コラム
公開日:2023.06.28
育苗期に加温するだけで、その後は無加温で育てられる半促成スイカ栽培は、初心者でも低コストで生産できるのが魅力です。一方、環境の変化が少ない分、収穫期まではハウス内の適切な温度・湿度管理が欠かせません。この記事では、スイカのハウス栽培で発生しやすい病害虫とその対策方法についてまとめました。
△スイカのハウス栽培
スイカのハウス栽培で対策が必要な害虫は、アブラムシとハダニ類です。ハウス内で増殖すると、葉が縮れたり、排泄物により葉や果実が汚れたりすることで収穫に影響を及ぼします。特に注意したいのは、果実が肥大化し始めてから、収穫期までの間。無事に交配を済ませて一安心!と思ったら、害虫被害で収穫に失敗した…とうケースもあります。
アブラムシやハダニ類は高温を好みます。ハウスの換気時や、ハウス周辺の寄生植物からの移動によって侵入し、条件がそろうとハウス内で一気に増殖します。葉が不自然に巻いている、葉に白い斑点が出ている、排泄物によって葉や果実がベタついているなどの特徴があれば注意が必要です。
△スイカのつる枯れ病
無事に収穫時期を迎えるまでは、病気による被害にも注意が必要です。気温上昇とともにハウス内が高温になる、雨が続くことで多湿になるなどの条件がそろうと、うどんこ病やつるがれ病、菌核病、炭疽病などが発生しやすくなります。アブラムシやハダニの増殖も、病気を引き起こす原因です。発生によって環境が悪化し、株が弱ることで病気が進行しやすくなります。
葉に粉のような白い斑点を見つけたら、うどんこ病の初期症状です。カビによる斑点はやがて葉の全体を覆い、枯れていきます。被害は下葉から発生し、上葉に広がるのが特徴です。
炭疽病は葉や茎だけでなく果実にも発生する病気です。暗い色の点が円形に広がり、中央部分がくぼみ始めます。暗色の病斑上に発生する胞子が畑に拡散してしまうのは、水滴によって飛散することが原因です。高温多湿で日当たりが悪く、風が通らない環境で発生します。
スイカの成長が旺盛になると、茎や葉が茂って観察が難しくなります。おいしいスイカを育てるために、圃場の環境を良好に保ち、こまめなチェックをくり返しましょう。
スイカ栽培は、雨が多く曇りの日が続いた時“ハウス内の環境管理”が何よりも大切になります。葉が茂って、風通しが滞っている、茎葉が変色しているなど、小さな変化を見逃さないことが重要です。初期症状のうちに被害を見つけて、早期対応を心がけましょう。
▼参考サイト
〇鳥取県病害虫防除所
http://www.jppn.ne.jp/tottori/jissen/yasai/suikaaburamushi/suikaaburamushi.html
〇愛知県,あいち病害虫情報
https://www.pref.aichi.jp/
〇こうち農業ネット,すいかハダニ類(カンザワハダニ、ナミハダニ)
https://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/
▼参考文献
〇営業NEWS,平成26年3月12日第2255号
https://www.zennoh.or.jp/ib/contents/make/einou/2255.pdf
〇全農,もっと安心農産物スイカ(ハウス)栽培歴(令和3年)
https://www.zennoh.or.jp/cb/safety/saibasuika28hause.pdf
ライタープロフィール
高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。
ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。
発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!