コラム

花卉栽培における最新品種をご紹介!特徴と品種の選び方を解説

公開日:2025.04.25

日常に癒しと潤いを与えてくれる花々。花卉栽培は冠婚葬祭や贈答品、ディスプレイ装飾など、さまざまな場面で需要が見込まれる分野です。この記事では、花卉栽培の最新品種の特徴や、品種の選び方を解説します。

1.花卉栽培は品種選定がカギ

花卉のハウス栽培は、露地栽培と比較して温度管理によって栽培時期のコントロールが可能な点や、病害虫の被害を受けにくいなどのメリットがあります。 しかし、品種によっては耐暑性がない、萎凋細菌病に抵抗性がない、日持ちしない性質を持っていること等があるため注意が必要です。花卉栽培は品種選定が収入に直結するため、特に重要な選択になります。

萎凋細菌病とは?

葉が株元近くから黄色く褐変し、株全体が萎凋する病気です。

2.花卉栽培におすすめの最新品種4選をご紹介!

ここからは、ハウスの花卉栽培におすすめの最新品種をご紹介します。

カーネーション「ひめかれん」

△ひめかれん(画像提供:株式会社九州大田花き)

「ひめかれん」は、白地の花びらに赤紫の縁取りが美しい、スプレータイプの晩生品種です。長崎県と農研機構の共同育成品種で、日持ちが良いほか、萎凋細菌病に耐性があります。同じ系列色の「タイム」と同じ圃場で生育を比較した場合、定植から10ヶ月後の枯死株率はタイムの95%に対し、0%といった結果が報告されるなど、優れた抵抗性を持つ品種です。

ダリア「エターニティシリーズ」

△エターニティムーン:白色のダリア(画像提供:農研機構)

花の大きさや色など豊富なバリエーションで人気のダリア。切花として選ばれることが多い花卉ですが、あまり日持ちしないのが難点です。農研機構が開発した日持ちの良さで定評のある「エターニティシリーズ」に、新しく2つの品種が追加されました。 「エターニティムーン」は、シリーズ初となる白色のダリアです。そして、花色が明るい赤色から徐々に淡い赤色に変化する「エターニティサンセット」はダリアで初めて鑑賞中に花色の変化が楽しめる品種となります。

スプレーギク「南砺シリーズ」

△南砺シリーズ 左:サンレッド、中央:ピーチクイーン、右:フレッシュレモン(画像提供:南砺市園芸植物園)

さまざまな用途やシーンで使い分けが可能なスプレーギクにも新品種が続々とお目見えしています。富山県南砺市では、「南砺ピーチクイーン」「南砺フレッシュレモン」「南砺サンレッド」の3種類のスプレーギクが令和7年に販売予定です。 愛知県農業総合試験場が開発した、優れた耐暑性を持つ「スプレー愛知夏3号」「スプレー愛知夏4号」、耐寒性が期待できる「スプレー愛知秋2号」を組み合わせて栽培すれば、周年出荷も可能になります。

スイートピー「春かなピンク」

△春かなピンクの切り花(画像提供:神奈川県農業技術センター)

「春かなピンク」は、神奈川県内で主流の冬咲き性品種を補完する春咲き性品種です。令和6年7月に品種登録が出願されました。スイートピーの需要期である3月から4月にかけての気温上昇期でも、質の良い花卉を販売できます。高い需要が望めるピンク色で、ウェーブがかった花びらが花を大きく華やかに見せるのが特徴です。

  • ▼関連記事

3.品種特性を理解しながら花卉を選ぼう

花卉は、使われるシーンによって求められる種類や品種が異なります。品種選びのポイントは、購買者の細かなニーズを把握しながら、栽培しやすく、消費者に求められる品種を選ぶことです。病害虫への耐性や、開花時期、収穫後の日持ちといった特徴を踏まえて最適品種を選びましょう。

国内でも盛んに研究開発や改良が進む花卉分野。続々と登場する新品種をぜひチェックしてみてください。

  • ▼関連記事




▼参考
〇農研機構,萎凋細菌病(イチョウサイキンビョウ)
https://www.naro.affrc.go.jp/archive/flower/kakibyo/plant_search/sa/statice/post_453.html
〇農林水産省,平成26年4月,花きの現状について
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/pdf/kakimeguji1404_1.pdf
〇神奈川県,記者発表資料2025年02月07日
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/cf7/prs/r0304542.html
〇長崎県,萎凋細菌病抵抗性を有するカーネーション新品種「ひめかれん」の特性
https://www.pref.nagasaki.jp/e-nourin/nougi/theme/result/R1seika-jouhou/fukyu/F-01-10.pdf
〇農研機構,プレスリリース,(研究成果) 切り花の日持ちが優れるダリアエターニティシリーズの新品種「エターニティムーン」、「エターニティサンセット」情報公開日:2024年3月 6日 (水曜日)
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nivfs/162086.html
〇日本農業新聞, 2024年3月21日ダリアで業界初 徐々に花色変わる赤品種 農研機構が開発
https://www.agrinews.co.jp/farming/index/221567
〇愛知県,プレスリリース, 2021年 愛知県農業総合試験場の10大成果,スプレーギク新品種「スプレー愛知夏3号」を開発
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/402812.pdf
〇愛知県,プレスリリース, 2023年 愛知県農業総合試験場の10大成果暑さに強い品種!寒さに強い品種!スプレーギク2品種を開発!
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/486779.pdf
〇農業協同組合新聞, 暑さに強いキクの新品種など70種「夏秋系品種展示会」24日まで開催 イノチオ精興園, 2023年8月22日
https://www.jacom.or.jp/shizai/news/2023/08/230822-68807.php
〇愛知県,プレスリリース,スプレーギクの新品種「スプレー愛知夏4号」、「スプレー愛知秋2号」を開発しました~新品種で産地の更なる発展を目指します~
https://www.pref.aichi.jp/press-release/nogyo-keiei-kiku2023.html

ライタープロフィール

高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。 ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。 発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!









Facebook