コラム

オリーブ栽培の基礎知識~適地やおすすめ品種と育て方~

公開日:2021.12.02

オレイン酸やポリフェノールなど体に良い栄養成分が豊富に含まれているオリーブ。最近では健康志向の高まりから日本でも需要が高まってきており、アジアの中でオリーブオイルの消費量が最も多い国となっています。国産のオリーブといえば香川県の小豆島が有名ですが、近年では九州や関東地方など全国各地でオリーブ栽培に挑戦する生産者も増えてきています。そこで今回は、新しい品目を栽培してみたいと考えている方、新規就農にチャレンジしたい方へ向け、ハウスでのオリーブ栽培の基礎知識やおすすめ品種などをご紹介します。

1.オリーブの基本情報

オリーブはモクセイ科オリーブ属に分類される常緑樹(じょうりょくじゅ)です。葉は細長く光沢のある緑色が特徴で、見た目の美しさから観葉植物としても人気があります。起源地はヨーロッパとアジアをつなぐアナトリア半島とされていて、ギリシャの島々を経て地中海全域に広まったと考えられています。 日本ではオリーブ栽培の北限は関東地方と考えられていましたが、2014年以降に宮城県石巻市にてオリーブの露地栽培が成功しています。

2.オリーブ栽培の適地や栽培方法とは?

気象条件

日照時間が多いほど生育がよく、年間の日照時間は2000時間以上が望ましいとされています。乾燥に強いイメージのあるオリーブですが、生育や果実肥大のためには年間で1000mmほどの降水量を必要とします。原産が地中海など温暖な地域であるため、年間の平均気温が15℃前後の温暖地を好みますが、常緑樹の中では比較的低温に強く-12℃くらいまでは耐えることができます。しかし、長時間低温にさらされてしまうと最悪枯れてしまうこともあるため、若木のときは特に注意が必要です。

土壌条件

オリーブ栽培は排水がよく保肥力の高い肥沃(ひよく)な地で行うことが基本です。また、根が障害なく伸長できる有効土層が適していると考えられています。土壌の通気性を必要とするので排水の悪い粘土や水田跡地などは向きません。

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育て方【植え付け・管理方法】

植え付けは1~3月が適期とされていますが、ポット苗の場合は真夏や厳冬期を除けば一年中植え付けが可能です。生育をよくするために植え穴には苦土石灰や完熟堆肥を混ぜて深く耕しておきましょう。

ポイント💡

・オリーブは根が浅く倒伏しやすいという特徴もあるため、植え付け後すぐに支柱を立て、固定してください。
・植え付け後はたっぷりと潅水を行いましょう。
・開花期は5~6月上旬ごろですが、自家不和合性といって同じ品種の花粉では果実が実りにくい特徴を持っているため、必ず違う品種を2種類以上植え付けることが重要です。
・5年ほど経過すると樹の間隔が狭くなるため品質向上や管理作業の効率化のためにも最低でも5m以上の間隔を空けて植え付けを行ってください。




育て方【肥料】

基本的には3月中旬、6月中旬、10月下旬に施用します。

育て方【病害虫】

●オリーブアナアキゾウムシ
最も注意したいのが「オリーブアナアキゾウムシ」です。モクセイ科の木を好んで食害し、最悪の場合枯れてしまうこともある厄介な害虫です。幼虫は木屑を出しながらオリーブを食害し木の中で蛹となります。
対処法:薬剤防除のほかに幼虫や成虫を見つけ次第捕殺することをおすすめします。

●炭疽病
炭疽病は糸状菌が侵入することで葉や枝、果実などに発生する病気です。発病すると果実に褐色の斑点ができて徐々に広がっていきます。
対処法:病気になってしまった部分を取り除き病気が広がらないようにします。また、薬剤防除や剪定などを行い、通気性をよくすることが重要です。

3.オリーブ栽培におすすめの4品種

オリーブは1600以上の品種があるといわれていて、日本の名産地である香川県では60品種が栽培されています。その中でも主に栽培されているおすすめの品種とその特徴をご紹介します。

ミッション

1908年に初めて小豆島で栽培されたのがこのミッションというスペイン系の品種で、今も香川県の最重要品種として栽培されています。含油率が高く実も硬めなので、オイルにも塩漬けなどの果実加工にも利用できます。品質は優れていますが炭疽病に弱いという弱点もあります。

マンザニロ

世界中で多く栽培されているスペイン原産の果実加工用品種です。結実量が多く果実も大き目という優れた特徴を持っていますが、果実は炭疽病や風害に弱く自家不和合性が強いなどの欠点もあります。

ルッカ

原産国が不明のオイル用品種です。成長が早く果実は大き目、含油率も高くフルーティーなオイルが取れます。また、自家不和性が弱いので1本でも着果し、炭疽病にも強いのが特徴です。

香オリ3号

香オリ3号は農業試験場小豆オリーブ研究所が育成し日本で初めて登録された香川県の新品種で、オイル・果実加工ともに利用できる品種となっています。ミッションと比べて果実が重く、炭疽病に強いといった特徴があります。

4.オリーブ栽培を成功させるために

オリーブ栽培は鳥獣害の影響を受けにくく、高付加価値化を実現できるため日本各地で産地化が行われている一方で、結実に時間がかかるため、収益を得るまでに長い時間が必要とされています。
オリーブ栽培の収益化サポートを行う「合同会社オリビアス」は栽培技術の提供をメインに、要望次第でオリーブの製造販売についてコンサルティングも行っています。また、収穫したオリーブを一定額で買い取ってくれるプランもあります。(法人・個人問わず利用可能)

オリーブ栽培は生産者の所得向上、耕作放棄地の活用、6次産業化の促進など高齢化が深刻化している日本の農業を救う一手として注目されています。新しい品目をと考えている方はオリーブを候補に入れてみてはいかがでしょうか。

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▼参考サイト

○オリーブの栽培条件と管理, 香川県
https://www.pref.kagawa.lg.jp/noshishozu/noshi_olive/saibai.html
○オリーブの品種・生態,香川県
https://www.pref.kagawa.lg.jp/noshishozu/noshi_olive/hinshu.html
○日本で栽培されているオリーブの品種, オリーブの森
https://www.healthyolive.com/botany/olive-harvest.html
○合同会社オリビアス
https://www.oliveious.net/

ライタープロフィール

かくやさゆり
種苗会社で培った経験と知識を活かしライターとして活動。 家庭菜園とアウトドア遊びが趣味の半農半ライターです。農業を中心にアウトドアをテーマにしたメディアでも執筆中。






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