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<二代目若手農家>ハウスみかん日本一の産地で規模拡大・後継者育成!積極的な勉強会で仲間がつながる唐津の取組み【栽培歴13年】

公開日:2019.01.30

ハウスみかん全国1位の生産量を誇る佐賀県唐津市で、2代目ハウスみかん農家として活躍している若手農家の大場さん。今では3名の従業員と10名のパートを雇用するなど経営の規模拡大や、コミュニケーション能力を活かした情報収集で新しい取組みや最新設備を取り入れています。農家としてスキルアップするため地域の研究会や勉強会も欠かせません。
日本一の産地“唐津”を盛り上げていくため、“若い後継者の育成”に積極的に取り組んでいるそうです。「農業は楽しい」と、笑顔輝く大場さんに栽培の取組みや産地の取組みについてインタビューしました。

なぜ跡を継いで農家になろうと思ったのですか?

小さい時からみかんを運んだり、父親の仕事を手伝っていて、「かっこいいな、おもしい仕事だな」と思っていたので、自然と「跡を継いで農家になろう」と思いました。農業は楽しいです。

どのように農業を学びましたか?

高校を卒業して2年間、静岡県にある独立行政法人カンキツ研究興律拠点(農研機構運営)で勉強をしました。座学は週に1度程度しかなく、ほとんど作業がメインです。
研究員に教わりながら研究の手伝いをしたり、静岡大学の生徒の研究の手伝いもしました。色々なことができるので楽しいのですが、なかなかシビアな世界でした。
この研究所(学校)は昔からみかん農家の間では有名で、興津(おきつ)には「桜会」というみかん農家の組織まであります。全国的な組織で上から下までつながっているので、場合によっては岡山の人に連絡を取ることもできます。 1学年10~20人なのでだいたいみんな仲が良いです。もちろん同年代とは限りません。大学卒業後に来る方もいるし、別の仕事をしてから来る方もいるので、同期でも歳が離れていたりします。
困ったことがあれば、今はLINEのグループがあるのですぐに相談しています。こうゆう情報知らない?と聞けば全国から一気に情報が入ってきます。
中には農協の技術員になった人や、県の普及員になった人、そのまま県の試験所に入った方もいるので、幅広い情報が集まってくるのです。

独立行政法人カンキツ研究興律拠点とは?

カンキツ類の保存、育成、栽培およびこれらを画期的に発展させるための生物工学的技術の開発、機能性成分の解明などの研究を実施。

http://www.naro.affrc.go.jp/archive/fruit/introduction/okitu.html

所属している部会はどのような取り組みをされていますか?

僕はJA唐津の果樹部会のハウスみかんに所属しています。(全農、農協での出荷)
みんなでみかんを寄せて、選果して、箱詰めをするといった効率的に出荷できる形態を作っています。
JA唐津では、点数評価をしています。例えば“秀品で糖度が13度以上あると200点”とか、その下の“普通のみかんで普通の外観をしていてかつ糖度が12度あると100点“とか。その全体の点数決めも部会がやっています。
なので、部会が「今こういうみかんは出したらダメだよ」という場合には何かしら理由があります。
例えば、「台風の影響で今は“腐れ”がたくさん出てしまうため、落ち着いて回復した頃に収穫してください」と通達があります。「今出したらお金になるから出させてくれ!」って方もいますけど、それをしたら部会全体の迷惑になってしまいます。誰かが勝手な行動をしてしまうと、他のみんなの値段が下がってしまうこともあるのです。
1週間、2週間遅らせるとみんな同じ色になって同じ単価になったりするので、早期出荷を止めたり足並みをそろえるための統轄を部会がしてくれて、安定的な販売をしてくれています。

唐津は日本一の生産量ですね。産地ならではの取組みはありますか?

若い人たちは炭酸ガス施用にも取組んでいるし、若手ごとに家が近い者同士や年代が近い同士で集まって研究会や情報交換会を積極的にやっています。
産地としてやっていくためには、自分だけいい点数のみかんを出荷していてはダメです。やはりみんなで同じみかんを「規格品」として出さないといけない。全体が同じみかんを出して勝負していかないと産地として成り立たないです。とくに日本で1番の生産量をもっているという意味合いがあるのであれば、みんなのレベルを上げていかないといけない。
「唐津のみかんはどれを買ってもおいしいよね」って言ってもらえるように。
だからこそチームワークは大切だと思っています。もちろん、特殊に糖度の高いみかん等オリジナル品を作っている方も大事です。ちゃんと高級化すれば農協が卸してくれ、有利販売ができます。
自分たちでオリジナルブランドをやることはほぼないのですが、オリジナル品も農協さんが(販売等)上手くやってくれるので信頼して任せています。

今度、新しく選果場ができるので、自分たちで選果することもなくなります。僕たちはみかんを徹底的に生産して、きれいに収穫して、出すだけです。新しい選果場は4~5月には稼働予定。楽しみです。

ハウスみかん農家2代目ということですが、大場さんの代になってから始めた取組みはありますか?

環境制御と経営の規模拡大です。新棟を建てたり、かなり大規模にハウスみかんをやり始めました。従業員も正社員で3名雇いました。25歳と30歳と46歳の男性3名です。
46歳の従業員は元農協の職員さんです。技術員をされていた方でタイミング良く来てもらうことができました。
今取り組んでいるのは、若手の後継者を増やしていくことです。
僕の世代は、燃油高騰など1番きびしい時期で、同世代たちはネギや他の作物に就農してしまった。
でも今の25歳の世代は就農者が多い。若い従業員たちに早く一人前になってもらうため、他の農家の若い後継者たちと一緒に勉強会もしています。

積極的に勉強会を開催しているのですね。

そうですね、近所の年が近い同士や同じ栽培作物の農家同士で集まって、積極的に情報交換をしています。
JA唐津は唐津、松浦東部、佐賀松浦、上場の4つにそれぞれ部会があったのが合併したのでとても人数が多いです。200人ほどいるので、研究会や勉強会は地域ごとに10人くらいにわけてやっています。
僕の年代は「ハウスみかん青年部」もありますから、若手(37歳以下)だけで集まって研究会をやります。多いときは20名ほど集まります。
仲間や先輩がたくさんいる環境だからこそできることですね。僕も農家を始めた頃は家族に教わるより周りの先輩に教わるほうが多かったです。この産地では先輩が後輩を育てています。だから仲間とのつながりがとても強いです。

今後取組みたいこと、やっていきたいことはありますか?

現在総面積が423a、内ハウスみかんが221aあります。他には加温・無加温のデコポン(100a)とか中晩柑も栽培しています。残りは露地で育成用のみかんの木を育てています。植え替える用の木を7~8年生にしておくのです。
これから人が減っていくので、自分も後継者ではあるけど、「後継者を作る、増やしていく」活動をもっとしていきたい。
先ほどお話した元農協の技術員さんに来てもらった理由にもつながるのですが、仲間を増やしたいのです。(収量が)採れる方法をある程度作ってそれをみんなに広げてあげたら、みんなが安定した生活ができるようになる。そういったトレーニングファームを作りたいですね。


ハウスの情報


ハウス:鉄骨/ビニール
天窓:自動巻き上げ
カーテン:保温
暖房機:重油式暖房機、ヒートポンプ、ガスエンジンヒーポン
その他:炭酸ガス発生装置、循環扇


ハウスの様子



キュレータープロフィール

佐賀県/ハウスみかん生産者 
大場さん

佐賀県はハウスみかんの生産量日本一を誇る。
その佐賀県唐津市にある大場農園で精力的な取り組みを行っている大場さん。笑顔のまぶしい期待の若手生産者だ。機械が好きで、メーカーより詳しくなってしまうことも。
品質の高いみかんを生産するために農業機器を積極的に導入するなど、若手ならではの先進的な取り組みを行っている。取材担当者より

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