コラム

誘引が上手にできるコツをご紹介!【トマト・キュウリ・ピーマン別】

公開日:2021.07.26

誘引とは、植物の茎やつるを支柱などに結びつけて固定し、植物の伸びる方向や形・バランスを整える作業です。風や実の重みで植物が倒れたり折れたりするのを防ぐ意味だけでなく、花や実の付き方を調整し、収穫量をアップさせる効果もあります。キュウリ・ゴーヤ・スナップエンドウなどのつる性野菜や、果実を収穫する果菜類の栽培では必要不可欠です。

今回は、トマト・キュウリ・ピーマンの栽培における誘引の基本的なコツをご紹介します。

1.トマトの誘引方法とコツ

トマトの施設栽培では、茎を斜めに伸ばしていく「斜め誘引」や、茎の伸長に合わせて根元の茎を引き下げていく「つる下ろし(つる下げ)誘引」などが多く行われています。ほかにも、これらを組み合わせた「つる下ろし斜め誘引」や、誘引作業を省力化できる「Uターン誘引」など、空間を有効利用しつつ、長期間の収穫が可能になる技術が多数開発されています。まずは、ハウスの仕様や栽培品種、目指す収穫期間などに応じて、適切な誘引方法を選択することが重要です。

トマトの誘引でよくある失敗のひとつが、作業時に茎がポキッと折れてしまうこと。株の水分量が少ない時の方が折れにくいので、誘引作業は晴天日の午後に行うのがおすすめです。また、斜めに誘引する場合、誘引角度が小さすぎると草勢が弱まって生育が遅れたり、受光体勢が悪くなったりしやすいので注意する必要があります。

このほか、成長とともに茎が太くなることを想定し、紐やテープ、クリップなどで茎を固定する際はゆとりを持たせておくことも大切なポイント。これはトマトに限らず、どんな野菜にも共通する誘引の基本です。

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2.キュウリの誘引方法とコツ

キュウリの施設栽培では、最近「つる下ろし栽培」が主流になりつつあります。親づる(主茎)ではなく、親づるから発生した子づるを誘引し、伸長に合わせて根元のつるを引き下げていく方法です。

つる下ろし栽培では、誘引した子づるの節間長が長くなると低い位置に実がつくようになり、作業性や秀品率が低下してしまいます。そのため、節間長が短い「下から5節目以降」の子づるを使うことや、節間を伸ばしすぎない温湿度・肥培管理をすることがポイントになります。

キュウリは野菜の中でも特に生育が早いので、こまめな誘引作業が必要です。フックやピンチ、クリップなどの誘引専用資材を活用して、作業の効率化を図りましょう。

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3.ピーマンの誘引方法とコツ

枝が弱く、倒れやすいピーマンは、定植後すぐに仮支柱を立てて紐やテープナーなどで固定します。施設栽培では、その後枝が垂れ下がらないうちに糸つり作業を行い、2~4本に仕立てた主枝を紐でつり上げて誘引するのが主流です。

誘引角度を直立に近いV字型にすると栄養成長(茎葉が大きくなる)に、紐をゆるめてU字型にすると生殖成長(花芽がつくられる)に傾くので、つり上げる角度を変えながら草勢をコントロールするのがコツ。生育初期は草勢を保つためV字型に誘引し、その後状況を見ながら角度を調節してみてください。

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以上、トマト・キュウリ・ピーマンそれぞれの誘引のコツをご紹介しました。誘引は、摘芯や摘葉などの整枝とともに育て方のポイントとなる作業です。栽培する品目・品種や作型だけでなく、ハウスの軒高や構造、地域・個人によっても方法が異なるため、基本を押さえつつ、自分なりの工夫を重ねていきましょう!

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▼参考文献

○農業技術体系 野菜編(農文協)
○施設キュウリの新整枝法「つる下ろし栽培」の特徴と生産安定技術(埼玉県農林総合研究センター研究報告)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030711962.pdf


▼参考サイト

○こうち農業ネット
https://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/
○熊本県野菜振興協会
https://k-engei.net/yasai/

ライタープロフィール

【にっく】
農業研究所の研究員として日本全国を飛び回ったり、アフリカ・東南アジアで農業技術普及プロジェクトに携わったり…国内外の農業に関わってきた経験を持つ農学博士です。圃場作業で汗を流すのが大好き。これまでの経験と知識を生かして、わかりやすい記事をお届けします!


    
    


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