう!」。現場に足を運び、そこで一緒にものづくりのできるメンバーを集めていきたいです!

特別インタビュー

(株)ぶらんこの若手社員お2人にもお話を伺いました!



●(株)ぶらんこ HP






今回取材させていただいたのは…

株式会社ぶらんこ
代表取締役 永井さん

千葉県出身、大学が栃木県だったことでそのまま在住。
控えめで優しい笑顔の社長は、楽しいことが大好きで仕事もイベントも全力。社員たちと笑って冗談を言い合えるほど仲が良く、若い人のアイデアや挑戦を広い心でサポートしてくれます。
●趣味:旅行(学生時代は自転車で九州まで走ったことも)





広報担当 小平さん
前職は大手自動車メーカーの営業職で人と話すことが好きな明るい女性。とても元気で会社のムードメーカー的存在。
●趣味:ヨガ、カラオケ(ジャンルは幅広く自分より上世代の歌が得意)

ライタープロフィール

【施設園芸.com編集部】