コラム
公開日:2022.01.07
ネキリムシとは、鱗翅(りんし)目害虫である夜蛾(やが)類の幼虫やコガネムシ、コメツキムシなどの幼虫を指します。基本的に日中は土の中に潜伏し、
夜間に作物の根部、地際部を食害するため見つけにくく、倒伏など地上部の被害が出ないと気付きにくいため、農家さんが気が付いた時には手遅れ…と非常に厄介な害虫です。
そこで、今回は農業改良普及員の深田さんに効果的な対策方法を伺いました!
ネキリムシの成虫であるコガネムシやコメツキムシは ビニールハウスの外から侵入することが多く、侵入した害虫たちが卵を産み付けていくことでネキリムシが発生するため、いかに飛来する成虫を防ぐことができるかが重要になります。ビニールハウスの外からの侵入を防ぐには以下の方法が有効です。
夜蛾類などネキリムシの原因となる害虫の飛来を防ぐには、原始的ですが防虫ネットが効果的です。 ハウス栽培であれば、大部分の蛾の成虫は2×4ミリあるいは4ミリのネットで侵入を防ぐことが可能です。しかし、ネットを張った分通気が悪くなるため、換気扇や循環扇を使用してハウス内の空気を循環させましょう。
夜蛾類の夜間の行動を防ぐ手段として黄色灯があります。ハウス栽培だけでなく、露地栽培、雨よけ栽培にも効果が期待できる方法です。農薬の使用を減らす減農薬栽培にも活用することが可能なだけでなく、薬剤抵抗性を持つ害虫の発生を防ぐことができます。
黄色灯を設置する初期費用が掛かりますが、農薬費用の削減と労力削減で初期費用の回収を行います。
一部例外として、圃場に投入した堆肥にネキリムシが混入している場合が見受けられます。 バーク堆肥などの木質材料を主原料とした堆肥は、コガネムシ幼虫やカブトムシの幼虫の繁殖が見られるため注意が必要です。 とくに畜産農家さんが、屋外の堆肥舎にて堆肥を長期放置するような管理をしていると混入の可能性が高くなるため、心当たりがある場合は入手先に管理方法を相談しましょう。
すでにハウス内に夜蛾類が侵入し、ネキリムシが発生した場合には以下の対策が有効です。
実際に現地試験をした際に印象的だったのが、「ダイアジノン🄬SLゾル」です。潅注による施用が可能で生育中にも使用でき、さらに有効成分をマイクロカプセル化してあることで徐々に溶出し長期間の防除効果を期待することができます。
定植前にはクロルピクリンを含む土壌消毒剤を使用することで、事前に駆除することが可能です。 しかし、クロルピクリンは容易にガス化するため、散布する際は細心の注意を払い作業を行いましょう。
農薬を使用する際は、農水省農薬登録情報提供システムを使用し、正確で最新の情報を確認してから使用しましょう。
取材協力
農業専門家 兼 アグリアドバイザー
深田正博(ふかだ まさひろ)
熊本県野菜専門技術員・普及指導員の経験があり、現在は株式会社ニッポーのアグリアドバイザーとして現場目線の栽培指導やセミナーの講演を行う。
ライタープロフィール
【施設園芸ドットコム 編集部】
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