コラム

施設園芸・植物工場展【GPEC2024】で見つけたハウスの暑さ対策資材!

公開日:2024.08.08

毎日うだるような暑さが続き、施設園芸分野においても暑さ対策が大きな課題となっている。
7/24~26に@東京ビッグサイトで開催された「施設園芸・植物工場展GPEC」でも、各社様々な暑さ対策資材を展示していた。そこでこの記事では、編集部が展示会場で見つけた暑さ対策資材を紹介する。

1.外気にアプローチ!最大でマイナス3.5℃の屋根散水

(株)サンホープのブースで注目を集めていた屋根散水。その名の通りハウスの屋根に散水する。30年以上前からある方法だが、大量の水が必要、散水する水質によってはビニールを汚してしまう等様々な課題があり普及が滞っていた。
しかし、異常な暑さが続く近年、再注目されているようだ。

一般的なハウスの暑さ対策といえば、天窓やサイドを開けて換気をする、循環扇を使用してハウス内の温度ムラを無くすのだが、これはあくまでハウス内を“外気に近づける”方法だ。「ならば外気から冷やそう!」と考えられたのが外気に直接アプローチする屋根散水。 タイマーを使用し、2分散水して8分止める。これを。日中9時~17時頃まで繰り返すことで最大3.5℃下がる実験データが出ている。 屋根散水は水が気化する際に温度が下がる仕組みなので、乾かす時間も必要だ。

10aあたり、1日5トンの水を必要とするため、水が潤沢にあること、水質がきれいなことが使用条件。井戸水であれば費用もかからず使用できるが、鉄分やカルシウムが多い場合、ハウスのビニールが汚れてしまう可能性があるため注意が必要だ。
水質を確認するためには、ビニールの切れ端に水をかける→乾かすといった作業を繰り返し、実際にビニールが変色しないか確認する方法がある。

2.最大でマイナス7℃!微細ミスト×トルネードファン

温室ビニールハウス専門メーカーである福栄産業(株)は、循環扇「快適ファン」を展示。一般的な扇風機は気流(風)が一方方向に向かうところ、快適ファンはトルネードの気流を起こすため、ハウス内の温度ムラを解消できる。
実際に会場では常に風船を定位置に浮かせることができていた。直流の風であれば風船はどこかへ飛んで行ってしまうのだから、わかりやすい。ファンも静音だったことが印象的だった。

△気流イメージ(福栄産業カタログより抜粋)




さらに、多目的高圧微細霧システム「クールミスティ」と併用すれば、ミストをハウス全体に行き届かせることができ、最大6~7℃ハウスの温度を下げることができる。その精密な噴射ノズルからは10~40ミクロンの微細な霧が噴射される。(参考:小麦粉は50ミクロン)

また、クールミスティは水が蒸発する際に周囲から熱を吸収する「気化熱効果」を利用しているため、空中で蒸散し作物や床が濡れる心配がない。 実際の現場では、農作業者の暑さ対策としても喜ばれているそうだ。ブースでも噴霧していただいたのだが、一気に周囲の温度が下がり、「素早く温度を下げることができる」ことを体感できた。 昨年に比べ5倍以上のお問い合わせが来ているそうで、施設園芸分野や畜産分野で注目を集めている。

3.夏イチゴの根元にダイレクト冷風!高温対策装置

ヤンマーは、夏イチゴを栽培するための高温対策装置「断熱送風栽培槽DN-1」を展示。自社オリジナルの装置だ。 空調機から送られる冷風が通風ダクトを通ってイチゴのクラウン(根元)に直接届く仕組み。株元の温度に敏感なイチゴを根元から冷やすことで、酷暑期の秀品質が上がるという。冷風のほか、温風やCO2の局所施用も可能。

4.軽くて展張簡単!今すぐ対策できる遮熱資材

ダイヤテックス(株)のブースでは農業用遮熱資材「ふあふあホワイトプラス™」に注目した。従来のふあふあ™エースはグレーの資材だったが、色をホワイトに変えることで遮熱性を向上させ、赤外線反射率は約15%アップの65.4%。ハウス内が涼しく、さらに明るくなった。
ふあふあホワイトプラス™の魅力は展張作業が簡単なこと。ハウスの外観に覆い被せ、スプリングで留めるだけで遮熱対策ができ、夏が終われば取り外すだけ。 「ふあふあ」という名前の通り資材全体が軽いため、1人で担いで移動できほどだという(約13.8kg)。5年ほど(使い方によってはそれ以上)使用できる。

※約13.8㎏は6m×50m(300㎡)時の重量



他にも、バイオプラスチックを40%以上配合した「ふあふあeco™」は環境配慮方の遮光ネットだ。ハウス1棟(300㎡)に使用することでCO2の排出量が約12㎏削減できるという。遮光率は約50%、耐候性にも優れており、こうした環境配慮資材を選択していくことも、個人ができる地球温暖化対策かもしれない。

以上、施設園芸・植物工場展GPECで見つけた暑さ対策資材を紹介しました。
今後も毎年夏の暑さは施設園芸の課題となるでしょう。みなさんも無理をせず、日中は上手く休みを取りながら、酷暑の夏を乗り越えましょう。




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【施設園芸ドットコム 編集部】
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