コラム

機能性表示食品とは?ガイドラインや届出方法をわかりやすく解説

公開日:2022.08.29

最近、食品市場では「機能性表示食品」と書かれた商品を、よく見かけるようになりました。機能性表示食品は特定保健用食品とは、何が違うのでしょうか?今回は機能性表示食品について、ガイドラインや届出方法などをわかりやすく解説します。

1.機能性表示食品とは

「機能性表示食品」とは、健康維持や健康増進に役立つ食品の機能性(効果)を表示した食品です。表示例としては、「脂肪の吸収を穏やかします」や「お腹の調子を整えます」などがあります。 機能性表示食品は平成27年4月の食品表示法という法律の施行から導入された制度です。それ以前にも機能性が表示できる「特定保健用食品(トクホ)」や「栄養機能食品」があり、これらを合わせて「保健機能食品」と言います。

「特定保健用食品(トクホ)」は、機能性や安全性を国が審査しますが、機能性表示食品には国の審査はなく、事業者の責任において機能性を表示できます。
「栄養機能食品」は、栄養機能食品が許可や届け出の必要がないのに対して、機能性表示食品は消費者庁に届け出が必要です。

2.機能性表示食品の届け出の流れ

食品に「機能性」を表示するには、ガイドラインに定められた次の4項目について、商品を販売する60日前までに消費者庁に届け出し、届出番号を受領しなければなりません。

これらの4つについて事業者から届けられた内容は消費者庁のウェブサイトにデータベースが公開されているので、安全性や機能性の根拠を届出番号で検索することができます。

機能性表示食品を販売する際には、パッケージ表面のわかりやすい場所に、「機能性表示食品」の文字と「届出番号」の表示義務があります。他にも「1日当たりの摂取目安量」や「摂取方法」「摂取上の注意」なども記載が必要です。

3.【消費者・事業者】利用の注意点

機能性表示食品には、「脂肪の吸収を抑える」「血糖値の上昇をおだやかにする」「内臓脂肪を減らす」など、身体にさまざま機能性(効果)がある食品が5,000件以上(2022年3月時点)登録されています。

●消費者側の注意点
消費者は、機能性表示食品検索ページで、希望する機能性や食べたい食品、届出番号などの項目で目的に合った商品を一覧から検索することができます。 しかし、機能性表示食品は、特定保健用食品(トクホ)のように国が機能性や安全性を審査するわけではありません。事業者が消費者庁に届け出するだけで、機能性を表記することができます。機能性表示食品を利用する際には、「効果あり」「効果なし」について冷静に判断する必要があります。


●事業者側の注意点
事業者側が注意したい点は、機能性表示食品として商品を販売するには、費用や時間がかかることがあげられます。機能性表示食品の届出の際には、機能性と安全性、成分のエビデンスと共に提出しなければなりません。安全性試験には長くて1年半の時間と、数百万円の費用がかかります。デメリットがある一方、取得することによって付加価値がつき、売上増加が見込めるといったメリットもあります。




野菜などの農林水産物は、成分濃度などの個体差が大きいことから機能性を表示するために、さまざま課題があります。農林水産技術会議のホームページには、課題に対応するための参考資料が掲載されているので、機能性表示食品に取り組みたい農業生産者の方は、利用してみてはいかがでしょうか。








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▼参考文献
〇消費者庁,消費者の皆様へ 「機能性表示食品」って何?,平成27年7月改変
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_1.pdf
▼参考サイト
〇機能性表示食品コンサルティング
https://www.yakujihou.com/kinousei/aboutkj-2/
〇消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/search/

ライタープロフィール

【都良TORA(田口 忠臣)】
北海道在住のフリーライター。
6次産業化やグリーンツーリズム、農産加工品開発のコンサルティング・ブランディングを行う仕事をしていたことから、その知識を活かして食や観光・農業に関する記事を書いています。
保有資格:北海道観光マスター、食生活アドバイザー、日本酒ナビゲーターなど









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